予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

俺様史上最高の出来なので、ひょっとしたら受かるかも知れない申請書。

 前の記事をご覧になった某先生が「落ちるよりも受かると口にしていた方が受かるものですよ」と言ってくださったので、この記事では「受かる」と口にしてみようと思います。

 

 いやてか前の記事の最後でも一寸追記しましたが、正直「ひょっとしたら受かるんじゃね?」とは思っています。いやだって本当にめっちゃ良い申請書なんですってまじで。学振の審査って「必ずしも自分と専門が近い訳ではない人」も審査員にいる訳ですが(と言うか寧ろ殆ど?)、そういう人にも絶対に読んでもらえる様にまじで気合入れて書きました。てか、非専門向けの高さ函数(俺の専門です)の概説文章としてもめっちゃ優れていると思います。

 研究の趣味も良い。だって高さ函数って「絶対値の一般化」ですよ?こんなもん、大切に決まってるじゃないですか。確かに数学自体は簡単かも知れないですが、寧ろこれだけ基本的なものでも未だこれだけやるべき事が数学には残っているんです。前の記事でも同じ様な事を書きましたが、小難しい事をやる前に先ず大切なのは基本ですよまじで。

 あー駄目だまじで受かる気がしてきた。今まじでこんな気分です:

【HD画質】Z会TVCMまとめ 【初代~四代目】 - YouTube

もう受かる気しかしねーぜ!ふぁーっ!

俺史上最高の出来だけど、それでもきっと落ちてしまう申請書。

 日本には「学振」と呼ばれる、優秀な博士課程の大学院生や若手研究者に生活費を支給する制度が在ります。自分の研究について述べた申請書を書いて提出し、それを審査されて大体5倍くらいの倍率を勝ち抜けば、生活に困らない程度のお金を2~3年間貰う事が出来ます。まあ学振については調べてくれればもっと詳しく書いてくれているサイトが沢山在るんで、そっちを見てもらう事にして、今回するのは、この学振に関する俺の自分語りです。

 

 さて、博士課程の大学院生の場合、学振に応募する機会は、最大で3回有ります。俺の場合、1回目の頃は研究の「け」の字も頭に無い状態だったのでそもそも応募せず、2回目3回目には応募はしたけどかすりもせずに落ちました。*1そして、今年は若手研究者向けの方の学振に応募しようとしていて、その申請書をたった今、書き上げたところです。

 我ながら、本当に良い申請書が書けたと思います。体裁の為の上っ面の言葉が一切無く、一文一文が互いに繋がって「俺は何故この研究をしたいのか?この研究は将来に何の役に立ちそうか?」という事をまじで語っています。

 けれどまあ、今回も恐らく落ちる訳で、だからこそこの``素晴らしい''申請書が、半年後には「学振落ちの紙切れ」になってしまう事が、本当に悲しい訳です。少なくとも大学院生向けの方の学振には十分通りそうな出来だと思っているので、クオリティだけなら後輩とかの参考にも十分なり得るものだと思っているのですが、落ちてしまう以上、縁起が悪くてとても他人様に見せられたもんじゃない。と言う事で、自信が無い理由は簡単で、この申請書は飽く迄「学生にしてはよく出来ているレヴェルに過ぎない」からです。何より、俺には研究業績が圧倒的に足りない。俺は未だ、論文を3本しか書いた事が有りません。更に、3本とも(俺にしては中々に頑張ったと思ってはいますが)優秀な人達からしたら、まあ大した研究じゃないんだとも思います。*2つまり、結局は「文章として優れているだけのもの」が書けたってだけなんで、多分、ライヴァル達には数学でちゃんと負けちゃうと思うんですよね。

 「俺の数学は簡単過ぎる」みたいな事を言いました。これについて、俺は現在、博士課程3年の学生な訳ですが、俺が今持っている研究成果や、或いは今取り組んでいる研究って、どれも学部生とか修士課程の頃に出来たものだと思うんですよね。「じゃあ実際、てめえはその頃、何をしてたんだ?」って話ですが「偉い人達が``良い数学''と呼ぶものを盲信して、それ等を勉強する為に身の丈に合わない分野に特攻して、結局は2年近くを棒に振った」って感じです。*3だから、身の程を弁えて確りと自分に出来る基礎から勉強してさえいれば、きっと今の自分の研究成果を、先に述べた通り学部や修士の頃に確り出せたと思うんですよね。そう思うと、今回の申請書も大学院生向けの最初の学振に提出出来た気がしますし、それならきっと通ったと思うんです。勿論「痛い目に遭って初めて自分の身の程を知った」みたいなところ迄含めて俺の実力だった訳で、「だから俺はもっと出来た筈だ」みたいな主張をする意図は全く有りません。そうではなくて、「折角こういう経験をした訳なんだから、こいつを少しでも後進の人達の役に立てたい」と思うのです。「自分で経験して知るには何年も掛かる事であっても、人から聞いてしまえば一瞬」みたいな知識が、世の中には意外と溢れている気がしていて、この「身の程を弁えた数学との向き合い方」も、その内の1つである気がします。勿論、才能が有る人なら、自分の好きなものに思う存分チャレンジすれば良いと思います。また、そうではない人にも、決して「無理だから大人しく身の程に合った数学だけやってろ」なんて言い放つつもりは一切有りません。ただ、少なくとも「修士の内にこの大理論を勉強して、この内容で修論を書いて、学振も貰うんだ!」みたいなのは、まじで無謀なんで止めといた方が良いって事です。「いや長い数学人生なんだし、況してそんな大理論なら、ゆっくり勉強すれば良いじゃないか。そうして確保した時間で、現実的なものにも目を向けてみようじゃないか」って話です。「漠然としたネームバリューへの憧れではない、ちゃんと自分の手で触れる数学」をして初めて、研究とかに関して色々と気付く事も在る様に思います。

 てか、周囲の大学院生達を見ている感じ、やっぱ論文の様に目に見える成果として「自分はちゃんと数学出来てる」みたいなものが無いと、段々と病んでいってしまう人が殆どな気がします。なので、少なくとも何かしら関わりが有る後輩とかには、出来ればそうはなって欲しくないと思う訳です。ただまあ、これも結局は俺の気持ち悪い自己満足の押し付けに過ぎない気もしますし、やっぱ人とのコミュニケイションって、難しいですよねえ。俺って多分「``他人の為を思って行動する''って設定の自分」が好きなだけで、本気で他人の事なんて考えていやしないので、この辺はまじで「俺って人間性終ってるなー」って思います。*4

 

 いや話が大分逸れましたね。兎に角、「頑張って書き上げた``素晴らしい出来''の申請書が、誰の役にも立ち得ない只の紙屑になってしまうであろう事が、とても悲しい」というお話でした。

 

 

追記:

 何かあたかも「俺のやり方が正しい」みたいな言い方しちゃいましたけど、そんな風には全く思っていません。俺は結局「難しいものに正面から立ち向かう」という事を諦めてしまった人間なので、逆に「苦しみながら大理論に正面から立ち向かい続ける」という数学のスタイルを続けた末に成功した人からしたら、俺みたいな奴の方が研究者として間違っていると思われるんだと思います。*5

 俺が正にそうなんですが、(余程信頼している相手でもない限り)他人の話なんか基本的に聞く気になれないし、結局は各々自分が正しいと思うやり方をするしか無いんでしょうね。だって俺も大して仲が良い訳でも無い``偉い先生''から「ハーツホーンを読んでない奴が研究なんてけしからん!今直ぐハーツホーンにだけ取り組め!」とか言われても「五月蝿えばーか」としか思いません。但しまあ、流石に「ばーか」とは言いませんが「あなたとは考えが違うんで、仰る通りには出来ません」くらいは言える様になりたいですよね。向こうも向こうで、これ以上俺に関わっても時間の無駄だろうし、相手の事を思っても、です。

 あの、てかこれ俺の我儘なんですけど、若し俺から「考えの押し付け」みたいなのされて嫌だって人がいたら、まじで言ってください。それで恨んだりとか絶対にしません。寧ろ嫌がっている相手に色々言っちゃう事の方が遥かに嫌なんで、はっきり言ってくれる方が有り難いくらいです。他人の言葉の裏を読もうとする割に、まじで他人の気持ちが一切判らない人間なんですよね。いや本当、人間関係って難しいわ。ハーツホーンの半分くらいむずい。*6

 

追々記:

 「きっと落ちてしまう」という表現も、推薦書を書いてくださった先生方に凄く失礼な気がしてきました。本当にごめんなさい。でも、流石に「受かりそう」とは思えませんが、正直「ひょっとしたら間違って受かっちゃうんじゃね?」くらいは思っちゃってます。それくらい(自分の中では)頑張って書けたつもりなんです。いやでもこうやって一寸期待とかしちゃうと落ちた時にまたちゃんと傷付いちゃうんで、あーもーやだー。

*1:学振は落ちると順位を付けられて返ってくるのですが、2回とも真ん中くらいでした。倍率5倍なんで、話にならない順位ですね。

*2:俺的にはまじで趣味の良い研究をしていると思っているんですが、如何せん、数学の内容自体が少々簡単過ぎるんですよねえ。

*3:いや曲がりなりにも勉強してたってんなら未だましだったんですけど、実際には学部4年の半ばから修士1年の冬辺り迄の1年以上の間、もう本当に数学が嫌で嫌で仕方が無くて、殆ど何もしていませんでした。

*4:「○○な自分が好きなだけなんじゃないのか?」って自問を普段からし過ぎているせいで、最近は何が本当の自分の感情なのか、よく判らなくなってきてしまいました。しかし、こんな風に真面目に悩んでしまう自分の事もこれはこれで本当に大好きなので、もう如何仕様も在りません。

*5:つーか俺未だ研究者じゃねーし💩

*6:てかハーツホーンハーツホーン言ってるけど、実際俺が読めなかったのは上野先生の本です。況やハーツホーンをや。誰が(俺を)数学嫌いにしたのか。

「人を信頼する」という事について。

 ツイートしようかと思ったんですけど、長くなりそうなんでここに書きます。基本的にこういうのはワード(最近はテフかな?)で文章にして自分のパソコンの中だけでしまっておくのですが*1、今回の話は何処かしら人目に付き得る場所に書いてみたくなったので、そうします。

 

 先ずはタイトルの「人を信頼する」という表現について、ここ最近の俺の考えの変遷について整理しながら述べてみます(考えながら書くので、かなり行き当たりばったりだと思います):

 俺って最近迄「人を信頼する」という言葉の``定義''を「その人に``裏切られて``も許す」という風にしていたのです。しかしながら、こういう言い回しをしてしまう事自体が、結局、人から``裏切られる''可能性を想定している、もっと言えば、人から``裏切られる''事を恐れているからこそのものなのではなかろうか、と思った訳です。だって、俺は家族、特に両親を心から``信頼''していますが、今「両親を``信頼''している」という表現をした際、万が一にも、うちの父ちゃん母ちゃんが俺の事を``裏切る''なんて事を想定してはいないからです。その意味で、結局、俺が本当に``信頼''しているのは両親くらいのもんであり「俺って他人を信頼する事は出来ないのだろうなあ」なんて思ったりもした訳です。しかしながら、ここで注目したいのが、ずっと引用符を付けてきた通り、今度は「裏切る」という言葉の定義を確りせんとならんだろう、という事についてです。と言うのも、「人が人を裏切る」という行為には、大きく次の3通りが在ると思われるからです:

1. 裏切った側に悪意が有る場合;

2. 裏切った側に悪意は無くとも落ち度は有る場合;

3. 裏切った側に悪意も落ち度も無い場合。

このままだとやや抽象的ですので、具体例で考えてみましょう。例えば、「XがYからお金を借りる」とします。この時「端から返すつもりが無い、何なら相手を困らせる目的で``借りる''」という場合が、1に該当します。一方で「最初は返すつもりだったが、その後のXの計画性の無さや怠慢等が原因で、お金を用意出来ずに返せない」という場合が、2に該当します。そして「返すつもりで借りたが、病気等で返せなくなってしまった」というのが、3でしょうか。勿論、この区別も未だ未だ完璧ではありません。例えば:

・2の裏切りの理由も、「計画性が無い」と「怠慢」ではかなり別物でしょう(前者は単に頭が悪いだけだけど、後者は矢張りXの人間性の問題を孕んでいる様に思われる);*2

・1と2は(Y側から見た際の)区別が曖昧。つまり、Xが最初から悪意を持っていたのか否か、Yからは結局は判らない;

・2と3の区別も曖昧。つまり、先程「病気で返せない」というのは3の例として挙げましたが、その病気ってのが生活習慣病みたいに本人の不摂生に由来するものだったりしたら、2の「計画性の無さ」と区別が曖昧になってくる訳です。

とまあ以上、この区別が必ずしも完璧なものではない事は認めた上で、例えば先の自分の親の話で言えば、2, 3の裏切りは十分想定出来る訳で、その意味で俺の親への信頼は「2, 3の裏切りは許すけど、1の裏切りはそもそも想定していない」という種類の信頼と言えるでしょう。あーてかそもそも1, 2, 3の区別が曖昧な中で「1の裏切りは想定していない」という風に思っている事こそも、相手への信頼の度合いと言って良い気がしてきました。つまり、自分がYになったと思い、終ぞXが金を返さなかったとして、その裏切りが2と3(或いは1と2)の区別が付かない時に、Xは2と3(或いは1と2)のどっちの裏切りをしたと見做すか、という事が、正にYのXへの信頼度合いを表している様に思います。俺の場合で言うと、仮に親から(傍から見たら)1と2の区別が付き難い裏切りを受けた場合、俺は無条件に2だと見做す、という感じですかね。即ち:

・如何いう裏切り迄なら許すか;

・如何いう裏切りかの区別が付き難い裏切りを受けた場合、ポジティヴに解釈し易いか、或いはネガティヴに解釈し易いか,

という2つの点が、相手への信頼度合いを示していると言えるでしょう。後者について言えば、自分から相手への好意の他に、相手の能力等の高さへの評価も判断材料となり得るでしょう。例えば「俺はYを個人的には余り好きではないけど、でもYはそんな事をする様な卑劣な人間ではない」みたいな判断の仕方も、十分在り得ると思うのです。

 ここ迄くると、かなり整理されてきた様に思います。そして、俺に関して言えば、矢張り親並みの信頼を寄せられる人間ってのは、この先、恐らくは出てこないだろうとは思いますね。それは単にこちらの頭の中での好意だ何だだけの話ではなく、相手の立場も考えての事です。つまり、大体の人は先ずは1番可愛いのは(俺同様)自分だろうし、そうでないとしたら、その愛情が向けられる対象は、矢張り家族なのだと思われます。他人は所詮、他人でしかないのです。ですがこの「他人は所詮、他人でしかない」という考えは、別に全然、ネガティヴなものではない様に思います。だって、仮に他人に対して家族以上の信頼を寄せる様な人間がいたとしたら、それはもう信頼なんてものではなく、単なる依存でしかない気がしますからねえ。

※あーいやてか何か言葉遊びをし過ぎて混乱している感じがしますね。結局、上で言う``裏切り''の内、悪意なり人間性の問題なりが在るものだけが、一般的な意味で言うところの「裏切り」ですかね。後は「裏切りかそうでないかが曖昧なものを、裏切りであると判断し易いか否か」という事ですね。いやー本当、文章にすると色々とスッキリしてきて良いですねえ。ついでに「こんなに沢山文章を書ける俺」にも酔えますし♪ っつー事で以上、纏めると:

・悪意や人間性の問題なりが有った上で、こちらに不利益を生じさせる行為を「裏切り」と呼ぶ;

・「他人に対する信頼」の定義は、「裏切りを1度に限り許す」とする(系として、1度裏切った相手は、許しはしてももう信頼はしない);

・裏切りかそうでないかが曖昧な行為をどちらと判断し易いか否かも、相手への「信頼度合い」を表している;

・家族等一部に対する「信頼」は、そもそも裏切りを想定すらしていない;

・では他人への「信頼」の定義は、暗に裏切りを想定した(恐れた)ものという事にはなるが、「他人は飽く迄、他人である」という大前提を考えれば、これは必ずしもネガティヴなものではない;

・矢張り俺は俺の事が好き。

 

 と言う事で、以上、書いている間に段々と俺は頭の中は整理されて満足してきたのですが、満足ついでに最後に自分語りもしておきましょうか(俺は兎に角、俺の事が好きなもんで):

 そもそも、何で俺はこんなに親を信頼しているのかって話なんですが、1番の理由は、小学生の頃、夜中にでかい地震が在った時に、うちの親は真っ先に俺(と妹)を守ろうとしたんですよね。子供ながらに「この人達って、俺達の為なら「自分の命を投げ出す」という判断を瞬時にする人間なんだ」と感動した覚えが有ります。これが間違い無く、俺の両親への全幅の信頼の1番の理由です(勿論、これだけでは全くなくて「28歳(2021年4月現在)にもなって仕送りを続けてくれている」とか他にももっと色々在る訳ですが、余り話過ぎると長くなるんで、ここではこれだけで)。しかし、最近思うのは、この出来事は俺の「人を愛する」という事への呪縛になっている気もするという事です。と言うのも、俺は俺自身の事がもう本当に可愛過ぎて、うちの親が俺に対してして見せた「自分の命を投げ出す」というレヴェルの愛情を自分以外に向ける自分を、全く想像する事が出来ないのです。勿論、世の人々を見るに、自分の中に「潜在的な他人への愛情」なんてものが有ると事前に見極めた上で結婚だの子供を作るだのする人間は殆どいない訳で(恐らくはうちの親もそう)、その意味では俺も「結婚してから/子供が出来てから変わる」という可能性も在る気はするのですが、それにしても俺は本当に自分の事が可愛過ぎて仕方が無い。そして「子供よりも自分の方がずっと可愛い」という``親''は、矢張りそれなりに見苦しい気がするので、そうはなりたくはない。うーん童貞拗らせ過ぎているんですかね?自分じゃもう全く判らん。

*1:勿論、これは「こんな几帳面な俺を皆知って」アピールです。

*2:ここで「頭が悪い」という表現も、矢張り定義が難しいです。つまり、一般に「頭が悪い」という表現は相手へのかなり強い馬頭である訳ですから、寧ろ人間性が劣っているという人間にこそ言い放ちたくなる訳です(と言うか俺は普段、人間性が劣った人間への攻撃として使う場合が多い)。但し、これも話し出すとまた長くなりそうなんで、ここでは余り触れない事にします。

2021年度春学期代数学I.

 今年もしこしこやっていきましょうかねえ。

 取り敢えず、例年通り演習問題の解答を作っていきます(毎週更新):演習略解.pdf

 演習問題は去年と大体同じになるっぽいんで、去年のページも参照しておきます。

 

※オンラインって事で全問題の解答を正式に配布しようって事になったんで、ここでの解答の更新は停止しますね。配布するのはレポート提出後の予定なんで、少々お待ちください。

 

 後は、講義で使われる教科書(堀田先生の代数入門)は、数学的にはとても良い本で、読めるのならこれを読んでおけば良いのですが、恐らく初学者にはまあまあ難しい気がするので、代替本を幾つか紹介しておきます:

・中島匠一先生「数論と代数の基礎」共立出版
 俺が初めて読んだ代数の本です。定義導入の動機付け、定義や定理の使用上の注意、証明の記述、どれを取ってもかなり丁寧です。(数学科の学生なら)ほぼ万人に合う気がしますが、章分けが少し独特で(初等整数論→環論→群論)、講義と併用するには一寸工夫が必要だと思います。学校の先生を目指す人なんかは、前期で環論と群論を読んで、夏休み中に初等整数論の章を代数の言葉に翻訳しながら読んだりすると、とても良いと思います。演習問題の解答は本には載っていないですが、リンク先の共立出版のホムペに在ります。後は、アマゾンで低評価が幾つか在りますが、代数を勉強する資格が無い人(高校数学を理解していないレヴェル?)が付けたものだと思われるので、数学科の学生なら無視して良いでしょう。
 
・川口周先生「代数学入門」日本評論社
 定義定理の使用上の注意も、証明の記述もとても丁寧です。例が凄く豊富且つ丁寧で、理解の助けになると思います。代数II以降の内容にも触れられていて、中島先生の本に比して、専攻決定以降も代数を使うかも知れない人向けだと思います(勿論、自分で目を通してみて記述が気に入った方を優先してください)。暗号とか符号の話にも触れているので「代数やりたい/好きだけど純粋数学オンリーはちょっと怖い」みたいな人にも良いと思います。特に九大だと需要が高そうですよね。因みに、この本は九大図書館のホームページで無料でダウンロード出来ます。
新妻弘先生、木村哲三先生「群・環・体入門」共立出版
 定理の証明が凄く丁寧です。レイアウトが凄く読み易いです(レイアウトを気に入るか如何かは実はモチヴェイション維持の上でかなり重要である事が統計的に実証されている)。中島先生や川口先生の本と違って、動機付けとか使用上の注意みたいな手取り足取りの説明は余り無いですが、寧ろこういう本の方が好きな人もそこそこいるのではないかと思います。例題や演習問題も豊富で、高校の教科書みたいな本です(リンク先のアマゾンのページで中身が結構見られます)。
 
・野﨑昭弘先生「なっとくする群・環・体講談社
 (恐らく)非数学科向けに、兎に角、具体例等の動機付けを丁寧に挙げながら、代数Iで扱う「群・環・体」について解説しています。この本だけでは代数を習ったとは言えませんが、如何しても苦手で「取り敢えず講義を聴ける様にする為に何とかならないか?」みたいな本を探している人には、ひょっとしたら良いのかも知れません。集合とかも最低限の事は初めに纏まっているみたいです。
 
・石井俊全さん「ガロア理論の頂を踏む」ベレ出版。
 「ガロア理論」とありますが、代数Iの内容と、更にそれに必要な集合論線型代数についても丁寧に書かれています。アマチュアの方が書かれた本で、正直、数学的に気に入らない記述が色々と在るのですが、兎に角、説明や例や例題が大量に書かれており、また非数学系の愛好家みたいな人達からの評判がとても良いみたいなので、如何しても苦手って人は、検討してみても良いのかも知れません。まずい表現等は、演習発表やセミナー発表で叱られて直せば良いでしょう。
 とても分厚い本ですが、それは兎に角、説明が沢山書かれているからであり、内容はそんなに多くはありません。本書が扱っている``ガロア理論''についても、代数IIIで習うそれのスペシャルケースに過ぎません(より正確に言えば、考察対象を\mathbb{Q}の有限次拡大に限定している)。

マッチングアプリに登録してみたけど直ぐに退会しました。

※ごめんなさい。こんな記事を書きましたが、何かどっちもメッセージのやり取りに金が掛かるみたいなんで止めました。いやまじかよやり取りだけで月3000円とか洒落にすらなってねえ。もー折角女の子と話す機会が得られると思ったのに!やっぱ学振の無い学生に恋愛は難しいのかも知れませんねえ(てかメッセージ寄越すのとか絶対に月額料金払わせる為のサクラだろ)。学生は大人しく数学やってろって事ですね💩

 

 ここ最近、俺のツイッターのタイムラインで、何故か恋人やら結婚やらの話題が矢鱈と続いているんで、それに影響されて「Pairs」と「Match」というマッチングアプリに登録してみました。

 別に今直ぐ恋人が欲しいとか結婚したいとかではないんですけど、思えば俺って「年齢の近い女の人とゆっくり話した」みたいな経験が殆ど無くて、なので単純に「女の人と会話するって如何いう感じなのか?普通に男と話すのと変わらないのか?それとも矢張り「女の人って一寸違うな」ってなるのか?」みたいな事が知りたくなった、って感じです。友達と女の子の話とかになっても、俺って現実の女の子の事を殆ど知らないから、憶測とか10年以上前の経験とかでしかものが言えなくて、それも一寸悲しかったんですよね。後は、「年収とか身分が不安定である事が、この手の市場でどれくらいのビハインドになるのか」みたいな事も判ったりすると、面白いですよね。

 いや登録したっつっても今のところ本当にプロフィールやらを書いて登録したってだけだし、恐らくそんなにがっついて利用する訳でもないと思うんで、如何なるのかは判りません。ただ、取り敢えず今日は1つ新しい事をしたんで、何か一寸達成感が有って気持ちが良いです。

2021北大理系。

 或る意味北大らしい難易度に戻りました(或いは戻り過ぎて通り越してしまった?)。

難易度:おちんちんが生える程易

昨年比:おちんちんが取れる程易化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:平面ベクトルの定期テスト問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 テーマは射影ベクトルですが、そんなもん知らなくても如何とでも解けます。

 

2:最大最小(相加乗)、数IIの微積の共通テスト問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 (1)なんか共通テストの問題ですよね。(2)は当然、相加乗ですが、こんなのの最小値を考えて何が面白いんですかね?

 

3:(1)指数方程式;(2)最大最小(相加乗)、底の変換公式、やや意地悪な小問。目標解答時間15分。

テクニックA

記述量AB

発想力AB

総合難易度A

 (1)は良いでしょう。2変数ですが、ほぼ教科書の例題です。

 (2)は一瞬、見た目が一寸怖い気がしますが、何て事は在りません。

\log_ab=\frac{1}{\log_ba}

ですね。底の変換公式のスペシャルケースです。後は(1)を使って相加乗ですが(今年は相加乗好きだな)、(1)の問題文的にy^2を消去するのかと思いきや、消去するのはxです。若干意地悪な感じがしますが、まあ難易度には影響無いでしょう。

 

4:数学的帰納法定期テスト問題。目標解答時間15分。

テクニックA

記述量AB

発想力A

総合難易度A

 離散全称の証明ですが、「nの問題は数学的帰納法」を丸暗記しているだけで満点が取れます。

 

5:パラメータ求積の教科書の例題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 いやこれ数IIIの教科書の例題やん。

 

 

 これは如何した事でしょうか。オールAです。北大ってどんなに易しい年でも1問は標準以上の問題(大体は微積の式処理)が入っていた気がするのですが、今年はそれすら在りません。最近、少し難し目だったんで、恐らくは作問委員が今年は少し易しくしようとしてミスったのでしょう。数物系上位半分や医学科獣医学科は殆どの学生が満点だったんじゃないですか?来年はまた昨年以前の難易度でくると思っておいた方が良いでしょう。

 そして北大も確率が無え。

 さて、今年も「旧帝理系+東工大」終りました。繰り返し述べている通り、今年から東大京大九大以外は真面目に解答を作っていないんですが、いや良いですね。記述用の答案作らずに「あー後計算だけだここ迄」とか出来るの。これなら未だ未だ楽しくブログを続けられそうです。ただ、これだけだとツイッターとかで偉そうに``今年の東大数学簡単過ぎw''とか言ってる数学のすの字も知らなそうなイキり大学生共と同じになっちゃいそうなんで、ちゃんと東大京大九大だけは時間計って答案作りも続けていこうと思います。

2021東北大理系。

 研究集会が終ったんで、北2つを片付けておきます。

難易度:やや易

昨年比:同程度~微易化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:領域、二次方程式の解の配置。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 領域つってますが、まあ二次方程式の解の配置だけですよね。aの値で場合分けですね。

 新高3に配慮した春の模試とかで出そうな問題です。

 

2:(1)平面ベクトルの教科書の例題;(2)2変数函数の値の範囲ってか最大最小ってか(独立2変数(各々動かすだけ));(3)誘導「結果の利用」、ディオファントス方程式(絞り込み→積の形)。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)は良いでしょう。

 (2)も、(1)で求めた値をa,b各々動かすだけです。解法選択って程ではない気がする。

 (3)は(2)からS/T=3になりますね。後は因数分解です。数値の設定のお陰で処理が少なくて助かります。

 整数問題を全然別の分野に上手く結びつけている問題です。東北大、結構好きな気がします(17の3とか)。難しくはないんで、これも取らなきゃですね。

 

3:場合の数の傍用問題集問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 どの問題集にも載っていて、誰でも解けて、そして一寸怠いやつです。

 

4:図形と方程式総合;(1)「解↔交点」の言換、多項式因数分解、解と係数の関係;(2)軌跡(文字消去)、変数の範囲;(3)線分の通過領域(素朴に動かす)、求積(数IIの微積)。目標解答時間30分。

テクニックB

記述量BC

発想力B

総合難易度B

 難し過ぎない中で、色々な知識を問うている中々良い問題です。

 (1)ですが、先ずはlをy=x+cとして連立でしょう:

x^3-3x-c=0\cdots

いつもならここで「文字定数cを分離して…」とかやる訳ですが、今回は「解の1つをaとして良い」と言っているので、その情報を反映させて方程式に問題に帰着する事が出来ます。先ずはx=aを代入し、

a^3-3a-c=0\Longleftrightarrow c=a^3-3a

である筈です。従って、

★\Longleftrightarrow x^3-3x-(a^3-3a)=(x-a)(\underline{x^2+ax+a^2-3})=0

となります(2つ目のイコールはf(x)-f(a)の形に注目し因数分解しました。多項式方程式の解を考えているので、因数分解は常に頭に用意しておくべき事です)。P, Qのx座標は各々(上記下線部)=0の解ですので、解と係数の関係が使えます。(-\frac{1}{2}a,a^3-\frac{7}{2}a)になるみたいです。標準的な知識の組み合わせなので、(1)は出来たいですね。

 (2)は軌跡の定石通り(x,y)=(-\frac{1}{2}a,a^3-\frac{7}{2}a)としてaを消去すれば良いのですが、問題なのはaの範囲です。当然、先ずは問題文の条件(*)を満たさないといけないのですが、その他にも「3つの交点の内、座標が1番大きいのはR」という条件が隠れています。これを反映させるには、実際に(1)の方程式のa以外の解を求め

x=\frac{-a\pm\sqrt{12-3a^2}}{2}

となり、「大きい方がaよりも小さい」という不等式

\frac{-a+\sqrt{12-3a^2}}{2}\lt a

を解く必要が在ります。俺みたいな数学の人間は「条件を満たしているかチェックする」という習慣は頭に染みついているのですが、受験生にとってはそれ程常識ではないでしょう(実際、数学科の大学生ですら、身に付いている人間はそう多くはない)。

 (3)は線分の通過領域です。テーマ的にはそれ程易しくはないですが、今回はその線分がy=x+cと動く部分がcだけですので、cの範囲を(2)で求めたaの範囲を元に特定し、その範囲でcを素朴に動かしてやれば良いです。ここ迄くれば、後は算数ですね。

 通過領域の問題で「素朴に動かす」のは、東大だとよくやる手法です。色々と通過領域のテクニックを覚えてしまうと、かえって採用し難くなってしまう手法ですよね。ちゃんと箇条書きで頭に入れておき、いつでも使える様にしておいてください。

 

5:(1)(2)複素平面(因子を捨てる(拡大回転するだけで点の位置関係は保たれる));(3)図形量の最大最小(数式化→微分)。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力AB

総合難易度B

 (1)(2)は16東大4の易類題ですね。因子zを捨てるんですが、16東大4はその前に平行移動という一工夫が必要でした。

 (3)は当然、数式化して微分ですが、(2)のzの存在範囲がまあまあ怠いんで、場合分けもかなり怠いです。

 

6:(1)nと積分込みの等式の証明(数学的帰納法、部分積分);(2)不等式の証明(積分区間被積分関数を評価);(3)誘導「結果の利用」。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力B

総合難易度B

 「ザ・理系の標準問題」なのですが、とある有名事実に基いています(後述)。

 (1)ですが、nがいるのでまあ帰納法でしょう。「k⇒k+1」の証明で部分積分を用います。

 (2)は数IIIの標準問題集に必ず載っているやつです。当然、e^x積分区間で評価します。

 (3)は(2)の不等式により「最小のn」が求まります。偉そうに言っていますが、気付く前に一緒に問題を見ていた某先輩に即座に言われちゃいました(勿論、俺も絶対に気付きます)。こういう「不等式を成り立たせるベストな値」の議論は、数学科に入ったら先ず勉強する「イプシロンデルタ論法」ってのでめっちゃやります。ただ、ひょっとしたら慣れていないと受験生には難しいのかも?

 さて、聞いた事が有る生意気な受験生も多いでしょうが、実は(1)はe^xの「テイラー展開」ってやつです。但し、本問は別に「テイラー展開を知っていればもっと簡単に解ける」みたいな類いの問題ではないですし(剰余項(定積分のとこ)関する知識もちゃんと有って、且つ関連する演習問題とかの経験も有ればこの限りではないが、それだけ確り勉強している受験生は殆どいないでしょう)、寧ろ余計な事を知っているせいで変な事をしようとして普通の解き方が出来なかったかもなので、案外、そういう「知識に振り回される受験生」向けの虫除けに丁度良い問題だったかも知れません。

 ところで、東北大ってこういう「大学1年レヴェルの微積ちゃんと勉強していると有利になる問題」が時々出る気がします(19の5とか14の6とか?)。なので、数学科志望とかで他の科目も或る程度目途が立った受験生は、そういうものに手を出してみるのも、ひょっとしたら悪くないかもです(「合格する」という観点から見れば、他教科が不完全だったり模試の判定がAで安定しなかったりする受験生には、先取り学習はお勧めしない)。

 

 

 昨年に引き続き易し目の出題ですが、相変わらず高校で数学を真面目に勉強したか如何かを問う、良質な問題が並んでいます。地方旧帝大の理系生の数学力を見聞きする感じ、これくらいの出題が丁度良い気がします(名大や最近の九大は少し難し過ぎる気がする)。前半の基礎問題3つを確実に取る事が先ず大切です。後半3題は地方旧帝大の問題としては標準的です。ここから1問分取り、4完分くらいで合格者平均くらいだと思います。満点が取れればちゃんと周りと差を付ける事も出来ると思います。欲を言えば、1題くらいはB問題を数物医学の数学自慢向けの問題に差し替えてあげると良い気もします。

 後半3題は東大の標準問題に近い気がします。4,5が東大に近い事は指摘しましたし、6についても、テイラー展開が背景である問題は昔の東大の問題に結構在った気がします。後、2の「独立2変数を各個処理する」ってのも、そう言えば今年の東大2でも出てますね。まあ、だからと言って「東大の過去問もやると良い」とか言うつもりは無いですけど。

 ところで、東北大も確率が無え。