予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2021東工大。

 無茶振りは無いがストレートに難しい。

難易度:標準(飽く迄「東工大としては」)

昨年比:難化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:(1)場合の数;(2)不等式の証明(粗く評価)、誘導「結果の利用」。目標解答時間20分。

テクニックB

記述量AB

発想力BC

総合難易度B

 面白い問題ですが、難しくはありません。

 (1)は良いでしょう。各桁を9以外の9通りから選ぶだけです。但し、最高次だけは0は駄目なんで8通りです。

 (2)は不等式の証明です。(1)から足される項の数は判っていますが、当然、そのまま足す事は出来ません。なので如何するかと言うと、(*)を満たすnについて、大胆な不等式評価

b_n\leq\frac{1}{10^{k-1}}

を行います(kは空気読んで)。普通に考えたら如何考えても収束しなそうな評価ですが、如何やら(1)で項がかなり減っていたみたいで、指数の力により収束し、しかも丁度80です。不等式の証明問題で「粗く評価」は定石ですが、評価の仕方が大胆過ぎてやや発想力重視な気がします。因みに、自然数の逆数和\sum_{n\in\mathbb{N}}\frac{1}{n}って発散するんですが、その証明は、

1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\frac{1}{5}+\frac{1}{6}+\frac{1}{7}+\frac{1}{8}+\frac{1}{9}+\cdots

\gt1+\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\cdots

=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\cdots

と、本問同様「端に統一する」という粗い評価によって成されます。これを知っていると、発想し易かったかも?

 (2)は絶対取れとは言えない、微妙な難易度です。

 

2:二次曲線と二次方程式の糞怠算数。目標解答時間30分。

テクニックAB

記述量C

発想力AB

総合難易度B

 東工大(の悪い)名物、計算だけの算数です。東工大のこういう問題を出してしまうところ、俺は嫌いです。

 試験場で合わせるのは大変だとは思いますが、これは解けないといけない。

 

3:(1)コンビネーションの定義、nとn+1は互素;(2)離散全称命題の証明(数学的帰納法);(3)ディオファントス方程式(解を持つとして特称条件に帰着→''離散中間値の定理'')、誘導「結果の利用」、素因数、1との大小比較。目標解答時間40分。

テクニックCD

記述量BC

発想力CD

総合難易度CD

 今年コンビネーション多いな。俺は好きですが、難易度的には受験生泣かせでしょう。

 (1)(2)は良いでしょう。コンビネーションは帰納法と相性が良いってのは今年の東大4でも指摘しました。因みに(1)は「a_nは整数列である」ってのを保証する為の設問であり、誘導ではありません(かと言って、a_nが整数列である事、この後別に使う訳ではないのだけどね)。

 問題なのは(3)です。先ずは(2)を誘導と見て、山勘で「まあn\geq4は解無いんでしょ」と予想出来るとやり易いです(やらなくても後から気付けるけど)。今年の九大5に近いですね。って事でn\geq4の場合に解(n,p)が在ると仮定しますが、(2)を頭の片隅に置きつつ{}_{2n}\text{C}_nの分子を並べたものを睨めっこすると、分子n+3, n+4,\ldots,2n-1のどれかがpと一致している筈と判ります。整数問題で素因数に注目するのは常識ですね。また、(解の)存在を仮定したので、``離散変数の中間値の定理''的な発想にも気を回すべきです(2012の東大4に近いです)。このpで辺々割った後、更に各分数と1との大小を考える事で矛盾が出ます。1との大小比較も、離散変数絡みの問題や不等式絡みの問題では、常に意識しておくべき感覚です。今年の名大4(2)での処理とかも、元はこの考え方ですよね。

 (3)は中々難しいです(俺もかなり考えた)。(1)(2)だけで十分ですかね。(3)は好きなんで解答付けておきますね:2021東工大3(3)

 

4:(1)ベクトル(係数比較);(2)2変数の最大最小(数式化→``予選決勝法''→二次函数)、重心のベクトル、内積の定義;(3)連立方程式(二次式混入、二次式の処理(平方完成))、誘導「結果の利用」。目標解答時間30分。

テクニックBC

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 (1)は良いでしょう。|\vec a|=1とかに注意して係数を比較してやるだけです。F=-2(\vec a+\vec b+\vec c)\cdot(\vec a+\vec b+\vec c-3\vec d)です。

 (2)ですが、3\vec g:=\vec a+\vec b+\vec cと置いてやると、\vec gは(ABCが三角形を成す場合は)ABCの重心を表すベクトルになります。この事から、0\leq|\vec g|\leq1である事は(図形的に)認めて良いでしょう。その上でFを式処理しないといけないと意識していると、内積の定義と併せて次の変形が思い付く事も良いでしょう:

F=-2(3\vec g)\cdot(3\vec g-3\vec d)=-18(|\vec g|-(\cos \theta)|\vec d||\vec g|)=-18(|\vec g|^2-(\cos\theta)|\vec g|).

(※\thetaは空気読んで。)これで、|\vec g|を変数とする二次函数に帰着しました(\thetaも変数なんで、片文字を固定して所謂``予選決勝法''をした事になります)。

 (3)は、(2)のFが最大になるのが\theta=0, |\vec g|=1/2の時である事を踏まえ、方程式を立てて解くだけです。\vec a:=(x,y,z), \vec b:=(a,b,c)として:

・これ等が球面上の点を表すベクトルである事;

\theta=0である事;

\vec gが重心である事,

に注意し、連立方程式を解いていきます。しかしながら、そうすると

64x^2-112x+z^2+49=0\cdots

という2変数の式だけが残ってしまいます。一瞬「答は変数込みか?」とか思いますが。ここで★にもう少し二次式としての変形(つまり平方完成)をしてみると、

\Longleftrightarrow 64\left(x-\frac{7}{8}\right)^2+z^2=0

と綺麗に定数項が消え、x=7/8, z=0と判ります。成程、初めは「何でCの成分こんな糞汚えんだよ怠いな」と思っていましたが、答を一意にする為の調整だったんですね。上手です。

 上手な設定の下で1つの目的に向かって様々な知識を問う、とても良い問題だと思います。(3)の★の式変形だけ、少し手を動かすハードルが高めな気がします。

 

5:(1)「円の包含」と「円の中心からの距離と半径の大小関係」の言い換え;(2)「円の包含」と「円の中心からの距離と半径の大小関係」の言い換え、「文字定数は``工夫して''分離せよ」、二次式の処理(平方完成)、誘導「方針の利用」?;(3)求積(y軸回転体)。目標解答時間35分。

テクニックC

記述量C

発想力C

総合難易度C

 これも4(3)同様、(2)で少し気の利いた考察が必要になります。

 (1)は良いでしょう。中心からの距離が常にa以上になれば良いだけです。この様に「円の領域への包含を、円の中心からの距離と半径の大小関係に注目して議論する」というのは、大学で数学をやっている人間は「開集合(「境界を含まない集合」を表す専門用語)」の議論で慣れているんですが(知ってる人向けに話すと、イプシロンボールの議論ですね)、受験生にとっても常識かと言われたら、ちょいちょい微妙な気がします。``接する⇔重解''とかは勘弁してください。放物線の場合と違って、グラフの考察とかしても正当化出来ないでしょ?使うなって事です。

 (2)も(1)と同じ方針なのは良いと思うんですが、そうして立式していくと、

{}^\forall t\in\mathbb{R}, t^8-2at^6+(1+2a)t^4+(1-2a)t^2\geq 0

を満たすa\gt0の範囲が求めるものと判ります。「よっしゃ、t=0の場合は常に成り立つから。0\lt t^2=:Xとしてこいつで辺々割って文字定数分離だ!」と普通ならやるんですが、場合分けが煩雑な上に極値がとてもじゃないけど計算出来ねえ。仕方無いから、文字定数分離の直前のところから方針を考え直します。

{}^\forall X\gt0, X^3-2X^2+(1+2a)X+(1-2a)\geq0\cdots

なら良い訳ですが、ここで文字定数aをXごと分離すると場合分けが生じてうざいので、文字定数を工夫して分離して、

\Longleftrightarrow {}^\forall X\gt0, X(X^2-2X+1+2a)\geq 2a-1

ここで注目したいのが、左辺括弧内の二次式です。これに二次式の処理(つまり平方完成)をしてみると、(X-1)^2+aとなり、a,X\gt0に注意すれば、如何やら左辺は常に正みたいです。X\rightarrow+0の時は左辺は0に近付くんで、つまり☆の成立には2a-1\leq0であれば良いと判ります。「文字定数は``工夫して''分離せよ」に加え、4(3)の★の変形同様、再び二次式の平方完成がポイントだった訳ですね。よく考えたら、☆の変形に近い変形を(1)でもやっているので、ひょっとしたら東工大の先生は「方針の利用」のつもりで出題されたのかも知れません。まあでも、この見方は流石に無理が在る気がします。色々勉強出来る良い小問だとは思いますが、試験問題で解くのは大変でしょう。

 (3)はもう勘弁してください。円の半径の大きさで場合分けも生じますよね?怠過ぎ。いやまあでも数III勉強したかを問う問題としては悪くは無いと思います。少なくとも2よりか全然マシな問題。

 (2)は試験場では難しいでしょうねえ。でも、(2)が出来なくても(3)には取り組めるんで、被害は少なく済む気がします。

 

 

 絶対取らないといけないのは1(1),2,3(1)(2),4(1),5(3)ですかね。これだと未だギリ半分無いと思います。1(2),4(2),5(1)は、少し高度だけど東工大生なら食らい付けないと駄目だと思います。この3つの中から2つ押さえた6割前後くらいが合格者平均なんじゃないかと思います。1(2)の粗い評価、4(3)の★の変形、5(2)の「文字定数は``工夫して''分離せよ」の様に、今年は「思い切った方針選び」が明暗を分けた問題が多かった様に思います。が、普段から「詰まったら前に戻って解法選択のやり直し」を徹底していれば、そんな`に`難しい''って程ではないと思います。3(3)は中々難しいと思いますが、指摘した通り2021の東大4とかを経験していると、案外すんなり行けたかもです。``難問''って程ではない。トップ層なら十分、満点が狙えたんじゃないですかね?

 てか東工大も確率無え!まじで統計中心のカリキュラム改変が嫌なんですかね?

 後は東北大と北大ですね。明日から4日間研究集会なんで、また止まるか、或いは面倒臭くてやらないかもです(忙しいアピール研究してますアピール俺大好きアピール…)。