予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2021阪大理系。

 すんません。友達んちで丸2日鍋してました。今日から再開します。

難易度:標準

昨年比:難化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、阪大以降は必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:2変数の最大最小(条件から文字消去→微分)。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 これは言われた通りにやれば解けます。まあでも量はちょいちょい怠いです。最大最小はルートの中だけ見れば良いです。

 

2:共通テストのベクトル。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 「同一平面に在るから係数の和が1で係数を比較して…」ってやつです。

 これも量だけはまあまあうぜえ。

 

3:(1)不等式の証明(適切な式変形、図形量の比較と見る(積分と面積)、粗く評価);(2)不等式の証明(図形量の比較と見る(積分と面積));(3)極限計算(区分求積法、和分出来ないΣ達)、誘導「結果の利用」。目標解答時間35分。

テクニックC

記述量BC

発想力C

総合難易度C

 不等式評価を中心に数IIIの様々なテクニックが散りばめられた総合問題です。こいつぁは中々の難易度だ。

 (1)は不等式の証明です。お約束テクニックの1つ「図形量の比較と見る」なんですが、直ぐには適用出来ません。\log x-\log tの部分に注目し、こいつを\int_t^x\frac{ds}{s}と見ます。不等式評価時には「適切な式変形」を考える事は常識とした上で、一般にf(a)-f(b)の形を見たら:

1. 平均値の定理

2. \int_a^bf'(x)dxと見る,

の2つを「適切な式変形」として押さえておきましょう。今回は後者ですね。更に積分を面積と見て「図形量の比較と見る」に持ち込むのも定石です。ここ迄くれば、本問は\int_t^x\frac{ds}{s}を台形で近似している問題であると判るでしょう。後、条件のt\geq 1を用いて、粗く評価する必要も在ります。

 (2)は(1)を辺々(xで)定積分するのは良いでしょう。(1)同様、再び定積分を面積と見るんですが、今度は不等式に\intがいるんで、この発想も容易でしょう。

 (3)が中々の曲者です。k/nから区分求積を考えるのは良いでしょうが、``1/n''がいなくて困っちゃいます。ですがここで注目したいのが」、「pn」の「n」の部分です。つまり、

a_n-pn=n\left(\frac{1}{n}\sum_0^{n-1}\log\left(1+\frac{k}{n}\right)-p\right)

であり、こいつが収束するには\lim_{n\rightarrow\infty}\frac{1}{n}a_n=pが必要で、区分求積の形になったと同時にpも求まりました。問題なのはqの方で、こいつは(2)の不等式を誘導と見て挟撃に持ち込む事を検討します。ですがその為には、先ずは(2)を(3)に使える形に見直す必要が在ります。ここで更に、\sum_0^{n-1}\log\left(1+\frac{k}{n}\right)を「y=\log(1+x)から定まる面積を短冊で近似したものの和」と見ます。所謂「和分出来ないΣ達」ってやつですね。すると段々と(2)の変形の仕方も判ってきて、つまりt=1+\frac{k}{n} (k=0,1,\ldots,n-1)として(この置き方はt\geq1の条件に抵触していない事にも注意)、これ等を足し合わせます。\int_0^{1/n}+\int_{1/n}^{2/n}+\cdots+\int_{(n-1)/n}^1=\int_0^1に注意すれば、a_nを含む不等式が得られるんで、後はqの形を作り出すだけです。

 (1)からそれなりに高度で、更に(3)はテクニックもその組み合わせ方もかなり難しいです。これは全滅しても仕方無いですかねえ。

 

4:(1)倍数性の考察(3の剰余類、mod 3);(2)ディオファントス方程式(積の形、倍数性に注目、正負に注目)、誘導「結果の利用」。目標解答時間30分。

テクニックB

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 (1)ですが、積分は完全にこけおどしで、最初に計算したら後は2度と微積の処理は無いです。まあ「うわ整数なのに積分もあるどうしようもうぜんぜんわからないよお」とかなる馬鹿用の虫除けでしょう。計算し、辺々6を掛け、a-bで辺々割った後は、3c^2だけ分離し、先ずa,bに対して3の剰余類を考察する事でa\equiv b \mod 3を得ます。この結果を踏まえると、3c^2=(9\text{の倍数})となる事から、cが3の倍数である事が判ります。

 次に(2)ですが、これは

2a^2+5ab+b^2=(2a+b)(a+2b)

因数分解でしょう。積の形への分解を考えるのは、ディオファントス方程式の定石です。この意識さえ有れば見抜ける筈です。後は、こいつが=-3\cdot3600^2と負の数らしいので、a\lt bと併せてabの正負等の情報も得られます。更に、(1)(の解答)からa\equiv b\mod3も得られているので、更に絞り込む事が出来ます。にしても、3600とか怠いわもっと小さくしろよ。

 (1)は出来たいですが、本質的にはパターン問題とはいえ何か色々とイレギュラーな形してますから、微妙なラインですねえ。

 

5:(1)一意性込みの特称命題の証明(グラフの単調性と中間値の定理);(2)``接点T''の変種(二重接線(「傾き=傾き」且つ「値=値」))。目標解答時間30分。

テクニックBC

記述量BC

発想力B

総合難易度BC

 (1)はパターン問題です。詳しくは今年の東大5(1)をご覧ください。

 (2)は問題文的には難問臭がしますが、やってみると割と標準的だと思います。x=tでの接線y-\sin t=\cos t(x-t)x=s (|s|\geq\frac{\pi}{2})でも接するとすると、

\cos t=\cos s且つ\cos t(x-t)+\sin t=\cos s(x-s)+\sin s

となり、前者からs=\pm t+2n\pi (n\in\mathbb{Z})が必要と判りますが、+t+2n\piの方は後者と矛盾する事から-t+2n\piと判り、これを後者にぶち込み変形するとt-\tan t=ntが得られます。上記議論が同値変形である事はほぼ明らかですが、問題文で「必要十分条件」と態々言っているんで、同値性の記述には少し気を払うべきでしょう。接線の問題で接点(s,\sin s)を置くのは、まあ``接点T''に近い技術ですね。今年の京大6(2)の易類題と言って良いと思います。

 (1)は必須ですが、(2)は微妙なラインですかねえ。

 

 

 さて、1,2,5(1)は取れなきゃ論外です。後は「微妙なライン」つったとこから小問1問分取って6割弱くらいで合格者平均くらいじゃないですか?易しいセットではないですが、これくらいが阪大の標準な気がします。

 てか、今年は阪大も確率無いですね。