予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2018九大理系。

※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2018/2/26に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。

 

難易度:やや難

昨年比:微難化

 

1、軌跡、目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 空間ですが、何の事は無い軌跡です。ベクトルとパラメータを使って計算するだけです。

 答は円周になりますが、補足すると、こうやって平面図形を別の平面に投影する操作は「射影変換」と呼ばれていて、この射影変換で写り合う図形同士を“同じもの”と見為す考えを「射影幾何」と呼びます。つまり本問は「双曲線と円周は“同じもの”である。」と言っている事になります。実は、この文脈で二次曲線は(本問では登場しなかった放物線も)全て“同じもの”である事が知られています。本問の通り、射影幾何自体は高校数学でも計算出来る位に素朴なものですが、実はもっと高度な「代数幾何学」の入り口にもなっています。自分の専門です。興味の有る方は是非数学科に来て下さい(笑

 

2、通過領域、求積、目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 通過領域と書きましたが、実質蓋の軌跡を求める問題です。(1)(2)は積分なんかしてはいけません。只の楕円と円です。

 今年は軌跡好きですね。

 

3、確率総合、目標解答時間20分。

テクニックB

記述量AB

発想力B

総合難易度B

 誰でも思いつきそうな滅茶苦茶シンプルな設定ですが、かなり良い問題です。

 先ずr(n)の場合から処理するのがポイントです。2が1回だけ、他全て奇数で、組合せを考察します。

 次にp(n)の場合をを処理します。余事象を考え、ずっと奇数 or r(n)の場合で、ここでさっきの答を使います。

 最後にq(n)、s(n)は連立漸化式で処理しますが、当たり前と言えばそうなのですが、対称性から漸化式を解く必要は有りません。

 煩雑な計算が一切無い中で、組合せ、余事象、漸化式立式の全てが含まれた、極めて学習効果の高い良問です。来年以降の受験生は是非解いて下さい。

 

4、ディオファントス方程式(積の形)、九大特有の糞みたいに余計な糞みたいな糞小問、目標解答時間25分?

テクニックBC

記述量B

発想力BC

総合難易度BC

 (1)は良いでしょう。

 ですが(2)っすよ!何すかこれ?(1)のせいで剰余類の問題だと思ってでもmod3じゃ駄目なんでmod4,mod6,mod9迄計算しちまいましたよ!まじふざけんじゃねーっすわ!普通に1だけ移項してx=±1から矛盾っすよ!本当、九大は時々まじで余計な小問を付けやがります。作った野郎、普段から急に全然関係無い話題をおっ始める様な空気の読めない奴に違いありません。

 (3)は打って変って良問ですが、九大にしてはかなり本格的なディオファントス方程式です。解答を付けておきます。ぱっと類題が浮かばないのですが、有理数解の分母を払う流れはよくあります。

 あーこれ自分、(2)のせいで1時間は掛けましたねー。

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5、複素数方程式、目標解答時間25分。

テクニックB

記述量AB

発想力→BC

総合難易度B

 ぱっと見、かなりとっつきにくい感じがしますが、こう云う見慣れない複素数の方程式って、

(イ)無理矢理複素平面の図形と解釈。

(ロ)共役を取る。

(ハ)実数、純虚数を分離。

(ニ)絶対値を取ってみる。

位しか出来る事が無い気がするんですよね。本問は典型的な(ハ)のタイプで、zバーをi(実数)αの形にします。実数の部分を纏めてrと置き、これを二次方程式だと思って求めてしまえば終りです。

 多分、参考書や予備校のテキストの複素数のパートに普通に有ると思うので、なら解けると思います(すいません、旧課程の人間なんで分からないっす)。

 ※コメントでご指摘頂いた通り、本問は移項してから絶対値を取り因数分解をしても出来ます。汎用性も高い方法なので、(ニ)を追加しました。只、同値変形ではないので、求値問題では十分性のチェックをお忘れなく。

 ※大手予備校や入試数学評論ブログの先輩方が、軒並み本問をやや難~難と裁定していますので、典型題ではないと判断し、「発想力」を上方修正しました。ただ、それでも上記複素数の取り扱い(イ)~(ニ)さえ押さえていれば、食らい付けるとは思いますので、矢張り総合難易度自体は据え置きとします。因みに自分のコメントの解法の、(実数)○とかi(実数)○の形を作るのは、大学の複素解析で時々使う事が有る技術で、従って作題をされる大学の先生方にとっても馴染みの有るものだと思われるので、押さえておくと良いと思います。

 

 

 少し高度だった去年に比べれば、若干易しくなり、2016,2015の水準だと思います。ただ、1,2の軌跡はそれ自体、苦手な受験生が多そうなテーマですし、3はしっかり確率を勉強していないと多分取れないですし、4は(2)があれですし、5は俺が難易度判定いまいち出来ないし(汗、矢張りこの水準でも6割半辺りが目標だと思います。

 1,2と図形と方程式の後半テーマが2題出たのは、今後少し注視すべき傾向かも知れません。

 ※総合難易度の平均を取ったら、普通に昨年並みの難易度でした。如何も自分の大学の評価は厳し目に出してしまう嫌いが有ります。如何やらここ4年、非常に安定しつつもじわじわと難化傾向にある様です。