※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2017/2/26に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。
難易度:易
昨年比:やや易化
1、複素平面、軌跡、目標解答時間20分。
テクニックAB
計算量B
発想力A
総合難易度AB
実部虚部に分けて、パラメータを消すだけです。
2、空間ベクトル、誘導(結果、方針の利用)、対称性、目標解答時間20分。
テクニックB
計算量AB
発想力AB
総合難易度B
(1)はいいでしょう。(2)ですが、正八面体は相対する辺が各々平行なので、(1)の結果と合わせ、(1)同様に等しい比が沢山出ます。この辺の議論は一々やるのは面倒臭いので、対称性と言って横着しましょう。中点なのはここから直ちに出ますし、辺の長さも出た結果をいじいじするだけです。
誘導のおかげで易問ですが、(1)が無いと考えると中々の大物に化けます。
3、tanの加法定理、ディオファントス方程式、目標解答時間25分。
テクニックB
計算量B
発想力AB
総合難易度B
加法定理で与えられた値を使える形にしてからは、極一般的なディオファントス方程式です。標準的なテクニックと言えば、
①積の形にして因数の議論。
②特定の塊(必ずしも1文字とは限らない。n^2+1等)を分数化や解の公式等で分離し、それが整数である事から変数の範囲を絞る。
③その他偶奇性、倍数性、字数の大きなもの等に注目し、範囲を絞ってしらみ潰し。
④ベズー方程式、ペル方程式等特別なタイプの解法。
辺りでしょうか。本問は②をメインに、③も少し使います。
類題って程使われるテクニックは似ていませんが、三角函数が整数問題チックに使われているのと言ったら、少々古いですが1984の一橋の問題(第何問かは分からないです)や、2006京大理系後期6の例のtan1°のやつでしょうか。
整数問題好きなので、一応解答を。
※本問ですが、加法定理使用前にtan2βが定義可能か(i.e.2βが90°とかにならないか)のチェックが必要でした。これを書いていないと半分近く引かれる可能性が在りそうです。大変失礼しました。
4、算数、図形量の最大値最小値、目標解答時間20分。
テクニックB
計算量A
発想力B
総合難易度B
(1)は最早完全なる算数です。近所の賢い小学生捕まえてきたら、大体解けます。
(2)は図形量の範囲の問題です。基本的には、
①パラメータ(角度の場合を忘れるな!)を置いて函数処理。
②幾何的に考える。
が武器で、②を交えつつ③、ってのが大学入試では普通で、僕も始め片方の辺をxとして条件付きの2変数関数で考えようか等としたのですが、ウザったくなって見直したところ、何と本問、③で押し切れます。こうなると昨年の3番に引き続き完全なる算数な訳ですが、まぁ「あんま小難しく考えるなよ。」って云う京大の先生からのメッセージでしょうか。
って訳で解答です。
5、微積、目標解答時間20分。
テクニックAB
計算量B
発想力A
総合難易度AB
理系の微積のお約束問題です。完答以外有り得ません。
6、確率漸化式、3の倍数判定、目標解答時間15分。
テクニックA
計算量A
発想力A
総合難易度A
大取ですが、見た瞬間に方針が立つ、本セット最易問です。
今年は随分と穏やかでした。極標準的だった昨年と比しても、2の様な存在感の有る問題や、6の様な地味にウザい、みたいな問題も無かったですし。ただ、どれも手軽な中でポイントはちゃんと有りますし、良い試験だと思います。2,4は方針によっては泥沼も有り得ますし、3もちゃんとした整数問題ですからね。
まぁボーダーは1,5,6完答、他1問完答で4完は必要でしょう。医学科、理学部トップ層は満点です。彼等にはちょっと物足りないかなぁ?