予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

代数学の本 & より進んだ分野。

 代数学の初歩の本と、更に代数方面を専攻しようとする人向けに(俺が知っている範囲の)幾つかの分野とその基本文献的なのを紹介しようと思います。一応、多くの人に読んでもらえる様に書きますが、基本的に今年(2020年)の代数Iを専攻してくれた人向けに書きます(例えば「演習問題〇〇に在った様に~」みたいな言い回しを(読み飛ばしても差し支えない範囲で)時々する)。また、俺は博士課程で数学をしている人間の中では、数学力も数学の知識も多分底辺レヴェルなので(九大数学科の中ではトップクラスだったけどね)、特に研究者を目指している様な人は、俺なんかの意見は余り参考にせずに、ちゃんと先生方と話をする事をお勧めします。

 

 

代数I(+α)の内容の本

 先ず、教科書だった堀田先生の本が読めるのなら、これを読んでおけば問題無いと思います。後は有名どころで雪江先生の代数学3部作とかも読めるなら良いと思います(てか、学部の間にこれ3冊とセミナーを確りやっておけば、多分修士1年から直ぐにちゃんとした研究に入れる)。ただ、これ等の本は中々難しいので(てか俺が全然読めない)、「代数勉強したいけど前期の授業は消化不良気味だった」みたいな人向けに、幾つか易しい本を紹介しておきます:

1. 中島匠一「数論と代数の基礎」共立出版
 俺が初めて読んだ代数の本です。定義導入の動機付け、定義や定理の使用上の注意、証明の記述、どれを取っても糞丁寧です。ほぼ万人に合う気がします。初めに(代数を意識した)初等整数論の章が有るので、学校の先生を目指す人なんかは、夏休み中にこの章を代数の言葉に翻訳しながら読んだりするととても良いと思います。

2. 新妻弘、木村哲三「群・環・体入門」共立出版
 証明が凄く丁寧で、更にレイアウトがシンプルで凄く読み易いです(俺が作ってた代数Iレポートの解答(「⇔」とか「∵」を多用してたやつ)に近い)。中島先生の本と違って動機付けとか使用上の注意みたいなお話的な記述は無いですが、寧ろそういうシンプルな本の方が好きな人もいると思います。例題や演習問題も豊富で、高校の教科書みたいな本です。

 

3. 川口周「代数学入門」日本評論社
 定義定理の使用上の注意も、証明の記述も凄く丁寧です。例も豊富且つ丁寧で、理解の助けになると思います。応用例や代数II以降の内容にも少し触れられていて、中島先生の本に比して、専攻決定以降も代数を使うかも知れない人向けだと思います(勿論、自分で目を通してみて記述が気に入った方を優先してください)。

 

 

代数方面のこの先の分野

 3年後期セミナーで専攻を代数にしようか迷っている、或いは代数にする事は決めているけど具体的に何をするか決まっていない、って人は参考にしてください。当然、俺が知っている範囲での紹介になります(従って殆ど何も紹介出来ていない)。因みに、本を幾つか挙げたりしていますが、殆ど俺は読んだ事は無くて、人から聞いた噂とかに拠ります。これは俺の個人的な意見ですが、専攻は漠然とした憧れ(「フェルマーやりたい!」みたいなの)よりは、自分が好きな議論とか証明から選んだ方が後々上手くいく気がするので、そんな感じの紹介の仕方をします:

 1. 対称群の式変形(問題2-[24], [25], 3-[11], [12], 4-[12], [13], [14]とか)が好き:

 多分ですが、群絡みの組合せ論とか対称表現とかって分野が合う気がします。仲良かった奴が「組合せ論プロムナード」って本を面白がって読んでました。俺が以前線型代数を教わった(凄く教育的な)某先生は「線形代数と群の表現」って本をお勧めしていました。他に「置換群から学ぶ組合せ構造」「群論の味わい 置換群で解き明かすルービックキューブと15パズル」なんて本も在るみたいです。グラフ理論とかも検討してみると良いのかもです。

 

2. 行列で表された有限群(問題2-[14], 6-[5], [6], [11]とか)が好き:

 所謂、有限群の線型表現って言われる分野を多分気に入るんだと思います。セールっていう偉い数学者の「有限群の線型表現」っていう本が有名みたいですが、セールの本は難しいので俺は嫌いです。てか表現論自体何が面白いのか俺には解らないので、よく知らないです。

 後は、上で紹介した某友達が「古典群の表現論と組合せ論」って本をお薦めしていました。具体的な計算が沢山載っていて、読んでて楽しいらしいです。知らんけど。

 

3. 有限群の分類が好き:

 有限群の分類って、恐らくもう研究する事はほぼ無い気がします。有限群繋がりで、上記を検討すべきでしょう。

 

4. 群は好きだけど、有限群より無限群(\mbox{GL}_n(\mathbb{C})とかその無限部分群とか)の方が好き:

 無限群って、大体は位相や多様体構造も加えた「位相群」「リー群」と呼ばれるものとして扱う事が殆どです。俺は昔「群と位相」って有名な本を読んだのですが、がち数学書って感じでしんどかったです。後は、今年亡くなった九大の先生だった野村先生の「球面調和函数と群の表現」って本は、易しくはないけどちゃんと読める様に書かれています。これも詳しくないんで、自分で色々調べてください。

 「離散群」とか「自由群」とかってのも調べてみてください。

 

5. 多項式環が好き:

 「グレブナー基底」っていう、「多変数の多項式環でも一変数の多項式環みたいな割り算の理論を組み立てましょう」って分野が在って、恐らくお気に召すかと思います。ヒルベルトの基底定理の証明とか、多項式の次数に関する帰納法の議論とかが好きな人は、先ず間違い無いと思います。読み易そうな本が幾つか在りますが、評判良いのは「グレブナ基底と代数多様体入門」って本です。他に「環と体の理論」って本は、代数II, IIIの内容に加えて最後にグレブナー基底にも触れています(俺的に読み易くて好き)。

 他に、九大の阿部先生がやっている「超平面配置」って分野も多項式環の話だそうです(本人談。俺は知らん)。

 

6. \mathbb{Q}[\sqrt{D}](問題8-[8], [9], [13], 10-[12], [13]とか)が好き:

 有理数係数方程式の解になる数は「代数的数」と呼ばれ、これを調べる分野は「代数的整数論」と呼ばれます。\sqrt{D}とかは正にそうです。特に\mathbb{Q}(\sqrt{D})みたいな二次方程式の解から生じる体は「二次体」と呼ばれ、代数的整数論の中でも特に詳しく調べられています。俺は全然知らんけど、連分数とかペル方程式とかとも関わりが在るっぽいので、好きな人多いと思います。代数的整数論はノイキルヒ「代数的整数論」が有名ですが、これは人間が読むものではありません。藤崎先生の「代数的整数論入門」とか、雪江先生の「整数論1, 2」とかは、人間でも読める様には書かれていると思います。特に二次体に力を入れている本だと、「素数と二次体の整数論」「初等整数論 数論幾何への誘い」とかは、(既に卒業した)研究室の先輩は読み易いっつってました。

 

7. 整数環と多項式環の類似(問題9-[]3と[4], 10-[3]と[4], 問題11-[1]と[15]とか)が好き:

 これも上記「初等整数論 数論幾何への誘い」が良いと思います。他に「数論I Fermatの夢と類体論」って本も、多分超数学ガチ勢向けですが良い本だと思われます。

 

8. 有限体やそれに由来する環(問題7-[15], [16], 8-[12]とか)が好き:

 これは理論的な話が好きか、具体的な計算が好きかで分かれると思います。

 理論が好きな人は、またまた「初等整数論 数論幾何への誘い」とか良さ気です。他に「ガウスの数論世界をゆく」って本も良く良いって言われています(知らんけど)。ひょっとしたら、p進数(ここで定義は説明は出来ない)とかも好きかも知れないです。雪江先生の「整数論1」とか、斎藤秀司先生の「整数論」とか、セールの「数論講義」とかが有名なんですかね。知らんけど。

 一方で、計算が好きな人は、多分「符号理論」とかが良いんだと思います。前に齧った事が有りますが、殆ど有限体の計算の話でした。

 

9. 上記の様な具体例ではなく、純粋に準同型定理みたいな代数が好き:

 可換環論とかホモロジー代数とかが良いんですかねえ。前者はともかく、後者はこれだけで(修士)論文を書くのは大変な気もします。コアなところで「環と加群ホモロジー代数的理論」って本が時々褒められています。

 

10. 初等整数論が好き:

 これに執着すると多分卒業出来ない気がしますが、幾つか近そうな話を知っています。

 「整数の分割」っていう、整数を幾つかの整数の和で表す方法を考える分野が在るんですが、結構、初等整数論不定方程式の話に近い気がします。何か最近、うちの先生(竹田先生)もはまっているみたいです。

 かの有名な「楕円曲線」は、不定方程式を解くのにも使われたりするみたいです。ただ、分野自体が難しいので、個人的にはあんまお勧めしません。

 無理数有理数で近似する「ディオファトス近似」って分野が在って、これも最初の内は割と初等的な話が多いみたいです(2017年の阪大理系数学3で簡単なのが出たりしている)。

 

11. 講評のRemarkとか問題10-[5]の解答のRemarkで書いた、空間と極大イデアル全体の対応とかに興味が有る:

 まじでいたら、代数幾何ってかスキーム論をやるしか無いです。俺が3年後期から2年掛けて挫折した分野なんで、無事突破出来れば俺より強いです。

 

※以下「代数やりたいけど他の分野で好きなのが有る」って人向け。

 

12. 多変数の微分とか複素積分とか多様体みたいな、“固い”幾何系の話が好き:

 きっと複素代数幾何の話とか好きなんだと思います(曲線とか曲面の話なんですが、その上の“函数環”も考えるんで、代数でもあります)。今野先生の「リーマン面と代数曲線」とか、小木曽先生の「代数曲線論」とか、堀川先生の「複素代数幾何入門」とかよく良いって言われますけど、俺には全部読めません。

 

13. 積分とかガンマ函数とか級数の上手い式変形が好き:

 多分、ゼータ函数とかモジュラー形式とかの話が好きなんでしょうね。俺は全く知らないけど。

 

14. 複素解析の初めとかルベーグ積分とかでやったイプシロンデルタの不等式評価が好き:

 凄くよく解ります。俺もでした。是非一緒に高さ函数やりましょう。連絡ください。ネタなら腐る程有ります(てか既に腐り始めている)。

2020春学期代数Ⅰ演習問題略解。

 タイトルの通りです。頑張って続けるつもりですが、面倒臭くなったり途中で心が折れたりしたら止めるかも(完走しました!(2020/7/23))。

演習略解。

チャイリメ奥義書 (11回の解答はこっちも参照)

 

 

※「この問題も解答付けて」「自分の解答が正しいか見て」みたいなのが有れば、メールやブログのコメントくれれば対応します。

 

 

※解らない事で講義時間のスカイプで先生に相談し難い事とかも、メールやブログのコメントくれれば対応します。スカイプとかでも対応します。因みに、俺が思う代数Iの最低ラインは、「準同型定理の証明を完璧に理解し、簡単な同型の証明に応用出来る事」です。これが自力で出来そうにない人は、相談してくれた方が良いです。中には「俺高校の先生になりたくて単位欲しいだけだから理解とか良いやw」みたいな人もいると思いますが、俺的には「準同型定理すら理解出来ない致命的に知能が劣った糞っ垂れファック野郎が他人様に数学教えたいとかまじ草」って感じです。それくらい準同型定理って、重要且つ極基本的な定理です。

 

 

※何で準同型定理がそんなに大事であるのか、俺的な説明をしておきます:

1. 準同型から同型を生じさせる:

 群や環で最も重要な概念は、2つの群や環が“同じ”である事を表す「同型」の概念です。例えば、\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}\{\, e^{\frac{k\pi i}{n}} ~|~ k\in\mathbb{N} \,\}は、弄繰り回していると、何と無く“同じ”ものに見えてくる訳ですが、その“同じ”の感覚をちゃんと集合と写像の言葉で数学的に定義したのが「同型」の概念です。

 一方で、同型ではないけど、2つの群や環の演算が比較的“似ている”事を表すのが「準同型」の概念です。そして、ここからは数学と言うよりは“哲学的な”(或いは日常言語的な)話ですが、例えば我々は或る似ている親子を見た時に「目なんか全く同じ~」という様に「部分的に同じである点」に注目する事が多い様に思われます。そして準同型定理も、準同型(即ち“似ている2つの群/環”)から、同型(即ち“同じ群/環”)を見出す定理である訳です。

 以上の様に、準同型定理は「我々が日常で「同じ」「似ている」といった言葉を使う際の自然な感覚を反映した定理である」と言えます。

2. 写像の重要概念が両方登場

 学部1年の頃「写像」を勉強した時、先ず習ったのが「全射」「単射」でした。これは、(細かい事は気にせず)例えば「クラスの女の子」に対して「その子が好きな男の子」を対応させる``写像''を考えれば、全射は「男の子全員、ちゃんと誰かから好かれているか」を、単射は「ライバルがいないか」を表しており、この例からもまあ、重要だって解るでしょう。ところで、全射であるか否かはImを見れば判り、単射であるか否かは(代数なら)Kerを見れば判るのでした。そして、準同型定理には、これ等2つが見事に現れています。この様に、準同型定理には謂わば「オイラーの定理的な重要さが有る」と言っても良いと思います。

3. 主張や証明中に、高校以前の数学の根本に関わる概念が漏れ無く登場する:

 先の同型の話でも触れましたが、数学で最も基本的な概念の1つは“同じ”の概念、即ち「同値関係」です。中学校では、平面上の三角形全体に対する同値関係である、合同や相似を習い、それが三角函数へと繋がりました。ベクトルは、有向線分全体の集合を「平行移動で一致する」という同値関係で割った商集合に他なりません。その和がwell-definedである事や、成分表示した数ベクトルと同じ概念である事は、同値関係と商集合を理解していないと、人に確信を持って指導する事は出来ないでしょう。

 一方で、逆像の考えは、一部の最大値最小値の問題や軌跡の問題で暗に用いられます。高校数学でしばしば話題に上がるのが、例えばf(x)=x+\frac{1}{x} ~(x\in\mathbb{R}_{\gt 0})の最小値を求める為に相加相乗平均を用いてx+\frac{1}{x}\geq 2とした際に「等号を成立させるx\in\mathbb{R}_{\gt 0}は本当に存在するか?」という話です。これは正に、先の函数fに対して、1点集合\{2\}の逆像f^{-1}(\{2\})が空ではないかを問うている事に他なりません。更に、アマチュアの数学関係者が書いた高校数学Bの(暗に逆像の考えを必要とする)軌跡の問題への答案に対しては、しばしば数学的欠陥の指摘が成されます。2019年の九大理系数学5の各予備校の答案が炎上した事は、多くの人が知っていると思います。その最大の原因は、高校教師や予備校講師達の、逆像への理解不足でしょう。勿論、これ等は飽く迄も高校数学の話ですので、「逆像」なんて概念を態々持ち出さずとも、生じている問題を理解する事自体は出来ますが、(自分が数学的に不備の有る答案を書かない為にも)少なくとも指導者側は、「逆像」の言葉を通じて「これ等は根を同じとする問題である」という統一的な視点を持っておくべきだと、個人的に思います。

 準同型定理には、商集合と\mbox{Ker} (=\{\mbox{単位元/零元}\}の逆像)が登場します。この証明を理解している事は、同値関係や逆像を理解出来ている事の、ほぼ同値条件と言って良いと思います。

4. 重要な応用例が沢山存在する:

 線型代数では、線型写像f:V\rightarrow Wに対して、次元公式

 \mbox{dim}(V)-\mbox{dim}(\mbox{Ker}(f))=\mbox{dim}(\mbox{Im}(f))

を勉強しました。実際に\mathbb{R}^3とかで簡単な線型写像の絵を描いてみれば、この公式が如何に線型写像に関する基本的な結果であるかは、直ぐに納得出来るでしょう。実はこの公式は準同型定理の系であり、逆に準同型定理は、この次元公式の一般化である、とも言える内容です(これを理解した上で次元公式を低次元で絵を描いて観察していると、段々と準同型定理の主張自体も``自然''に思えてきます)。

 一方で、高校数学で最も謎な存在の1つは、恐らく複素平面\mathbb{C}でしょう。「二乗して-1になる」「縦軸で虚数を表す」なんつわれても「本当にそんなもん存在するのかよ?」って話です。実は準同型定理は、この複素平面\mathbb{C}の1つの(代数的な)実現を与えます:

\mathbb{R}[X]/(X^2+1)\simeq \mathbb{C}.

 この様に、準同型定理は、これ迄の数学での重要概念の背後に潜む定理でもあるのです。

 

 以上の様に、準同型定理は:

・日常的な感覚との自然な整合性;

写像の根本概念を両方含む;

・初等数学の重要知識の総括;

・これ迄の重要概念の背景,

という4つの重要性を持ち合わせた定理となっています。学部で習う数学の中で、これだけ沢山の重要性を挙げる事が出来る定理を、俺は他に知りません。因みに、俺より遥かに優秀な同級生と後輩の2人に「何で準同型定理って重要なの?」って聞いた事が有るのですが、彼等は「あんなの、主張を理解した瞬間に重要って解る」との事でした。真に数学的素養が有る人間にとっては、最早その重要性を言葉にするのも野暮な様です。

大学入試数学の指導/相談に無料で応じます。

 取り敢えず数学個別の内容から勉強の仕方まで、何でも応じます。お気軽に下記アドレス(★)に連絡してください(知らない人にアドレス知られるのが嫌とかなら、ヤフーとかで捨てアカウント作るとかしてください)。

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※2023年度以降、使えなくなる可能性が高いです。新しく使えるアドレスが決まり次第、更新しようと思いますが、忘れる可能性が高いので、相談したのに返事ない場合とかはコメントで知らせてください。

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1. 名前:偽名、ハンドルネーム可。俺がそっちを何て呼べば良いかってだけ;

2. 志望校:決まっていれば学部学科も;

3. 学年:勿論、中学生だろうが浪人だろうが再受験だろうが何でも可;

4. 高校名:嫌なら省略可。偏差値だけでも教えてくれると嬉しい(その場合、何処の模試とかホームページの偏差値かを書いてくれると助かる);

5. 偏差値:高校入ってから模試を受けた事が有るなら。何の模試か必ず明記してください。数学と全教科の2つ;

6. 俺に何を希望するか?:「この単元教えて」「お薦めの参考書教えて」「お前が信用に足るか話して決めたいからディスコード教えろ」「成績さえ上がるなら全部お前に任せる」等。何でも良いです。

※参考書とかについて書いたページ(https://avgdr60221367.hatenablog.com/entry/2019/05/15/052127)も参考にしてください。

※メールで相談くれた方、俺はこれ迄、ここから相談くれたと思われるメールを無視した事は1度も無いので(※)、若し返事が無かったら、それは俺に届いていないか、或いは俺の返事が届いていないか、の孰れかに当てはまると思われます。なので、お手数ですがここのコメントとかに「メールしたんですけど~」とか連絡くれると嬉しいです(メールのやり取りが上手くいかなかったにも拘わらず同じアドレスで再度メールを送っても無駄である。これくらいの事は自分の頭で考えよ)。

(※)2023年度以降は上の情報とか抜けてたりみたいな真剣さを感じないメールは無視するかもです(メールマナーとかごちゃごちゃいうつもりは無いんで、取り敢えず頑張って真剣さを伝えてください)。

 

 数学の内容をメールでやり取りするのは面倒臭いので、或る程度以上のやり取りを希望される場合、適当な段階でディスコードとかに切り替えてもらいたいです。そっちの事を俺に知られたくないなら、捨てアカウントを用意したり、やり取りする際にマスクを着けるなりしてください。

 

 折角相談に応じる以上、合格してほしいので、「この子、そもそもの勉強法がまずいな」とか思ったら、他教科の事にもちょいちょい口出しするかもです。

 

 こちらからの要望ですが、理系で最低でも国公立志望の方のみ相談に乗ります。本当なら最低地方旧帝大くらいにしたいのですが、経済的な事情から地元の国公立しか無理って方もいるだろうから、この設定にします。私大専願は早慶含め基本的に相手したくないですが、何か特別な理由(「行きたい研究室が在る」等)が有るならこの限りではないです。後、俺は自分の教育/研究が優先の研究者ですので、ここでの対応より自分の仕事を優先します。

 

 俺の数学力についてですが、ブログのタイトルの通り予備校(駿台)の採用試験には落ちているし、ブログの記事の通り東大数学とかは普通に時間内に解けないので、入試数学を解く力は、恐らくプロの予備校講師には全く及びません。一方で、大学以降の純粋な数学の力に関しては、俺の方が遥かに上だと思います。但し、大学教員と比較すればチンカスレヴェルです。国内で数学者を目指す人間の中でも、恐らく下から数えた方が早いです。殆どの高校数学教師よりは(入試数学の力も含めて)俺の方が遥かに上だと思います。以上は、高校教師志望や予備校講師の九大生達と俺を、客観的(のつもり)に比較した上での意見です。予備校講師とかにありがちな、地頭が良いタイプではなく(昔測ったIQは116でした。低くはないのだろうけど、数学者としては…)、方法論で攻めるタイプなので、苦手な人の気持ちも割と理解出来る方だと思います。但し、流石に中学数学で挫折した記憶はほぼ無いので、そのレヴェルの人の気持ちは多分解らないです。

 

 俺の性格についてですが、ブログの文章の通り、気を遣った発言は余り出来ないし、するのも面倒臭いので、思った事は割と何でも言います。なのでそっちも余り気を遣わなくて良いです。但し、パワハラや女性へのセクハラにはそれなりに気を遣って生きている方だと思います。一方で、男性には割と遠慮無く下ネタを振るので、嫌なら初めに言ってください。まあ後は、これもブログの文章から判る通り、基本的に理屈っぽくてしかも口が悪いんですが、如何やらこれが祟って人から嫌われる事が多いみたいなんで、最近は少しづつ改善しようと努力したりしなかったりはしています。

 

 その他、俺について、ルックスは余り良くないと思います(俺は自分の顔好きだけどね)。イケメン理系男子とかは期待しないでください。ハイスペック理系男子とかも期待しないでください。身体能力は(平均的な成人男性に比して)極めて高いと思われるので、「俺は俺より強え奴の言う事しか聞かねえ!」って言う人のご期待にも沿えるかと思います。

2020北大理系。

 俺は1問はまりました。

 

難易度:やや難

昨年比:同程度

 

1:外心。目標解答時間15分。

テクニックA

記述量AB

発想力A

総合難易度A

 任意の問題集に載っている問題でしょう。

 

2:格子点;(1)ベズー方程式;(2)格子点の数え上げ(領域が直線で囲まれているので算数)。目標解答時間25分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 (1)これも任意の問題集に載っていますが、「格子点」と云う味付けが成されています。

 (2)格子点の数え上げはどんなに簡単でも計算量がそこそこ増えるので嫌いです。

 これもどの受験用問題集にも載っているでしょう。

 

3:確率(該当パターン全調査、集合ってか論理っぽい考え方するやつ)、余事象、誘導「結果の利用」「方針の利用」。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)全部6だけ気を付けましょう。

 (2)直接数える事も出来そうですが、(1)の意義も考え、余事象と捉え最大公約数が2, 4, 5, 6の場合も全て求めるのが模範解答でしょう。「方針の利用」と言えなくもない?2, 4, 6(てか偶数)は一纏めに計算出来ます。

 (3)出て良い目は1, 2, 4, 5で、4, 5は少なくとも1回は出てもらわないと困ります。

 これもどの問題集にも載っているでしょうが、計算量はちょいちょいです。

 

4:(1)離散不等式の証明(1個目帰納法、2個目連続変数化→微分);(2)離散不等式の証明(定義漸化式に注意を払いつつ連続変数化);(3)数列の極限(1個目漸化式を繰り返し用いる;2個目連続変数化し三角函数の極限に帰着)。目標解答時間40分。

テクニックBC

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 (1)は1つ目は帰納法ですが、2つ目は

g(x):=f(x)-x=\sin\left(\frac{\pi}{2}x\right)-x

として微分です。微分した後の極値を与えるxの値も具体的に出ないし、f(0), f(1)の両方を調べないといけないし、地味に難しいのでは?

 (2)も(1)と同様に連続変数化でグラフの単調性に帰着です:(1)より

h(x):=\frac{1-f(x)}{1-x}

が単調減少である事を調べれば十分です。証明は微分すれば判りますが、hの置き方含め、これも易しくはないと思います。

 (3)はa_nの方は収束するとすればその極限a

a=\sin\left(\frac{\pi}{2}a\right)

を満たす筈なのでa=0 \mbox{ or } 1で、更に(1)からa=1しか無理と判ります。なので、a_n\rightarrow1である事、即ち(0\lt a_n\lt 1にも注意して)1-a_nが上から無理矢理評価出来れば良いでしょう。って事で(2)の漸化式を繰り返し用い

(0\lt)1-a_n

=b_{n-1}(1-a_{n-1})

~~\vdots

=b_{n-1}\cdots b_1(1-\alpha)

\lt b_1^{n-1}(1-\alpha) ~~(\because(2))

ですが、ここで(1)から0\lt b_1\lt 1も判るので、上の評価でn\rightarrow \inftyとすればa_n\rightarrow1が判ります。b_nは先ずは連続変数化して

\displaystyle\lim_{x\rightarrow1}\frac{1-\sin\frac{\pi}{2}x}{1-x}

を求める事にしましょう。三角函数の極限とx\rightarrow1は相性が悪いので、t:=1-xとして

\displaystyle\lim_{t\rightarrow 0}\frac{1-\sin\frac{\pi}{2}(1-t)}{t}

=\displaystyle\lim_{t\rightarrow 0}\frac{1-\cos\frac{\pi}{2}t}{t}

=\displaystyle\lim_{t\rightarrow 0}\frac{1-\cos\frac{\pi}{2}t}{(\frac{\pi}{2}t)^2}(\frac{\pi}{2})^2t

=0

となります。

 いや、俺は(2)のhの置き方や(3)のb_nの計算を連続変数化するのでめっちゃはまりました。連続変数化するのがnではなくa_nなのが受験生には難しいと思います(一方で数学科で微積を勉強した俺が時間を取られるのは論外💩)。大学の先生にはお馴染みの操作で、今後も(北大以外でも)出題され得る操作なので、これを機に頭に入れておきましょう。偉そうに目標解答時間は40分とか言っているけど、俺は計1時間くらいははまってました。本セットでは1番難しいと思います。

※うぉい!(3)微分係数の定義式やんけ!見返した瞬間に気付いた(俺は自分大好きなので自分が書いた文章を見返すのが好き)。まじ「いける!」ってなったら他の選択肢考えるの止める癖何とかしろ俺!

 

5:(1)微積分学の基本定理、微分方程式(変数分離形)、定積分計算(部分分数分解);(2)求積(fgg')、極限(eの定義に無理矢理帰着)。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量B

発想力AB

総合難易度B

 (1)は区間にxがいる事からも微積分学の基本定理適用は良いでしょう。しかし微分方程式が出てきます。まじか。まあ普通に解けば良いんですけど。変数分離形で、積分計算で部分分数分解が必要ですね。

 (2)は積分はfgg'で極限計算はeの定義に無理矢理帰着させるやつです。数Ⅲを真面目に勉強していれば解けるやつですね。好きです。

 北大名物の数Ⅲの微積の式処理ですが、がっつり微分方程式が出てきたり求積が混ざっていたりと、今年は若干、毛色が違いますね。ですが別に難しい訳ではありません。

※うぉい!(1)はfgg'じゃん!微分方程式要らねー!てか変数分離形の微分方程式解くのとか置換積分だし同じ事を2度手間でやってるだけじゃん!これも見た瞬間「いける!」ってなって他の解法を考えていなかった!

 

 

 

 1,2,3は絶対取れますが、やや難の4と微分方程式の5は微妙ですねえ。7割もいけば十分でしょうか?18年で2題出た軌跡領域系はとうとう1問も無いですね。代わりにがっつり数Ⅲの微積、って感じの問題が去年に続き2題です。まあ山張りは良くないですね。万遍無く勉強しておきましょう。

 

 さて、今年も旧帝理系+東工、終りました。はてなブログは数式が或る程度打ち込めるのと、去年パソコンを買い替えてスキャンの設定をするのが怠いせいで、今年は画像としての解答を1つも挙げていません。その分、数式込みの解説が詳しいと思うから許して(ひょっとしたら後で足すかも?)。

2020東北大理系。

後味良く解けて楽しかったです。

 

難易度:やや易

昨年比:易化

 

1:(1)三角比の計算;(2)図形量のMaxmin(数式化し二次函数に帰着)、座標設定、誘導「結果の利用」。目標解答時間15分。

テクニックAB

記述量AB

発想力AB

総合難易度AB

 (1)は良いでしょう。

 (2)ですが、(1)を使って極座標的な考えで座標設定しろって事でしょう。でも(1)無しでも同じ事が出来ないと駄目です。

 誘導の使い方と座標設定と云う、教科書学習時には触れる機会が少ないであろう受験数学の常識2つがコンパクトに詰まった、良質なお子様ランチみたいな問題です。勿論、東北大理系志望者が解けないのは論外です。

 

2:(1)中学生の連立方程式;(2)直線と円が交点を持つ条件(点と直線の距離の公式);(3)誘導「結果の利用」「方針の利用」、和集合の表記。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)(2)は良いでしょう。

 (3)ですが、(2)に則りCとMの関係も求め(一応「方針の利用」):

・片方と2交点で交わりもう一方とは接し、しかも2交点と接線は異なる;

・両方と2交点で交わるけど交点1つは一致,

の2通りを考えます。後者は(1)の結果の利用ですね。和集合の表記ってだけでビビってしまった受験生がいるかもです。ダサw

 1に引き続き、受験初心者向けのお子様ランチ問題です。でもこれも(1)(2)無しでも解けないと駄目です。

 

3:不定方程式;(1)離散不等式(二項展開);(2)誘導「結果の利用」;(3)誘導「結果の利用」、しらみ潰し。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)ですが、まあ

3^n=(2+1)^n\gt 2^n+n2^{n-1}+\frac{n(n-1)}{2}2^{n-2}

でしょう。俺は「二項不等式」と呼んでいます。左辺を引くと

(2^{n-3}-1)n^2+3\cdot2^{n-3}n-8

となり、これが作題者側の模範解答である事が直ちに判ります。

 (2)は(1)より答の候補がn=1, 2のみと判ります。計算すれば両方共答です。

 (3)は(2)からn=1, 2のみで、後はしらみ潰しです。

 (3)だけで良い気がします。(3)だけなら総合難易度B~BCくらいですかね。

 

4:確率(該当パターン全調査、確率のMaxmin)。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 玉を出したり入れたりする問題です。えっちですね。

 (1)(2)は良いでしょう。でも(2)は取り出し方全パターン計算しなきゃなので、まあまあ怠いです。色が関係するのはここ迄です。

 (3)も5個目はn回目で取り出し、残りの4個をn-1回の何処で取り出すかを計算するだけです。

 (4)は数列の最大値です。p_{n+1}p_nで共通因子が沢山有るので、比を考えると良いと思います。

 玉5つがまあまあ多くて計算がうざいです。3つで良いだろ。金玉マニアかよ。

 

5:複素平面;(1)(2)複素数計算誘導;(3)複素平面の軌跡(円周、連続性)、誘導「結果の利用」。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量B

発想力A

総合難易度B

 (1)(2)は良いでしょう。

 (3)は(2)より円周上ですが、(1)のパラメータ考察する事で円周上半分と判ります。上半分全てを取る事はパラメータの連続性とかで議論します。集合の一致の議論ですね。

 去年の九大5の後半が全く同じ問題で、うちの某教員が各予備校の解答速報の集合の一致の議論が甘い事を指摘しプチ炎上しました。その先生は去年から確か東北大に移動したので、恐らく彼が出題したのでしょう。皮肉が効いていて良いと思います。(3)で円周の上半分を漏れ無く動く事の議論は、記述出来ていない受験生が多そうです(しかし本人は満点のつもり(笑))。2(3)に引き続き、集合の理解を問うている感じが窺えますね。これ等の議論が出来ない事は、数学を勉強した事が無い事の、極めて強い十分条件です。予備校の解答速報も一寸見ましたが、今年はちゃんと数学のお勉強をされたみたいですね。偉い偉い。

 

6:(1)積分漸化式(置換積分);(2)定積分計算(fgg');(3)積分漸化式(fgg'と置換積分の合わせ技)、誘導「方針の利用」;(4)誘導「結果の利用」。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量AB

発想力B

総合難易度B

 (1)は良いでしょう。1つ目はt:=x-\pi/2の置換、2つ目は\cos^2+\sin^2=1です。

 (2)はfgg'ですが、(1)に釣られて漸化式計算と勘違いした受験生がいるかもです(俺も初めこっちを疑ってしまった)。

 (3)は

\cos^m\sin^{n+2}=-(\cos^m(-\sin))(\sin^{n+1})

と見てfgg'を用いた部分積分です。これ単体だと一寸頭を使うかもですが、(2)をヒントだと思えれば少しハードルが下がったと思います。一応「方針の利用」と捉える事も出来るでしょうか。

 (4)はnが奇数の方は勿論、(3)の漸化式を繰り返し用い(2)に帰着です。一方でmが奇数の場合は(1)の一つ目から結局、nが奇数の場合に帰着出来るんですね。上手い。恐らく、特殊函数の特殊値の整数論とかを気にしている人なんかが作った問題でしょう(いやでもそんな大層なもんでもないか)。

 (3)(4)は易問ではないですね。(4)単体なら東工大とか京大の中堅以上も務まると思います。

 

 

 

 どれも易しいですが雑魚ではないです。良質な問題が並んでいると思います。満点近く取れば、この1年の努力も十分に報われると思います。ほぼ難易度順に並んでいるのも、受験生に優しい設計ですね。

2020東工大。

重厚な問題が少なく、余り東工大らしさは有りません。

 

難易度:やや易

昨年比:易化

 

1:(1)3の剰余類、絶対値(外す)、二次不等式;(2)誘導「結果の利用」。目標解答時間15分。

テクニックAB

記述量AB

発想力AB

総合難易度AB

 (1)は剰余類ですが、勿論、うざい絶対値は場合分けして外します。二次不等式の処理ですね。

 (2)ですが、(1)より3の倍数が周期的に現れる事から簡単に解けます。

 京大の「実験→予想」問題に近いでしょうか。ですが(1)が在るので、実験する気が無くても自然に出来てしまいます。(1)は要らなかった気がします。因みに「オイラー多項式」と呼ばれる自然数を順に代入していくと素数を大量に生成する多項式が在って(x^2+x+41とか)、その関連で23辺り迄ずっと素数なのかなあ、とか初め思いましたが、そんな事はなかったです。

 

2:(1)複素平面(正三角形の条件と\omegaの性質)、筋の悪い独立小問?;(2)京大型ハイパー三角函数(しかしそんなに難しくはない、座標設定(一般性を失わない)、対称性(崩す))。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量B

発想力B

総合難易度B

 (1)は多分有名なんだと思います(俺は複素数平面やってない世代だから知らん)。知っている証明を書いておけば良いでしょう。俺は\omegaの性質に投げました:与えられた式は中々取っ付き難いので、取り敢えず\alpha,\beta,\gammaが正三角形になる同値条件から攻める事にして、複素数の掛け算が回転を表す事から

\alpha,\beta,\gammaが正三角形を成す

\Leftrightarrow \underbrace{\frac{\beta-\alpha}{\gamma-\alpha}}_{=:z}=\omega\mbox{ or }\omega^2

\Leftrightarrow z^2+z+1=0

で、分母払えば与えられた式が出てきます。あら。

 (2)は恐らく(1)が使えるのでしょうが、俺は使いませんでした(如何使うかも判らん)。対称性を崩して座標設定します:

A:=(R,0), ~B:=(-\frac{1}{2}R,\frac{\sqrt{3}}{2}R), ~C:=(-\frac{1}{2}R,-\frac{\sqrt{3}}{2}R), ~P:=(R\cos\theta,R\sin\theta)

としましょう。てか最早、一言注意しておけば計算はR=1も仮定して良い気がします。これで計算すれば綺麗に\cos\theta, \sin\thetaが消えて答が出ます。対称性が高い設定をそれを崩し座標設定するのなんか、一昔前に京大でよく見たタイプの問題な気がします。但し、本問は別に難しくはない。

 1問目に続き、テーマが京大っぽいですね。

 

3:(1)空間ベクトル(同一直線上);(2)四角形の頂点の同一円周上条件選択(方べきの逆)、存在領域(雑魚)。目標解答時間30分。

テクニックAB

記述量B

発想力BC

総合難易度B

 (1)は良いでしょう。センターⅡBです。

 (2)ですが、4点の同一円周上の条件と言ったら:

1. (外心の候補が在る場合に限り)ある点からの距離一定;

2. 円周角の逆;

3. 対角の和180°;

4. 方べきの逆,

くらいでしょうか。後は今回は空間なので、同一平面上にいる事も一言指摘が必要でしょう。俺は初め、成分が具体的に与えられているので内積計算して上2つのどっちかだと思ったのですが、計算だけが膨れて如何仕様も無かったです。4ですね。Pの置き方もヒントと言えるかも知れません。最後の図示は要らんだろこれ。

 俺は(2)で方針を誤って内積計算をしたので凄い計算量に感じましたが、ストレートに正答を書ければ大した記述量ではありません。こう云う、図形の解法選択1つで大きく明暗が分かれるのも、東工大っつーよりは京大っぽいです。発想力(それも別に大した事ない)しか問えていない感じがして、個人的に嫌いです。

 

4:求積(斜軸回転)。目標解答時間30分。

テクニックAB

記述量BC

発想力A

総合難易度AB

 東工大名物数Ⅲの算数です。設定が怠いせいで計算量がまあまあ最悪です。y=\sin xからx+y=0に下ろした垂線とy=\sin xの交点が1つだけである事は、一言指摘が必要でしょう。ポイントはここくらいですね。満点以外在り得ません。

 

5:やや難の極限計算;(1)積分漸化式;(2)極限(収束に関する感覚(次数)、積分区間で定数化);(3)(4)極限(収束に関する感覚(次数))、誘導「結果の利用」「方針の利用」。目標解答時間45分。

テクニックC

記述量C

発想力CD

総合難易度CD

 ここ迄は東工大にしてはやや軽めでしたが、最後は極限の収束の感覚を問う、中々に高度な思考力を要求される問題です。でも何か極限に関する記述が変ですね(「kを限りなく大きくするとき」)。

 (1)は良いでしょう。部分積分2回です。a_{k+2}=\frac{4}{\pi^2}(k+1)(1-ka_k)となります。

 (2)ですが、問題文からka_kは収束するらしいので(勿論、示すべき事!)、特にa_k\rightarrow0の筈です(★)。すると(1)の漸化式で辺々k\rightarrow\inftyとする事でka_k\rightarrow1が判ります。以上の極限に関する議論は★さえ示せれば正当化出来るので、これをしましょう。しかしこれは、a_kの定義の定積分区間内で0\leq \sin \leq 1と評価すれば直ちに得られます。★は結論から先読みしないといけないので、中々発想力な感じです。★の感覚は以降もかなり重要になります。

 (3)は早速、★の感覚が必要になります。つまり、(1)よりA=1なのに注意し

k^ma_k-k^n

=k^n(k^{m-n}a_k-1)

ですが、ここでm-n\gt1ならこいつはk\rightarrow\inftyで正の無限大に発散する訳です。k\rightarrow\inftyの状況で、kの肩の数字の大小に注目するのは常識です。従ってm=n+1で、後はnを求めれば良いです:

k^n(ka_k-1) …☆

漸化式に立ち返りましょう。但し、主役は勿論、a_kではなく、今注目しているka_kです:(1)の漸化式で辺々k+2を掛け

 (k+2)a_{k+2}=\frac{4}{\pi^2}(k+1)(k+2)(1-ka_k)

\Leftrightarrow ka_k-1=-\frac{\pi^2}{4}\frac{(k+2)a_{k+2}}{(k+1)(k+2)} …♥

であり、これを☆に代入すると

 -\frac{k^n}{(k+1)(k+2)}\frac{\pi^2}{4}(k+2)a_{k+2}

となります。これが0以外の値に収束するってんだから、\frac{k^n}{(k+1)(k+2)}の分母分子の次数に注目しk=2で、この時、(2)と併せその極限は-\frac{\pi^2}{4}です。

 (4)(3)の解答と同様にして:

p=q+1 (これを仮定し)

k^r(k^{q-r-2}(k^3a_k-k^2)-B)からq-r-2=0\Leftrightarrow q=r+2

を予想します。「方針の利用」の誘導とも言えるでしょう。しかし、(3)よりも変数が増えている事から、議論は少々面倒です。上2つの予想が各々成り立たないとして、矛盾を導きます:

p\gt q+1\Leftrightarrow p-q\gt 1と仮定すると、

k^r(\underline{k^{q-r}(k^{p-q}a_k-1)}-B)

ですが、これでは(3)で見た通り下線部がk\rightarrow\inftyで正の無限大に発散し、従って全体も正の無限大に発散し矛盾します。従って以降では、p=q+1を仮定します;

q=r+1と仮定すると、

k^r(\underline{k^{-1}(k^3a_k-k^2)}-B)

ですが、下線部は0に収束するので全体としては負の無限大に発散し矛盾します;

q\gt r+2\Leftrightarrow q-r-2\gt0と仮定すると、

k^r(\underline{k^{q-r-2}(k^3a_k-k^2)}-B)

で、下線部が正の無限大に発散し、従って全体も正の無限大に発散し矛盾します。

以上からq=r+2, ~p=q+1=r+3で、後はrを決定すれば良いです。

k^r(k^2(ka_k-1)-B)

=k^r(-\frac{\pi^2}{4}\frac{k^2}{(k+1)(k+2)}(k+2)a_{k+2}+\frac{\pi^2}{4}) (∵♥)

=\frac{\pi^2}{4}k^r\frac{(k+1)-k^2a_{k+2}}{k+1}=:\spadesuit

ここで手が止まる訳ですが、大元の(1)の漸化式

\frac{\pi^2}{4}a_{k+2}=(k+1)-k(k+1)a_k

\Rightarrow \frac{\pi^2}{4}a_{k+4}=(k+3)-(k+2)(k+3)a_{k+2} …♣

を思い出せば、♠の分子はこいつの右辺に(次数やらの情報が)近い訳で、これを無理矢理作り出せば更に計算が出来そうです:

(♠の分子)

=(k+3)-(k+2)(k+3)a_{k+2}-2+5ka_{k+2}+6a_{k+2}

=\frac{\pi^2}{4}a_{k+4}-2+5(k+2)a_{k+2}-4a_{k+2}.

(定数)a_〇\rightarrow 0と(1)より(k+2)a_{k+2}\rightarrow 1である事に注意しつつ

\spadesuit=\frac{\pi^2}{4}\frac{k^r}{k+1}(5(k+2)a_{k+2}-2+\frac{\pi^2}{4}-4a_{k+2})

が0以外に収束すれば良いから、r=1で、この時\frac{3}{4}\pi^2に収束します。

 極限の次数等の感覚に注意しつつ、結果も先読みしながら極限計算を調整する事が要求され、かなり高度な問題だと思います。(3)(4)は試験場では一寸厳しいかもですねえ。

 

 

 

 5(3)(4)以外は難しくないと思います。1,3(1),4,5(1)は絶対に解ける筈です。後、2,3(2),5(2)は微妙で、ここから1問分弱取れれば十分でしょうか?5(3)(4)は中々難しいですが、別に無茶振りって程でもないです。他が大した事ない事から、数学自慢は十分取り組めたと思います。

2020名大理系。

難しい上に怖い問題が多いです。

 

難易度:標準~やや難

昨年比:やや難化

 

1:(1)解↔交点の言換、二次方程式の解の配置;(2)三角形の面積の公式選択((底辺)×(高さ)÷2);(3)Maxmin(2変数、置換で1変数化→微分)。目標解答時間35分。

テクニックC

記述量BC

発想力C

総合難易度C

 初っ端から良いパンチ打ってきますねえ。俺は見事にやられましたよ(笑

 (1)勿論、x座標に関する方程式の解の存在条件に帰着です。図形的にb≠0である事に注意しながら連立すると、二次方程式

(a^2-b^2)x^2-2ax+(1+b^2)=0

の解の配置問題に帰着されます。交点が各々の連結成分に1つずつって条件から、解が各々、正と負なら良いので、最高次の係数の正負で場合分けしx=0での値を見れば良いのですが、定数項1+b^2\gt 0の条件から、最高次が正の場合は死に、負の場合は常に成り立ちます。従って後者、即ちa^2-b^2\lt0が答えです。

 (2)はやられましたよ。三角形の面積の公式のどれを使うかが問題ですが、まさかの(底辺)×(高さ)÷2です。いや、座標なんで初めはベクトルだと思ったのですが、計算が爆発して終りました。勿論、その後、三角形の公式を思い付いた順に考えた訳ですが、(底辺)×(高さ)÷2は最後だったので、凄く時間が掛かりました。高さは点と直線の距離の公式ですね。

 (3)はt:=a^2-b^2\lt0とし微分です。

 最初も言った通り、初っ端から最悪でしたよ。(2)は正しい公式選択が出来る迄、只管時間を食います。

 

2:(1)大小比較(次数の感覚);(2)ディオファントス方程式(積の形と素数)、誘導「結果の利用」((1)の大小比較から場合分けを絞る)。目標解答時間20分。

テクニックB

記述量B

発想力B

総合難易度B

 (1)は良いでしょう。強いて言えば、次数に関する大小の感覚ですかねえ(2次 vs 4次)。

 (2)は右辺が素数の積で左辺も積の形になっているので、解のパターンは限られますが、(1)からそのパターンは更に絞られます。

x^2+2xy+2y^2=(x+y)^2+y^2\gt (x+y)^2

がポイントです。若干発想力ですが、(1)の利用を意識していれば見抜ける筈です。

 易問とは言いませんが、本セットではこれがぶっちぎりで1番易しいと思います。

 

3:やや難の不等式の証明の解法選択総合;(1)不等式の証明(図形量の比較と見る、凸性と傾き);(2)定積分込みの不等式の証明(特別な不等式の利用((1)の不等式)、積分区間を弄る)、誘導「結果の利用」、\cosの周期性;(3)定積分込みの不等式の証明(部分積分)、誘導「結果の利用」。目標解答時間40分。

テクニックCD

記述量BC

発想力CD

総合難易度CD

 全小問、不等式の証明で、その各々が独立した大問並みの凶悪さを秘めています。

 (1)いきなり酷い難易度です。

F(x)\geq 0

\Leftrightarrow f(2\pi-x)-f(\pi-x)\geq f(\pi+x)-f(x)

\Leftrightarrow \frac{f(2\pi-x)-f(\pi-x)}{\pi}\geq \frac{f(\pi+x)-f(x)}{\pi}

と、直線の傾きの比較に帰着します。不等式の証明の解法「図形量の比較と見る」ですね。0\leq x\leq\pi/2の仮定からx\leq\pi-x且つ\pi+x\leq 2\pi-xが判るので、凸性から先の傾きに関する不等式は正しい事が判ります。凸性のヒントだけからこいつに辿り着くのはかなり高度だと思います。因みに俺は初め、よく在るF(0)\geq 0且つF'(x)\geq 0の流れかと思ってF(0)\geq 0を示そうとしていて、傾きの解釈に気付きました。こっちの方が若干、見え易いのかも知れません。しかし以上の議論から「従って凸性から明らか」とするのは、余りに直観的に過ぎる気がしてきました。でもここから更に厳密性を期すなら、それはもう凸性の定義(任意のグラフ上の異なる2点を取ると、その間の点は先の2点結んだ直線より下)を用いないといけない気がするのですが、恐らくこれは高校生は知らないでしょう。てかこんな事を言い出したらそもそも高校数学では2回微分と凸性の関係も直感的な説明で済ませているので、まああんま気にしないで良い気もします。答案には「ここの議論はグラフのイメージに依っており厳密ではないけど、厳密ではない事は理解しているので、許してください」とか書いておけば良いでしょう。

 (2)は名大名物、定積分込みの式処理の問題です。但しこれも一筋縄ではいかない。定積分込みの不等式と言ったら:

1. 積分区間内で評価;

2. (部分積分等で)(或る程度)積分計算;

3. 区間調整,

辺りがテクニックになるでしょうか。今回は3です。15阪大1や15東大6でも使っています(これ等は確か極限用の評価不等式立式に使った気がする)。そしてこの積分区間変更により、(1)が使える形に超無理矢理式変形します:(1)の\pi/2って数字にも注意しながら

\int_0^{2\pi}f(x)\cos xdx=\int_0^{\pi/2}+\int_{\pi/2}^{\pi}+\int_{\pi}^{3\pi/2}+\int_{3\pi/2}^{2\pi}

区間を分け、例えば2つ目の\intなら

\int_{\pi/2}^{\pi}f(x)\cos xdx

(x:=\pi-t)

\int_{\pi/2}^{0}f(\pi-t)(-\cos t)(-dt)

\int_0^{\pi/2}\{-f(\pi-x)\}\cos xdx

とかします。これで(1)が適用出来ます。

 (3)は今度は(2)迄は2回微分に関する情報なのに比して今回は1回微分の情報である事から、符号にも注意しつつ(2)が使える様に

f(x):=-\int_0^xg(t)dt …★

とすれば出来ます。しかし俺はこれ、(2)で初め部分積分だと思ってそれを実行した結果(3)の形が出てきたために偶々直ぐに思い付いただけで、恐らくそうでもなければ★の発想はこれまたまあまあ難しい気がします。でも本問、1つ疑問を呈すとすれば、そもそも★の様にfを置けるのか、つまりg積分可能なのか、って話です。まあ結論から言えばg微分可能である事から連続で、そこから(リーマン)可積分である事が(大学の微積の知識を使えば)判ります。大学の数学を勉強すると、積分可能性ってのは中々にデリケートな問題である事を思い知らされるので、それを言及無しにやっちまうのは数学科としては少々ムッとします。

 各小問とも、空気を読んで条件を使っていかないといけないところなんか、まじでむずいです。

 

4:(1)(2)確率(漸化式(しかし漸化式を立てるのは問題文で与えられているのとは別の数列!余事象っぽい)、偶奇性と見せかけてそうでもないトラップ);(3)離散不等式の証明(階差の考察)。目標解答時間35分。

テクニックBC

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 名大名物の重厚な確率漸化式ですが、今年はこいつもかなりの思考力を要求してきます。

 まあ(1)は良いでしょう。

 (2)は漸化式ですが、立てる漸化式はp_nについてではなくn解振った直後に:

・コマが対角に並ぶ確率D_n

・コマが隣り合う確率N_n

に関する連立漸化式です。如何発想したかと言うと、余事象、即ちn回振ってもゲームが終っていない確率を考えようとすれば、このD_n, N_nの場合分け含め自然に見付けられます。ですがこの連立漸化式、解くと\sqrt{2}が残って大変汚い!まあでも仕方無いです。17東工大4もこんな感じでした。

 (3)は離散不等式の証明です。nが奇数の場合だけ考えれば良く(こっちの方が先手が沢山攻撃出来、勝つ確率が高い筈!まあでも別に偶数もやってしまっても良い)、となると帰納的にp_{2m+1}\mbox{ vs }p_{2m}の比較となります。階差の比較ですね。もう良いでしょう。

 さて、(2)の数列を見付けられるかが鍵です。まあでも上でも述べた通り、確率の解法選択をちゃんとしていれば出来る筈です。

 

 

 

 ここ数年、(名大にしては)穏やかな傾向が続いていましたが、今年は中々難しかったと思います。2は取るとして、他に確実に取れそうなのは1(1),4(1)くらいです。ですがこれだと4割も無いでしょう。もう少し頑張って、半分弱で十分ボーダーくらいには届くのでは?3は正直、かなり難しいと思います。1つ思い付けないと以降何も出来ない、みたいな怖さの有る問題が多かったのも、難度上昇に寄与している気がします。怖いですねえ。