予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2016京大理系。

※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2016/2/25に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い加筆、修正し転載したものです。

 

難易度:やや易

昨年比:易化

 

1:(1)Maxmin(微分、「αと置いて先に進め」);(2)極限(eの定義式に帰着)。目標解答時間15分。

テクニックAB

記述量AB

発想力A

総合難易度AB

 初っ端から小問付きで身構えてしまうかもですが(京大の小問付き問題はやばい誘導利用問題である事が多い)、本問は至って穏やかです。

 (1)はまあ微分でしょう。但し、極値を与えるθの値が求まらないので、αとでも置いてそのまま進みます(「求まらない値はαと置いて先に進め」)。

 (2)の極限計算は一般に挟撃か公式に帰着か粗く評価するかの孰れかですが、本問はeの定義式に帰着でしょう。

 小問毎に問うているポイントが大変明確で、微分学習直後の高校生向けに丁度良い良問です。勿論、京大入試で出題されたなら完答必須です。

 

2:整数(偶奇性、偶素数は2のみ、実験し予想し証明、剰余類、mod算)。目標解答時間20分。

テクニックBC

記述量A

発想力B

総合難易度BC

 抑え目な記述量の中に整数問題のテクニックがふんだんに含まれた、京大らしい実に良い問題です。この実験して剰余類に帰着させる流れは2006の4でも同じ問題が出題され、その後阪大2013の3等にも出題されている必須技法ですね。ただ、本問は実験以外にも:

・事前に偶奇性の考察が必要;

・3の剰余類では失敗するので、その前に偶奇性を使った事にも注目し6も剰余類,

等の処理が必要である事から、先に挙げた問題達よりももうワンランク上の問題です。絶対取れとは言えない、微妙なラインですね。

 良い問題なので、解答を載せておきます。

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3:幾何の解法選択(初等幾何)。目標解答時間15分。

テクニックAB

記述量A

発想力B

総合難易度B

 目標解答時間15分とか偉そうな事を書いてますが、俺はこいつに40分以上持っていかれました(汗。やられました。俺は完全に大物の幾何論証だと目測を誤り、座標設定とかベクトルとか要らん事しまくってしまいました。図形の基本は、先ずは初等幾何で分かる事を調べ尽くす、ですものね。これさえ押さえていれば、最初の段階で「あーこれ只の算数だ。」と解る訳です。外心の考察を3次元に移行する、類題は2011の大取でしょうか(あっちの方が難しいですが)。

 でも、こう云う1つの事に気付くかどうかで大きく点差が開き得る問題は、その日の体調等により頑張って勉強したした受験生が落とし得て、一方で一寸パズルが得意なだけの野郎が満点をさらう恐れがあるので、個人的に入試問題としては如何なものかと思います。まあ初手で命運が分かれるなんてのも京大らしい問題と言えばそうなのですが、これは余りに極端。せめて後者の受験生共に点数を与えない為にも、もう一工夫しろよって感じです。難易度判定が一寸難しいですが、初手の方針の誤り易さからB難度だと思います。
 と云う訳で、自分への反省も込めて、本問も解答を載せておきます。

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4:三次元回転体。目標解答時間20分。

テクニックB

記述量B

発想力AB

 京大の三次元回転体なので一瞬びびりますが、本問は至って平凡です。唯一のポイントは、与えられた式が一寸複雑なので、それに惑わされず冷静に断面が考察出来たか否かでしょうか。これが出来ない人が如何すれば数学を普通のレベル迄出来る様になるのかは、申し訳有りませんが俺には判りません。

 まあ完答必須だったでしょうね。

 

5:確率(n、漸化式、対称性)。目標解答時間20分。

テクニックAB記述量B

発想力A

総合難易度AB

 京大理系志望なら飽きる程対策したであろう確率漸化式です。補助数列を置くのも常識ですよね。取り敢えず求めたい確率をp_nとした後は、対称性を活かす為にx=1ではなくx=2の方をq_nとした方が若干処理量が減る気がしますが、別に何も考えずにx=1の方をq_nとしても普通に解けます。

 これも落とす方が難しいです。

 

6:多項式の決定(因数定理、解と係数)、場合分けと十分性のチェック、必要性から絞る、1の三乗根\omegaの性質、対称性による議論の省略、基本対称式と連立方程式。目標解答時間40分。

テクニックC

記述量CD

発想力B

総合難易度C

 前年5に引き続き、京大名物多項式決定です。多項式が割り切れる割り切れない系の問題は基本的に:

・剰余の定理;

・因数定理や因数分解で因数考察,

の2通りで、前年が前者だったからか、この年は後者となっています。多項式周辺の様々な技術を要求してはいますが、高度な思考力を要求する様な部分は余り無く、普段から確りと論理を意識した答案を書いている人なら、時間さえ有れば確実に解ける問題だと思います。一方で、普段から答さえ出れば良いと場合分けや十分性を軽視している人は先ずまともな答案を書けないと思われるので、数学の選抜試験としては非常に良い問題だと思います。恐らくこの年は、本問を解けたつもりで自己採点をして、でも開示を見たら予想よりずっと点数が低かった、って人が多かったんじゃないですかね。

 本問、予備校やらの答案も幾つか見ましたが、案の定、どれも十分性に関する記述が何かしら甘いものが殆どだったと記憶しています。なので解答を載せておきます。

解答(画像じゃなくてすまんこ):2016京大理系6.pdf - Google ドライブ

 

 

 易しいですが、京大らしい問題の多い年でした。普通の理系生なら理系の標準問題である1,4,5を確実に押さえ、2か3から1問は取れるレベルに達しておきたい。医学科志望、数学科進学希望者は「この年の過去問は物足りねえなあ」とか言いながら満点取らなきゃ駄目なレベルですね。

 後、この年は前ブログで講評を出したのは駿台河合代ゼミ東進のどこよりも早かったみたいですね。流石だぜ☆