予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2018京大理系。

※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2018/2/25に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。

 

難易度:普通~やや難

昨年比:難化

 

1、存在領域、目標解答時間20分。

テクニックB

記述量B

発想力B

総合難易度B

 (1)二次曲線同士ですが、放物線ですし、「接する⇔重解」を使って良いと思います。正当化も易しいです(共通接線を仲介すれば良い)。

 (2)存在領域です。(1)の接点を(x,y)とでも置き、逆に(a,c)にについて解いてあげて条件に放り込むだけですが、最後迄付きまとうx≠0とかうざいですし、てかそもそもこの図形と方程式の後ろのテーマ自体が難しいですからね。解ければそこそこだと思います。

 

2、実験、剰余類、目標解答時間10分。

テクニックA

記述量A

発想力AB

総合難易度A

 実験して倍数性を示す、京大のお約束のやつですが、流石に見飽きましたよね。この手の問題、予備知識が要らないのに加え、変に“解後感”が良いので、どうせ今頃、ツイッターとかで頭良いアピールに使われている筈です。そう云う奴に限って、整数って言葉を理解せずに-3が抜けていたりします。

 

3、図形量のMaxmin(文字消去→三角函数)、座標設定、目標解答時間30分。

テクニックBC

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 内接円の中心を原点に座標設定が良いと思います。先ず2角を文字で表しますが、αが固定なので初等幾何で文字を片方消します。後は三角函数の処理ですね。

 実は僕、初めαも動かすと思って2変数Maxminで解いてしまい、その後修正したので、普通に解いた難易度が一寸解らないのですが、それでもそこそこ難しいと思います。

 

4、ω、確率漸化式、目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力B

総合難易度AB

 京大名物の式処理と確率漸化式の融合の大物(2012-6、2015-6)かと思いましたが、そんな事は無かったです。

 ωと共役辺りさえ知っていれば、只の点の移動の確率漸化式です。途中の連立の処理で隣接4項間が出そうになりますが、ちゃんと3項間に落ちます。まあでも4項間でも京大生なら解けると思いますけど。

 

5、数Ⅲ総合(法線、曲線の長さ、定積分の極限)、目標解答時間45分。

テクニックBC

記述量CD

発想力BC

総合難易度C

 糞怠い数Ⅲです。東大じゃないんだから、まじで勘弁して欲しいです。

 (1)は微分だけですが、汚いの本当に勘弁です。まあ分数函数微分公式忘れてた自分も悪いのですが(汗

 (2)は曲線長の定積分と極限の融合ですが、積分計算をする前に積分の線型性(∫f+∫g=∫f+gの事です)からL1-L2を綺麗にするのがポイントです。偉そうに言っていますが、初め積分計算を個別にしようとして悶絶していました。これに限りませんが、特に定積分と極限の融合問題では、計算が中途半端なままで別の式処理に移らないといけない場合が多い気がします(ちょっと毛色が違いますが、東大2015-6とか阪大2015-1とか)。

 時間内に完答出来れば大したものだと思いますよ。

 

6、“すっぴん図形(ベクトル、座標設定)”、誘導「結果の利用」「方針の利用」、3次元求積、対称性(保つ&崩す)、目標解答時間65分。

テクニックCD

記述量BC

発想力D

総合難易度D

 いややられましたよ。これは難しいです。因みに65分は自分がかかった時間です(汗

 (1)は普通に空間ベクトルですが、この誘導がめっちゃ効きます。

 (2)は先ず(1)と同様にして別の情報(PQ⊥CD)も引き出さないといけません。この件は2017-2に近いですね。(1)の方針の利用です。

 さて、この後の処理ですが、詳しくは解答を見て下さい。積分計算は一切ありませんが、紛う事無き数Ⅲの三次元求積の難問です。数Ⅲの臭いがしないのに断面考察ってのは、大いに発想力が必要とされる気がします(本当なら「体積」って言われた時点で、この方針も頭の片隅に置いておかないといけなかったのですが…)。

※“すっぴん図形”ってのは、この手の京大特有の設定が少ない図形問題を「入試数学の掌握」って本でそう呼んでいるので、それに倣っているだけです。

※如何して以下の様な答案に辿り着いたのか、問題を解いている時の自分の思考の流れと合わせて、少し書いてみます。

「(1)は取り敢えず誘導だろう。誘導の使い方は、

(イ)結果の利用。

(ロ)方針の利用。

の2通りだけど、まあ多分、「結果の利用」。

体積に関する問題だけど、対称性も高いし、かくかくの図形だから、まあ初等幾何、座標設定、ベクトル辺りを援用しつつの体積考察だろう。 …☆

→この方針で40分以上溶かす。途中で、上記「方針の利用」と対称性を検討し、

  CD⊥PQ …♡

 が出る。

全く分からん!初めからやり直し!

→ここで漸く、☆の決め付けのまずさに気付く。

体積に関する問題なんだから、方針は大きく、

(イ)幾何的に。

(ロ)積分

の2通りが在る!後者か!

積分するには座標軸が必要だが、この軸が(1)のLMであると判断。再び「結果の利用」。今度は対称性の2つ目の扱い「崩す」から、解答の様に座標設定。

→座標軸の設定で、上記♡が決定的な役割を果たす(早い段階から積分の方の方針で攻めていた場合、この座標軸の設定段階でC,Dの座標考察の必要性に駆られて初めて、上記「方針の利用」「対称性」で♡に気付くと思います)。

断面考察は通常のかくかく図形の回転体等を扱う場合同様、ベクトルで行い、下記答案が完成。」

(反省)

 勿論、☆の思い込みが最悪です。体積の問題だと云う時点で、しっかりと丁寧に積分の方も検討していれば、無駄な40分は殆ど使わなかった筈です。

 思わぬ方針を採用すると云う点で難問ですが、思い込みをせずに丁寧に解法選択を行えば、確実に解ける問題です。誘導の使い方2つ、対称性の取り扱い両方、座標設定やベクトルと云った図形の取り扱いもふんだんに含まれた、学習効果も極めて高い良い問題です。

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 昨年に引き続き、点数をあげる為だけの小問付の問題(1,5)が出ましたね。でも試験としては今年の方がずっと難しかったと思います。と言うか自分が普通に時間オーバーでしたし(汗

 ただ、2,4,5(1)みたいなカスみたいな問題も在るので、半分一寸位迄取るのは簡単だと思います。もう少し頑張って、4完弱6割越え辺りで上々でしょう。