予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2020春学期代数Ⅰ演習問題略解。

 タイトルの通りです。頑張って続けるつもりですが、面倒臭くなったり途中で心が折れたりしたら止めるかも(完走しました!(2020/7/23))。

演習略解。

チャイリメ奥義書 (11回の解答はこっちも参照)

 

 

※「この問題も解答付けて」「自分の解答が正しいか見て」みたいなのが有れば、メールやブログのコメントくれれば対応します。

 

 

※解らない事で講義時間のスカイプで先生に相談し難い事とかも、メールやブログのコメントくれれば対応します。スカイプとかでも対応します。因みに、俺が思う代数Iの最低ラインは、「準同型定理の証明を完璧に理解し、簡単な同型の証明に応用出来る事」です。これが自力で出来そうにない人は、相談してくれた方が良いです。中には「俺高校の先生になりたくて単位欲しいだけだから理解とか良いやw」みたいな人もいると思いますが、俺的には「準同型定理すら理解出来ない致命的に知能が劣った糞っ垂れファック野郎が他人様に数学教えたいとかまじ草」って感じです。それくらい準同型定理って、重要且つ極基本的な定理です。

 

 

※何で準同型定理がそんなに大事であるのか、俺的な説明をしておきます:

1. 準同型から同型を生じさせる:

 群や環で最も重要な概念は、2つの群や環が“同じ”である事を表す「同型」の概念です。例えば、\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}\{\, e^{\frac{k\pi i}{n}} ~|~ k\in\mathbb{N} \,\}は、弄繰り回していると、何と無く“同じ”ものに見えてくる訳ですが、その“同じ”の感覚をちゃんと集合と写像の言葉で数学的に定義したのが「同型」の概念です。

 一方で、同型ではないけど、2つの群や環の演算が比較的“似ている”事を表すのが「準同型」の概念です。そして、ここからは数学と言うよりは“哲学的な”(或いは日常言語的な)話ですが、例えば我々は或る似ている親子を見た時に「目なんか全く同じ~」という様に「部分的に同じである点」に注目する事が多い様に思われます。そして準同型定理も、準同型(即ち“似ている2つの群/環”)から、同型(即ち“同じ群/環”)を見出す定理である訳です。

 以上の様に、準同型定理は「我々が日常で「同じ」「似ている」といった言葉を使う際の自然な感覚を反映した定理である」と言えます。

2. 写像の重要概念が両方登場

 学部1年の頃「写像」を勉強した時、先ず習ったのが「全射」「単射」でした。これは、(細かい事は気にせず)例えば「クラスの女の子」に対して「その子が好きな男の子」を対応させる``写像''を考えれば、全射は「男の子全員、ちゃんと誰かから好かれているか」を、単射は「ライバルがいないか」を表しており、この例からもまあ、重要だって解るでしょう。ところで、全射であるか否かはImを見れば判り、単射であるか否かは(代数なら)Kerを見れば判るのでした。そして、準同型定理には、これ等2つが見事に現れています。この様に、準同型定理には謂わば「オイラーの定理的な重要さが有る」と言っても良いと思います。

3. 主張や証明中に、高校以前の数学の根本に関わる概念が漏れ無く登場する:

 先の同型の話でも触れましたが、数学で最も基本的な概念の1つは“同じ”の概念、即ち「同値関係」です。中学校では、平面上の三角形全体に対する同値関係である、合同や相似を習い、それが三角函数へと繋がりました。ベクトルは、有向線分全体の集合を「平行移動で一致する」という同値関係で割った商集合に他なりません。その和がwell-definedである事や、成分表示した数ベクトルと同じ概念である事は、同値関係と商集合を理解していないと、人に確信を持って指導する事は出来ないでしょう。

 一方で、逆像の考えは、一部の最大値最小値の問題や軌跡の問題で暗に用いられます。高校数学でしばしば話題に上がるのが、例えばf(x)=x+\frac{1}{x} ~(x\in\mathbb{R}_{\gt 0})の最小値を求める為に相加相乗平均を用いてx+\frac{1}{x}\geq 2とした際に「等号を成立させるx\in\mathbb{R}_{\gt 0}は本当に存在するか?」という話です。これは正に、先の函数fに対して、1点集合\{2\}の逆像f^{-1}(\{2\})が空ではないかを問うている事に他なりません。更に、アマチュアの数学関係者が書いた高校数学Bの(暗に逆像の考えを必要とする)軌跡の問題への答案に対しては、しばしば数学的欠陥の指摘が成されます。2019年の九大理系数学5の各予備校の答案が炎上した事は、多くの人が知っていると思います。その最大の原因は、高校教師や予備校講師達の、逆像への理解不足でしょう。勿論、これ等は飽く迄も高校数学の話ですので、「逆像」なんて概念を態々持ち出さずとも、生じている問題を理解する事自体は出来ますが、(自分が数学的に不備の有る答案を書かない為にも)少なくとも指導者側は、「逆像」の言葉を通じて「これ等は根を同じとする問題である」という統一的な視点を持っておくべきだと、個人的に思います。

 準同型定理には、商集合と\mbox{Ker} (=\{\mbox{単位元/零元}\}の逆像)が登場します。この証明を理解している事は、同値関係や逆像を理解出来ている事の、ほぼ同値条件と言って良いと思います。

4. 重要な応用例が沢山存在する:

 線型代数では、線型写像f:V\rightarrow Wに対して、次元公式

 \mbox{dim}(V)-\mbox{dim}(\mbox{Ker}(f))=\mbox{dim}(\mbox{Im}(f))

を勉強しました。実際に\mathbb{R}^3とかで簡単な線型写像の絵を描いてみれば、この公式が如何に線型写像に関する基本的な結果であるかは、直ぐに納得出来るでしょう。実はこの公式は準同型定理の系であり、逆に準同型定理は、この次元公式の一般化である、とも言える内容です(これを理解した上で次元公式を低次元で絵を描いて観察していると、段々と準同型定理の主張自体も``自然''に思えてきます)。

 一方で、高校数学で最も謎な存在の1つは、恐らく複素平面\mathbb{C}でしょう。「二乗して-1になる」「縦軸で虚数を表す」なんつわれても「本当にそんなもん存在するのかよ?」って話です。実は準同型定理は、この複素平面\mathbb{C}の1つの(代数的な)実現を与えます:

\mathbb{R}[X]/(X^2+1)\simeq \mathbb{C}.

 この様に、準同型定理は、これ迄の数学での重要概念の背後に潜む定理でもあるのです。

 

 以上の様に、準同型定理は:

・日常的な感覚との自然な整合性;

写像の根本概念を両方含む;

・初等数学の重要知識の総括;

・これ迄の重要概念の背景,

という4つの重要性を持ち合わせた定理となっています。学部で習う数学の中で、これだけ沢山の重要性を挙げる事が出来る定理を、俺は他に知りません。因みに、俺より遥かに優秀な同級生と後輩の2人に「何で準同型定理って重要なの?」って聞いた事が有るのですが、彼等は「あんなの、主張を理解した瞬間に重要って解る」との事でした。真に数学的素養が有る人間にとっては、最早その重要性を言葉にするのも野暮な様です。