※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2016/2/28に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。
難易度:やや易
昨年比:やや易化
1、初等幾何(相似、円周角の定理)、対等性、目標解答時間15分。
テクニックAB
計算量A
発想力B
総合難易度AB
円周角の定理、及びその逆だけです。京大、九大と続き東北大でも中学の初等幾何。何の流れでしょうか。
ところで本問、(1)で同一円周上をBFHDやCDHEではなくAEHFで聞いているのが若干意地悪です(この結果は(2)で使わない)。まぁ設定の対等性や誘導(方針の利用)とも取れなくもないですが、それらの力を見るにしても前2つの内片方やらせてもう片方を自力で出来るかで見れば良い訳ですし。
易問ですが、こう云う問題は体調や試験の緊張でパッと飛ぶ事もありそうで、真面目に努力した受験生に肩透かしを食らわせる感じがあって好きにはなれません。しかも本問、僕もこれやってて気付く迄知らなかったのですが、よく見ると対等性からHはDFEの内心になっている事が分かり、恐らく有名事実です。その上知ってるだけの人間が即1完貰いになってしまうくそ問題でもある訳です。本当、1問目からやる気無くします。
一言アドバイスしておくと、こう云う問題は一々∠ABCが~、とか書かなくても、図に〇とか●みたいな記号を書き込んで名前を付けてあげれば記述量の節約になります。数学の答案の目的は飽く迄、相手に伝える事なので、この位の横着は構わないと云うか、寧ろ見易くなって好ましい位だと思います。
是非取って欲しいのですが、うーん…って感じですね。
2、数学的帰納法、偶奇性、ディオファントス方程式(しらみ潰し)、誘導(結果の利用、方針の利用)、目標解答時間25分。
テクニックBC
計算量AB
発想力BC
総合難易度BC
これは…今年の京大2にめっちゃ似てます。その問題同様、抑え目の分量の中で様々な整数の知識を問う、とても良い問題です。
まぁ(1)は良いでしょう。教科書の帰納法のとこで1番最初にやる例題です。
(2)ですが、先ず左右の辺の偶奇性から片方が2である事を決定しますが、ここが京大の2と全く同じです。その後はpとqどちらが2なのかで場合分けし、一方では(1)の結果を利用し範囲を絞って残りをしらみ潰し、もう一方は(1)の方針を真似て、今度は1度も等号が成立しない事を言って終わりです。
いや実に良い問題なのですが、全て求めろと聞いておいて答が1つってのは、精神衛生上少々宜しくない(笑まぁ珠に傷と言ったところでしょうか。しっかりと整数対策して点数貰い、他の受験生達に差をつけてもらいたい問題です。
これは解答を載せておくべきでしょう。
3、確率、三平方の定理、三角形の成立条件、目標解答時間20分。
テクニックB
計算量B
発想力AB
総合難易度B
ここ最近東北大でブームの、他分野の知識を絡めた確率です。
もの自体は典型的な全事象調査です。三角形の形状については三平方から目の平方数について考えれば良く、3つの目の内、2つを決めれば残りの目をどうすれば良いかが大よそ解るので、6×6の平方数の和についての表を書いてしまいましょう。
鈍角三角形については、三平方の他に三角形の成立条件にも注意を払う必要があります。
確率の手法と三角形についての理解を両方問える易しくて良い問題なのですが、36通りでも少々考察量が膨れて面倒臭い…四面体サイコロとかにしてくれると有難いのですが(笑
本問も取りたいですね。
4、2項定理、ドモアブル、三角函数、解と係数の関係、目標解答時間25分。
テクニックB
計算量B
発想力B
総合難易度B
新課程の複素数をメインに色々絡めた良い問題です。
(1)は、2項展開で項が偶奇で消えたり2倍になったりするだけです。
(2)も、ドモアブルとsincosの扱いについて基本的な事を問うているだけですね。
(3)は条件からx1とかがQ(x)の解である事を見抜き、3次式の解は高々3つである事から解と係数の関係に持ち込みます。x1~x3が相異なる事は一言言及しておくべきでしょう。
難しくはないですが、(3)は解と係数使うところがこれ迄と若干流れが変わる感じがあって、微妙なラインです。
5、立体図形、1:2:√3、2次函数の最大値、目標解答時間20分。
テクニックAB
計算量AB
発想力B
総合難易度AB
立体図形の基本は、見えなきゃ見易い様に切るです。まぁ本問はm,nを含む平面で切りましょう。切った後は三平方だけです。まぁ1:2:√3は見抜いてくれとしか言い様がないです。具体的な辺だとか角度が出てきている時は、常にそれらに特殊性が無いか注意を払って下さい。ところで、問題文の特に断面なんてところから求積かと思ったのですが、そうでもなかったです。
取りたいのですが、立体ってだけで拒否反応出たりする子も居そうです。これも微妙なラインですねぇ。
6、絶対値付定積分(外す)、三角函数総合、目標解答時間25分。
テクニックB
計算量B
発想力B
総合難易度B
ザ・理系の微積の標準問題って感じですね。試験としては適切なレベルだと思います。
絶対値付定積分ですが、本問はグラフの上下を考え外します(面積と見て外さない方が良い事もあります)。交点をαとでも置いてしまうのもお約束ですが、αについての考察はどのタイミングでしても構わないと思います。この際、sinのグラフについてある程度慣れておく必要がありますね。ただ、αの代入自体はある程度成分計算した後の方がごちゃごちゃせずに済むかと。
積分計算をある程度実行してしまえば、後は三角函数のMaxminです。これは①三角函数で押し切る。②普通に最大値最小値(微分とか有名不等式とか痴漢とか)。の2通りが考えられますが、本問は加法定理でばらした後、2/3x中心に合成が良いでしょう。
極めて標準的ですが、1問で微積と三角函数について問える良い問題だと思います。易問とは言いませんが、これを完答してこそ理系ってもんでしょう。
さて、全体としては昨年の大取みたいな大物が居ない分、やや易化と言って良いと思うのですが、他の問題の平均レベルについては大差ない感じですね。1問目以外は標準的で理系らしい問題が多く、試験としても適切であったと思います。
希望としては2(2)、4(3)以外は全部取って欲しいのですが、ボーダーは1(1)、2(1)、3(1)、4(1)(2)、5、6の4問弱分位で十分でしょう。医学科、数物トップ層はこの難易度なら満点が目標です。特に2(2)が腕の見せ所ですね。
※ボーダーについて修正です。冷静に考えて、空間図形5やがっつり数Ⅲの6が1(2)より易しい筈がありません。
確実に取るべきは1(1),2(2),3(1),4(1)(2)で変わりありませんが、他は残り全てから1問半位取って、全体で3問半位でしょうか。どれも小骨があって、受験生目線だと完答は難しいのかもしれません。