予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2021名大理系。

 前半2題が随分と易しく、一昨年迄の易化傾向時の難易度に戻りました。

難易度:やや易

昨年比:易化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:二次方程式、求積(数IIの微積)、最大最小(二次函数)。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量BC

発想力A

総合難易度AB

 長いですが、各小問はチャート式の例題に在るやつばかりです。特にコメントの必要は無いでしょう。

 

2:対数、大小比較、解と係数、誘導「結果の利用」。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)は底の変換公式です。

 (2)は大小比較です。\sqrt2とかの適当な近似値は使って良いと思います。

 (3)は解と係数の関係の学習直後の定期テスト問題です。後は(2)を使えば、実質「(負の数)×(正の数)=(負の数)」とかを聞いているだけです。まあ(1)から

\frac{1}{\alpha}+\frac{1}{\beta}+\frac{1}{\gamma}=\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha

である事も、ポイントっちゃあポイントですかね(誘導「結果の利用」)。

 

3:確率(該当パターン全調査、排反)。目標解答時間45分。

テクニックAB

記述量CD

発想力B

総合難易度BC

 いやこれは全パターンの確率計算すりゃ良いだろ。ひょっとしたら他に上手いやり方が在るのかもだけど、考えるのも面倒臭え。中々の計算量でしたが、4題で150分って試験時間と1,2が簡単だった事も考えると、妥当な方針だと思います。「どれか1つを等しい確率で選び…」って仮定が在るんで、次の数字を選ぶ確率は``現在地''だけで決まります。何度も使うんで、先に``現在地''毎に一覧表にでもしておくと便利だったと思います。11への到達方法は、``最短経路の場合の数''の問題での考え方なんかに近い気がします。他にも、例えば「p_{11}の計算で(a)で1を選んだ場合の確率の計算には、(a)で2を選んだ場合とかの結果が使える」「p_5は排反を考えれば良い」とか色々工夫が出来ます。前者は確率漸化式っぽいっちゃあぽい気がします。

 「全部調べろ」という方針を採れたか如何かが大きな勝負の分かれ目だったでしょう。他にも、排反や確率漸化式っぽい考え方でどんどん計算量が減らせるんで、悪い問題ではないと思います。

 

4:離散変数の総合問題;(1)(2)ガウス記号の処理;(3)ガウス記号の等式の証明、誘導「結果の利用」(前問の対偶を考える)、離散変数の不等式の取り扱い(0\leq m-n\lt {}^\exists r\lt 1\Rightarrow m=n);(4)漸化式(解く)、誘導「結果の利用」。目標解答時間40分。

テクニックBC

記述量BC

発想力C

総合難易度BC

 名大名物「離散変数系統の総合問題」です。名大はガウス記号、好きですね。

 (1)はまあ、頑張ってください。

 (2)はつまりa_n\geq[a_n]+1/2って事なんで、こいつを漸化式にぶち込んでやれば良いです。途中:

a-[a]aの小数部分;

[a]\leq a\lt[a]+1\Longleftrightarrow a-1\lt[a]\leq a

 を利用します(ガウス記号の問題を見た時点で頭に用意しておかないといけない知識)。

 (3)について、先ず1つ目の式は最初の漸化式と比較する事で、[a_n]=[a_n+1/2]が示されれば良いと判りますが、これは

a_n\gt a_{n+1}

\Longleftrightarrow a_n\gt3[a_n+1/2]-2a_n

\Longleftrightarrow a_n\gt[a_n+1/2]

\Longrightarrow[a_n]+1\gt[a_n+1/2]

\Longleftrightarrow(0\leq)[a_n+1/2]-[a_n]\lt1

となり、ガウス記号は整数である事から最後の不等式は[a_n]=[a_n+1/2]を意味する事から判ります。2つ目の式については(2)の対偶利用を考えましょう。a_n\lt a_{n+1}の否定はa_n\geq a_{n+1}ですが、これは当然、問題文の仮定a_n\gt a_{n+1}から従うので、(2)(の対偶)からa_n-[a_n]\lt1/2を得ます。即ちa_n\lt[a_n]+1/2であり、これを既に得たa_{n+1}=3[a_n]-2a_nに適用し

a_{n+1}\gt 3[a_n]-2([a_n]+1/2)=[a_n]-1

を得ます。従って、仮定a_n\gt a_{n+1}と合わせ、

[a_n]\geq[a_{n+1}]\geq[a_n]-1

となるため、[a_{n+1}]=[a_n]\text{ or }[a_n]-1が判り、前者を否定すれば良いと判ります。その為に、前者であると仮定してみましょう(背理法)。即ち、a_{n+1}\geq[a_{n+1}]=[a_n]です。すると、再び先の漸化式から

[a_n]\leq a_{n+1}=3[a_n]-2a_n\Longrightarrow a_n\leq[a_n]\Longleftrightarrow a_n=[a_n]

となります。しかしこれは

a_{n+1}=3[a_n]-2a_n=a_n

を導き、問題文の仮定であるa_n\gt a_{n+1}に矛盾します。

 (4)は良いでしょう。(3)から、1\leq i\leq k-1に対して

a_i

=3[a_{i-1}]-2a_{i-1}

=3([a_{i-2}]-1)-2a_{i-1}

=\cdots

=3([a_1]-(i-2))-2a_{i-1}

=-2a_{i-1}-3i+6

となり、この漸化式を解くだけです。

 (1)(2)はガウス記号の標準的な処理を行うだけなんで、是非取りたい。一方で(3)は、離散変数の定石と既出の条件を、色々と場面に合わせて理詰めに組み合わせないといけないんで、結構な難易度だと思います。(2)迄出来れば合格には十分かな?

 

 

 1,2,3(1)は絶対に解けないと駄目ですね。計算ミスを考慮しても、これで半分は確保です。これでまあ、最低限足を引っ張らない程度の得点率ですかね?3の後半や4(1)(2)から集めて、6割強くらいが合格者平均だと思います。4の後半は中々に難しいと思います。

 あー東工大やりたくねー。