予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2016阪大理系。

※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2016/2/27に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。

 

難易度:やや易

昨年比:易化

 
 

1、周期性、確率、目標解答時間25分。

テクニックAB

計算量B

発想力AB

総合難易度AB

 周期性、本当それだけに尽きる問題です。確率もただのオマケです。sinx=0⇔x=整数π、大丈夫ですよね?

 知識自体は阪大受験生なら解けない筈が無いレベルですが、如何せん計算がデリケートで、試験の緊張の中最後迄合わせるのは中々難しそうです。

 

2、多変数最大値最小値(微分)、目標解答時間25分。

テクニックAB

計算量B

発想力AB

総合難易度AB

 ひたすら文字消去→微分。これも殆ど計算だけです。(2)は(1)でc=1-zと見るのですが、これ以上は簡単にならないので、仕方が無いので分数函数微分です。本当に怠い。まぁ技術的には誘導(結果の利用)も入っていますね。

 これもミス無く解き切るのは中々に骨が折れそうです。

 

3、接線、求積、目標解答時間25分。

テクニックAB

計算量B

発想力A

総合難易度AB

 これはまた何の捻りも無い数Ⅲの定期テストみたいな問題がきたもんです。

 一応(1)だけ注意しておくと、まぁ本問だと汚くなるのでするとは思いませんが、単純な多項式でない(つまり、放物線でない)二次曲線絡みの接する条件を連立→重解とするのはご法度です。必ずしも正しいとは限りませんし(例えば、x^2+y^2=1とy=x^2+1のx消去なんかを考えてみて下さい)、ある程度条件付ければ正当化出来なくもないですが、それには初等的な代数幾何学(普通、大学数学科でも専門の人が3年以降にやる分野)の知識が必要です。大学数学の知識でも、ロピタルやテイラー展開と云った適用条件がはっきりしているものなら使っても問題ありませんが、こう云う適用条件が曖昧なものをよく確かめもせずに使われるのは大学の先生方が最も嫌う事の1つです。長くなりましたが、本問含め、ちゃんと交わる+その点での接線一致でやって下さい。

 これも計算レースですが、求積の問題って前2つみたいなのよりも気持ちやり易い気がします。取りたい。

 

4、最小公倍数、偶奇性、誘導(結果の利用)、ディオファントス方程式(絞り込み)、mod算(不定形)、目標解答時間35分。

テクニックC

計算量BC

発想力C

総合難易度C

 漸くまともな問題が来ました。しかも中々の大物。

 (1)は冷静に考えると当たり前の事なのですが、しっかり論証するとなると意外と面倒。最小公倍数を設定し、因数に関して丁寧に論証してやれば良いのですが、こう云う作業は受験生はどうも苦手らしいです。

 (2)は(1)を活かす為、無理矢理2^NAnを辺々掛けてやると、偶奇性から突破口が開けます。ある程度解の候補が絞られたら、後はしらみ潰しってのもルーティーンですが、形に圧倒され手が動かない子も少なくなさそうです。

 (3)は打って変って小数部分の問題です。今年は東大でも扱われた、ちょっとしたブームのテーマですね。mod演算のノリで整数部分をどんどん作り切っていくだけなのですが、類題経験が無いとそもそも手が動かないか。

 結構難しい問題だとは思いますが、他の問題が易しくて中々差が出そうにないので、案外これが差が出る1問かもしれません。

 1題で色々聞けている良い問題なので、解答を載せておきます。

※本解答、(2)初めのAn/5が整数ってとこが、nが小さいと間違いですが、大した問題ではないのでご勘弁を。

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5、相似、繰り返し図形、等比級数、目標解答時間20分。

テクニックAB

計算量AB

発想力A

総合難易度AB

 またチャート式だか何だかから適当にひっぱてきたみたいなお約束問題です。押さえましょう。

 

 

 ここ数年、割と安定して高水準だった阪大ですが、ついに崩れました。しっかり勉強した子なら3,5は取って1,2も合わせて1問半、計3問半の7割は確実に取れるでしょう。ボーダーもこのレベルだとその位行くかもしれません。医学科、数物トップ層は4が腕の見せ所です。ちゃんと対策したであろう整数問題をしっかり取って、是非全完を目指して欲しいものです。

 ちょっと来年以降の動きが読めませんが、今年ではなく昨年以前のレベルを想定して離散変数系と数Ⅲを中心に重めの問題もしっかり対策を取るのが無難でしょう。

 

 それにしても、今年はここ迄解いた大学は軒並み易化傾向です。大学全体の流れなのでしょうか。

 

※各予備校が昨年比を軒並み「昨年並み」で出しています。計算量の多さから、満点を取る難しさならその通りであると思いますが、初手で止まり得る問題が昨年は1,2,5と3題在ったのに対し、今年は4以外は(完答は厳しくても)取り敢えず手は動きますので、平均点は間違いなく上がってくると思われます。