さて、やるか。
難易度:標準
昨年比:難化
1.確率(全てのものを区別せよ);(1)該当パターンカウント(最初の1手で場合分け);(2)極限(``強さ''の感覚、粗く評価して挟撃);目標解答時間30分。
テクニックBC
記述量BC
発想力BC
総合難易度BC
初っ端から良いパンチ打ってきますね。
(1)確率なので全ての面を区別します。即ち、塗り方は全部で
通りです。ですがこの四面体の塗り分け、場合の数で有名なテーマなので(数珠順列の応用)、それに釣られて、つい場合の数で行こうとしてしまいそうになります(なりました)。俺は全事象の方の計算の仕方が判らなくて「京大がこんな変な問題を出す筈が無い」という信頼から数え間違いに気付けました。しかしながら、全ての面を区別しても、矢張り数え上げは大変です。俺は先ず1つの面を塗った後、その対面が同じ色かそうでないかで場合分けしました。確率漸化式の「最初の1手で場合分け」に近い技術だと思います(完全順列とか。或いは2020年の5も近いかな)。小問の前半のくせにポイント2つで、決して雑魚ではない。
(2)全ての面を区別するのは同様ですが、もう全部数えるのは無理です。っつー事で、聞かれているのは極限だけだから「粗く評価して挟撃」がセオリーですが、ここで「色多かったら隣り合う面が同じ色になるとかほぼ無いんじゃね?」という感覚が必要となります。かなり発想力頼りな気がしますねえ(ちょっと違うけど、極限の初めにやる
ってのに近いと思う)。ここまで冷静にも考察できれば、後はそもそも使う色が全部ばらばらの場合の数である
で下から評価するのってのは、そんなに難しくないと思います。
2.通過領域(素朴に動かす);目標解答時間15分。
テクニックAB
記述量AB
発想力B
総合難易度AB
複素平面ですが、複素っぽい考察は無いです。通過領域(と言うか存在領域と言うか)の問題ですが、素朴に動かして絵を描けばOKです。それこそ多少気の利いた複素平面履修直後の学生でも解けると思うのですが、知識として知っていないと発想力頼りになっちゃうかなあ(東大だとよく見るんだけどね。てか京大も去年の5の3次元求積は素朴に動かしてみる系だったか。後は2006の5もベクトルで立式した後は似た様な感じだったかな)。
これも雑魚ではない気がする。
3.ベクトル(係数比較)、論理(同値性と「かつ」「または」);目標解答時間20分。
テクニックB
記述量B
発想力A
総合難易度B
俺はやってて1番簡単だったんだけど(何も考えなくて良い機械的処理問題)、論理の話だから受験生は苦手なんだろうねえ。
雑魚がいねえなあ。
4.誘導(具体例を計算して様子を伺う、結果の利用(計算中の結果の利用))、
、余計な情報、漸化式(解く)、素因数2の個数の考察(と言う程でもないか);目標解答時間30分。
テクニックBC
記述量B
発想力C
総合難易度BC
この手のセッティング、京大多いですよね(2015の6とか2013の2とか)。つっても設定が似てるだけで、問題としてはあんま似てないけどね。
(1)は「
の形じゃなきゃいけない」と言うのさえ見抜ければ、後は力業で行けます。これで色々と観察しろって事でしょうね。
(2)先ずは(1)と同様、
の形でないと駄目です。誘導中での観察の利用ですね。んで、ずっと奇数っつってんだから、奇数の方の漸化式しか使いません。つまり偶数の方の漸化式は余計な情報です。余計な情報を見抜くって、数学では大切なので、美しくはないけど悪い問題ではないと思います。っつー事で奇数の方の漸化式を解くと
![\displaystyle a_n=4k\left(\frac{3}{2}\right)^n-1](https://chart.apis.google.com/chart?cht=tx&chl=%5Cdisplaystyle%20a_n%3D4k%5Cleft%28%5Cfrac%7B3%7D%7B2%7D%5Cright%29%5En-1)
となり、こいつが
で全て奇数になるには
が常に偶数なら良く、
となります。従って、
となります。
標準問題集ではあんま出会わない知識が、割とオリジナルなセッティングの中に複数組み込まれています。これが今年1番難しい子じゃないかなあ。
てか本問、コラッツ予想という有名な未解決問題に近いけど微妙に違うやつです(コラッツ予想の話はそういうの好きな人が散々に語っているだろうから、俺はこれ以上触れません。よく知らないし、人工的であんま興味も無い)。
5.(1)面積(定積分)、αと置いて先に進め;(2)極限計算(分子の有理化、``強さ''の感覚、
の定義式の形を無理矢理作る);目標解答時間30分。
テクニックB
記述量BC
発想力B
総合難易度B
(1)の交点は求まるけど一々書くのは大変なので、αとか置いて先に進みましょう。数IIIの微積あるあるのやつです(IIIに限らねえけど)。計算すると
となります。
(2)は只の極限計算です。
は分子を有理化すれば
に行くと 直ぐに判ります。一方で
より、
も
に行くと判り、結局、残るのは
だけと判ります。
ザ・理系の標準問題です。雑魚ではないけど、腕力だけでいけるので、ちゃんと受験勉強した子はこれが1番取り易かったんじゃないかな?
因みに、使われている
と
は「双曲線関数」と呼ばれる子達で、三角関数の双曲線類似として知られています(別にそれを知ってても本問では何の役にも立たないけどね)。
6.対数(桁数と最高位の数)、数えるもののすり替え、区間内の整数の数、極限(粗く評価して挟撃);目標解答時間30分。
テクニックBC
記述量B
発想力B
総合難易度BC
何か肩に
とか乗ってて一瞬びびるけど、なんて事はありません。前半はいつもの桁数と最高位の数の計算です。後半は数えたい
を整数
にすり替えます。ここで、例えば
は区間
に含まれる整数の個数なのですが、区間に含まれる整数の個数って上端引く下端の値から
とかずれてちゃんと数えようとするとうざいんですよね。ですが、ここで求めたいのは極限なので、
とか如何でも良いんです。つまり、(念の為、
ではなくより粗く
とかにしといて)
![\left(\frac{n}{\log2}\right)^2-\left(\frac{n-1}{\log2}\right)^2-2\leq N_n\leq \left(\frac{n}{\log2}\right)^2-\left(\frac{n-1}{\log2}\right)^2+2](https://chart.apis.google.com/chart?cht=tx&chl=%5Cleft%28%5Cfrac%7Bn%7D%7B%5Clog2%7D%5Cright%29%5E2-%5Cleft%28%5Cfrac%7Bn-1%7D%7B%5Clog2%7D%5Cright%29%5E2-2%5Cleq%20N_n%5Cleq%20%5Cleft%28%5Cfrac%7Bn%7D%7B%5Clog2%7D%5Cright%29%5E2-%5Cleft%28%5Cfrac%7Bn-1%7D%7B%5Clog2%7D%5Cright%29%5E2%2B2)
とかして(
も同様)、後は挟撃でOKです。後半は1(2)と殆ど同じ問題でしたね。
これもちょい捻られてはいるけど、標準問題の範疇な気がするから、ちゃんと受験勉強した子は1とか3とかよりも取り易かったんじゃね?
去年よりは確実に難化ですが、難問らしい難問は無かったので、解いててそんな嫌ではなかったです(つっても1と4はそこそこ時間食ったけどね)。満点もそこそこいたんじゃないかな。てか極限多かったですね。
後は、1は4色定理、4はコラッツ予想と、有名問題を想起させる問題が多かった気がします。
九大も解き終ってはいるのですが、福岡から帰ってきてからかな(ちょっと遊びに行ってきます!)。