予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2021九大理系。

 後半2題が上手です。誰が作ったんだろう?

難易度:標準~やや難

昨年比:やや難化

 

1:空間図形(平面の手法の真似、点と平面の距離公式)。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力AB

総合難易度B

 タイトルの通りです。(1)の内接球の半径は平面図形の内接円の半径の真似、(2)の切り取られる円の半径は平面座標で円が切り取る線分の長さを求める時の真似です。後者は「点と直線の距離の公式」が「点と平面の距離の公式」になります(今の課程だと教科書に載ってるんだよね?)。

 次元が増えた分計算量も増えるし、絵も描かなきゃなので、記述量はちょいちょいです。試験場では決して雑魚ではないでしょう。

 

2:(1)二次次方程式の解(判別式)、三角函数の式処理;(2)複素平面(素朴な考察)、三角関数の式処理;(3)複素平面(素朴な考察)、三角函数の式処理、変数の範囲に注意。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力B

総合難易度B

 二次方程式、三角函数複素平面と盛り沢山です。

 (1)は勿論、(判別式)<0ですが、この後の式処理を如何するかで結構処理量が変わってきます。(下に載せた)解答の通りに\tan\sin,\cosばらすと直ぐですが、俺は初め脳筋になって\tanに統一しようとしたせいでまあまあ時間を持っていかれました。

 (2)は中心が実軸上である事がポイントです。「図形問題は式処理をする前に先ず出来るだけ素朴に見よう」という習慣が有れば見抜けると思います。このタイプ、九大だと割と多い気がするのですが、類題を直ぐに思い付かない💩

 (3)も(2)同様、どの角が直角になり得るかを先ずは素朴に考察です。最終的にtanを含む二次方程式に帰着しますが、答えは0\lt\theta\lt\frac{\pi}{4}というパラメータの条件に注意です。

 これもテクニックも計算量も多く、決して雑魚ではない。

 

3:(1)全称条件(不等式)、領域、微分;(2)求積。目標解答時間25分。

テクニックBC

記述量C

発想力B

総合難易度BC

 理系向けドストレートといった感じの、やや難の総合問題です。

 (1)は「任意のtに対して不等式が成り立つ範囲を求めろ」系の問題です。二次方程式の最後の方にやや難の問題として載っているやつの類題ですね。ただ、2変数な上に式処理が数IIIの微分なので、中々難しいと思います。19の1とか12の3みたいに、難しい年の九大の微積は文字の多さで受験生を心を折りにくるんで、怖いですね(12は俺が折られた年です(笑))。

 (2)は回転体の体積、つまり只の積分計算ですが、今度は計算量が中々にえげつないです。

 前2題に増して試験場で取り組むには大変な問題だと思います。

 

4:独自設定下での複素数の式処理と色々な論証;(1)全称命題の証明;(2)全称条件の同値性(パラメータの存在にすり替え);(3)非存在性の証明、複素数(絶対値、複素数平面での素朴な考察)。目標解答時間35分。

テクニックBC

記述量C

発想力C

総合難易度C

 「平均値の性質」という、正にそれっぽい定義を与えた独自設定下での、複素数を中心にした論証問題です。(3)が中々上手です。

 (1)は特称命題(つまり「存在する」)の証明です。指示通りに式変形をすれば普通に解ける問題なのですが、聞き方だけで多くの受験生が苦手としていそうな気がします(うちの数学科の学生もまあ苦手ですよね)。

 (2)は複素変数下での文字の条件を求めさせるやつです。19の5に近いですが、流石にあれ程難しくはないですね(雑魚でもないけど)。「線分\alpha\beta上」って条件を、実数のパラメータの存在条件に言い換えます(こことか正に19の5の類題ですね)。実数の話になったので、実部と虚部に分けて実数の議論に帰着する事が出来ます。ですが、答が何とb,cには条件が付きません。この辺の変に受験生を怖がらせにくるのも、正に九大理系数学です(だが良い問題)。

 (3)最後は「平均値の性質を持たない」つまり非存在性の証明ですね(「非存在性の証明」って、何か中高生向けのボカロの曲の歌詞に在りそう!俺もこういうの大好き!笑)。まあ在るとして背理法なのは良いでしょう。f'(\gamma)=7\gamma^6なんで、角度や絶対値について素朴に考察してあげれば良いですが、そこに至る迄に色々と複素数の式処理をしないといけないし、これも中々難しいんじゃないかと思います。てか(3)は諸々の議論やその設定がかなり上手な気がします。誰が作ったんですかね?

 18の5や19の5に続く、本格的な複素数の式処理と論証の問題です。九大数学で満点を狙いたい人は、この辺の解法整理をきちんとやっておくべきでしょう。トップ層以外にとっては、捨てるか捨てないか、かなり微妙なラインの問題だと思います(出来れば間違い無くかなり差を付けられる)。ところで、独自設定をしてくる問題は15年以上前とかだとよく出ていたのですが、2006の5を最後に息を潜めていました。懐かしいですねえ。

(※)因みにf'なんて思わせ振りな記号が使われていますが、この表記はちゃんと(大学以降の)数学的に適切なもので、「代数的な微分」と呼ばれるものです(まあ今回は\mathbb{C}上だから普通に複素微分でもあるけど)。以上「俺数学知ってるぜ」アピールでした。

 

5:(1)コンビネーションの定義式、不等式の証明(粗く評価);(2)ディオファントス方程式(不等式の利用、素因数考察)、誘導「結果の利用」。目標解答時間20分。

テクニックB

記述量AB

発想力BC

総合難易度B

 これは上手で解ければ気持ちが良い問題です。

 (1)はコンビネーションの定義の理解が必要です。但し、今回は\frac{n!}{k!(n-k)!}の方ではなく、場合の数で普通に計算する時の{}_5\text{C}_3=\frac{5\cdot4\cdot3}{3\cdot2\cdot1}の方です。分数毎に粗く評価するんですが、若干発想力が必要とされていますかねえ。

 (2)は(1)を使うという意識が有れば、2\leq k\leq n-2とそれ以外で場合分けする事は出来るでしょう。2\leq k\leq n-2の場合ですが、ディオファントス方程式の問題なので登場している素因数pに注目するのは定石です。ここで(1)からn\lt pとなるため、コンビネーションの分母の因数を考察する事で、解が存在しない事が判ります(答案は背理法的に書くべきかな)。コンビネーションの因数考察はフェルマーの小定理の証明とかで触れていれば馴染みが有ると思いますが、無かったとしてもそんなに難しくない様な気もします(でも若干、発想量が必要かな?)。コンビネーションの因数考察といえば15年の東大5とかが連想されますが、あっちよりもずっと綺麗に作られていると思います。いや見事です。作ったの数論の先生かな?だとしたら知り合いだと思うのだけど(人脈自慢)。

 重くはないけど発想力がちょいちょい必要で、``横割り''の本とかでちゃんと勉強していない層は、完全にその日の頭の冴えの勝負になってしまいますね。まあでも、個人的には好きです。

 

 

  各問の難易度がB, B, BC, C, Bです。これは一昨年に匹敵する難易度だったんじゃないでしょうか?京大の5完よりは遥かに難しいですね(満点だと向こうに大物がいたんで判らん)。

 1は出来ないといけない。2は計算ミスや条件の見落としとかしそうだし、8割で十分でしょうか。3,4,5はどれも全滅し得る非常に危険な問題ですが、流石に1問弱は取らないと厳しいでしょう。5割ちょいで合格者平均くらいですかねえ?

※おお!確率が無え!東大のパクり?でも統計の先生達が口出さなかったの?

 あ、後、大学から借りているデジタルペーパーが共有がスキャンより遥かに簡単だったんで、俺の答案を貼っておきます。時間計りながら書いたやつです(京大もやるんだった。来年は大学に返して持ってないから多分出来ない💩)。結構、目一杯使いました。模範解答というには色々粗が在ると思いますが、まあ超トップ層*1の試験場での再現答案としては十分でしょう。是非参考にしてください(因みに俺は解き終わった時点で3の\piが抜けていたんで、満点ではないです💩):2021九大理系。.pdf - Google ドライブ


drive.google.com

*1:流石に今受験生やったら九大なら医学含め俺様がほぼ最強だろ(しかし、たまに数学科にいるまじのバケモノには多分高校生でも勝てん💩

2021京大理系。

 俺は最後の小問集合にやられました。

難易度:5完極めて易、満点やや難

昨年比:5完大幅易化、満点同程度

 

1:小問集合:

問1:空間ベクトル(空間内の平面に関して対称な点)。目標解答時間15分。

テクニックAB

記述量AB

発想力A

総合難易度AB

問2:確率(「n回目で初めて」)。目標解答時間15分。

テクニックAB

記述量AB

発想力A

総合難易度AB

 どっちもチャート式の★4つくらいのやつじゃないですか?

 問1はPからαに下ろした垂線の足を求めるだけです。射影ベクトルとか知っていればもっと楽ですが、大した差は生じないでしょう。

 問2はn-1回目赤以外の3/4が続き、n回目で赤玉の1/4になるやつです。n-1回目迄が2色だけとか1色だけでは駄目だから何かベン図みたいに考えなきゃいけないのもお約束ですね。

 

2:図形量の最大値最小値(数式化→微分)、数IIIの微分の教科書章末問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 易問でしかないんですが、計算量がまあまあ嫌です。東大の雑魚みたいな感じっすね。最後はa:=t^2とでも置換でしょう。解いている最中は「相加相乗で楽出来そう♪」と思っていましたが、無理っぽいです。

 

3:級数計算、三角函数の周期性、数IIIの級数定期テスト問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 \cos\frac{n\pi}{6}

1\mapsto\frac{\sqrt{3}}{2}\mapsto\frac{1}{2}\mapsto0\mapsto-\frac{1}{2}\mapsto-\frac{\sqrt{3}}{2}\mapsto-1\mapsto-\frac{\sqrt{3}}{2}\mapsto-\frac{1}{2}\mapsto0\mapsto\frac{1}{2}\mapsto\frac{\sqrt{3}}{2}\mapsto1\cdots

 と周期的に変化するんで、それに合わせて級数を分けて計算すれば良いでしょう。俺は公比-\left(\frac{1}{2}\right)^6の5個の級数に分けて計算しました。

 ほぼ同じ事ですが、先に

1+\frac{\sqrt{3}}{2}\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^2-\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^4-\frac{\sqrt{3}}{2}\left(\frac{1}{2}\right)^5

を計算し、初項がこいつで公比-\left(\frac{1}{2}\right)^6級数だと思っても良いです。こっちの方が計算は気持ち楽だけど、試験場では直ぐに思い付かなかったらこんな工夫を考える方が時間の無駄でしょう。

 いやてか\cos\frac{n\pi}{3}\cos\frac{n\pi}{2}で良いだろ面倒臭えな。

(※)この問題、i\sum_{n=0}^\infty\left(\frac{1}{2}\right)^n\sin\left(\frac{n\pi}{6}\right)との和を考えてやると、ドモワブルから\sum_{n=0}^\infty\left(\frac{1}{2}(\cos\frac{n\pi}{6}+i\sin\frac{n\pi}{6})\right)^n ~(=:\alpha)となり、\frac{1}{2}(\cos\frac{n\pi}{6}+i\sin\frac{n\pi}{6})が絶対値1未満である事から、(複素数の)簡単な級数計算に帰着出来ますね(勿論、求める値は\alphaの実部です)。本問に限らず、\cosの問題で\sinとのペアを考える事は基本的なアイディアですね。同じ分野の超優秀な某先輩から指摘してもらいました。有り難うございます(てか見てくれているの嬉しいけど超怖え!笑)。

 

4:曲線の長さ、定積分計算(半角の公式)。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量AB

発想力B

総合難易度AB

 問題だけ見るとこいつも数IIIの定期テスト問題ですが、積分計算がやや厄介です。京大は時々、積分の計算問題を出題しますが、これがそうって事ですかね?

 曲線の長さの定義通り計算すると、被積分函数\frac{1}{\sqrt{1+\cos x}}ってのが出てきて、分母のルート内を半角の公式で処理します。この半角の使い方は少しイレギュラーな気がします(いやパターンなんだっけ?覚えてない)。俺は少し悩んじゃいました。

 

5:軌跡;(1)円周角の逆;(2)数IIの軌跡。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力B

総合難易度B

 (1)は円周角の逆より外心がAに依らないんですよね。でもこの聞き方のせいで、一瞬「ん?」ってなった受験生も多いのでは?円周角の逆は、軌跡の解法選択が身に付いていないと、一寸気付き難いと思います。

 (2)は普通に数IIの軌跡の問題ですが、同値性の記述には少し気を払ってくださいね。

 いや(2)の計算が全然合わなくてまあまあ苦戦しました。情け無い💩

 

6:小問集合(のくせに強い!):

問1:素数である事の証明(対偶取って合成数である事の証明に帰着)、京大名物「実験→予想」に偽装因数分解(積の形)。目標解答時間知らん!(方針を間違えなければ5分で解けるが俺は1時間以上溶かした💩)

テクニックB

記述量A

発想力BC

総合難易度B

問2:連続特称命題(接点Tの変種、平均値の定理)。目標解答時間40分。

テクニックCD

記述量B

発想力D

総合難易度CD

 「え?また小問集合?」って感じですが、今度はどちらも雑魚ではありません(特に問2)。

 問1ですが、「素数である」の定義は「1と自分以外に約数を持たない」という否定文であり、このままでは(特に示す方が)扱い難いので、対偶を考える事にしましょう。すると示すべきは「n合成数ならば3^n-2^n合成数」となります。ここで「京大で合成の証明ときたら、まあ実験して何か因数を持たないかの考察だろw」とすると、恐らく泥沼にはまります。n=4,6で実験してみると、不幸にもどっちも5の倍数になり、この方針でいけそうな気がしてしまいます。しかし、実際に5の倍数になるのはnが偶数合成数である場合だけであると判ります(2^n, 3^nをmod 5で考えると判る)。しかし、ここで中途半端に上手くいけそうな感じがしたせいで、俺はこの方針に執着してめっちゃ時間を使ってしまいました。実際には、n=pq ~(p, q\gt 1)とすれば、a:=2^q, b:=3^qとして

3^n-2^n=a^p-b^p=(a-b)(a^{p-1}+a^{p-2}b+\cdots+b^{p-1})

因数分解されるってだけです(p,q\gt1より上記素因数分解が可能)。糞まじやられた!勿論、因数分解の方針自体は最初に考えたのですが、

3^n-2^n=(\underbrace{3-2}_{=1})(3^{n-1}+\cdots+2^{n-1})

として「あ、駄目だ」ってなって直ぐに放棄してしまいました。これは解けた人はすんなりでしょうが、俺パターンの泥沼をやっちゃった人も結構いたんではないかと思います。まじ超意地悪問題!

 問2は接線の存在の証明問題です。先ずは接点(てかパラメータ)の存在に言い換えるべきでしょう。つまり、(t,f(t))での接線y-f(t)=f'(t)(x-t)で原点を通るものが存在すれば良いです。これは接線の式に(0,0)を代入し(て変形し)た式f(t)=tf'(t)(★)を満たすパラメータtの存在が言えれば良いです。例の有名な荻野先生の「接点T」の変種と言って良い問題だと思います。ここから条件を如何使うかを考えます。条件を書き換えると\frac{f(a)}{a}=f(1)=\frac{f(1)}{1}となり(※)、この条件を使う為に(★)を更に\frac{f(t)}{t}=f'(t)と書き替え、g(x):=\frac{f(x)}{x}とします。すると、条件はg(1)=g(a)となります。ここで、パラメータの存在証明なので、平均値の定理の利用は常に意識しておくべきって事で、g(x)平均値の定理(てかロルの定理ってか)を適用すると、g'(x)=\frac{xf'(x)-f(x)}{x^2}に対してg'(t)=0を満たす1\leq t\leq aが存在する筈です。これはつまりtf'(t)-f(t)=0って事なので、示したかった事が示されています。

(※)唐突にこの様な条件の書き換えを行いましたが、この発想を俺が如何思い付いたかについて書いておきます。グラフを扱う際には、「\frac{f(t)}{t}は原点と点(t,f(t))を通る直線の傾きと見る」という(恐らくそんなにメジャーではない)定石が在ります。本問は傾きの考察をする感Maxの問題なので、\frac{f(t)}{t}の議論をする為にこの変形を行いました。因みに、平均値の定理を使う感もMaxだったので、条件の式を\frac{f(a)-f(1)}{a-1}=f(1)なんて風に変形し、左辺に平均値の定理を使ってみたりもしたのですが、如何にも上手くいきません。でもこれを使ってもいけそうな気がしているので、判った人がいたら是非コメント下さい。因みに、問2は絵的には明らかです。と言うのも、条件\frac{f(a)}{a}=\frac{f(1)}{1}はつまり「原点と(1,f(1))を通る直線が、y=f(x)と(点(a,f(a))で)もう1度交わる」となります。この状況を絵にテキトーに描いてみて、原点を通る直線を傾きを色々動かせば、(平均値の定理的なノリで)丁度接する瞬間が在る筈だと判ります。ですがこれだと数学ではないので、多分点数は貰えないと思います。

 いやまじ小問集合のくせにえげつないですって。特に問2はこれやって20点しか貰えないのは酷いですよ!一方で問1の因数分解は、京大では以前にも2010の理乙5でも出題されているんで、京大受験生は常識にしておいた方が良いと思います。

 

 

 さて、京大理系数学は2009年以降 「-2000して3の倍数になる年は難問による難化」というジンクスが続いていました。ですが今年は「難化」と言うには余りにも5完が容易です。ボーダーは普通の理系学部でも4完超えてるんじゃないですか?しかしながら、最後の小問集合の問2が普通にかなり難しいので、満点はそんなに多くないと思います。問1も俺はやられたし。

 出題分野について、何と半分以上が数IIIの微積絡みです。後は、確率漸化式が3年連続出てないですね。

 あーもー大問5終った時点で1時間半以上時間が残ってたのに、最後の小問集合に2時間近く持っていかれました。

 坂ダッシュしないといけないんで、九大は多分明日になります(雨天中止、でもやっぱ九大は明日)。

ブログの今後について。

 簡単に言えば、ちゃんと問題を解く大学を減らすと思います。

 元々このブログは、KATSUYAさんって人( 「東大数学9割のKATSUYA」)のブログを見て「俺もこんな風に色々と入試数学について語ったら(俺が)面白いだろうなあ」と思って始めたものです。始めたばっかの頃は(俺が知る限りは)KATSUYAさん以外にこういうのやってる人ってあんまいなかったんで、まあ珍しいって自覚も手伝って割とノリノリでやってました。でも最近は、俺より全然人気も(受験数学の)能力も有る人とかが動画取りながらリアルタイムで解くみたいな事も平気でやり出しちゃって、正直「これ(入試数学)俺がやる必要在る?」とか思う様になってきました。加えて、研究で「俺の数学」を好き勝手にやって俺の名前で論文になる方が、まあ全然楽しいんですよね。俺って兎に角、「俺」「俺だけ」「俺らしい」みたいなのが大好きなもんで。それと比べると、何か入試数学とか他にもやってる人沢山いるし、しかも難しいくせに解いても論文にならないし、その上、毎年解くのはこの時期だけだから、年々色々と忘れて解くの遅くなっていくし(普通に東大の問題解いてる時にf(x)/g(x)の微分の公式忘れて証明からやったりしています)、いやもう怠いっすわ。東大なんか結局時間内に解けたの16年と17年だけで、最近は全然、学歴コンプの解消にもならねえ。

 っつー事で、今後は時間計って真面目に提出するつもりの答案作って、みたいなのは、母校九大と学歴コンプの化身京大と、くらいにすると思います。他の大学も目を通してパパっと解くくらいはすると思いますけど、見た瞬間に解る問題とかは多分もう解かないし、「後は計算するだけ」ってなったら多分数値を出すってのもしないと思います。なので、難易度評価の特に「記述量」の部分は信憑性が結構落ちると思います(この旨は各記事の初めにもきちんと記述します)。

 まあでも、完全に止めるって事はしないです。6年続けてきた事ですし、てか「ちゃんと数学やってる人間で、入試数学関連の発信もしている人」ってなると、未だあんまいない気もするんで、その意味で価値は在ると思います(数学科の人間って事なら東大京大の学生とかも見ますけど、彼等って未だ研究はしてないですよね)。

 代わりと言っちゃああれですが、今後は(俺の)研究関連の記事とかをひょっとしたら書くかも知れません。いやまじ(クオリティは判らんけど)「自分の新しい数学的事実を見付けてそれを論文にする」ってだけなら、意外といけます。まあでも如何せん、(「金を貰う」という意味では)俺の研究は未だ誰からも評価された事が無いんで、何かしら金を貰える様になる迄は、こっちの記事もあんま沢山書いたりはしないかもです💩

2020秋学期代数学II関連。

 今期はレポートの解答とかは全部ムードゥルに上がっているんであんまやる事無いですが、何か在ったらここに書きます。

 

 取り敢えず、中間[4]の解答案です:

単因子論とは.pdf - Google ドライブ

こんな事を書いて欲しかったんじゃないですかね。俺も一時間一寸で何も見ずにテフ打ちしたんで、試験時間的にも妥当な記述量だと思います。

 

 期末試験の解答です:

期末解答.pdf - Google ドライブ

数学の才能って何だろうか。

 多分、ちょいちょいネガティヴで、且つ人によっては読んでいて気分が悪くなるであろう文章を書く気がします。本来なら発信すべき内容ではない気もしますが、本当に誰の目にも原理的に留まり得ないとこに書くのも何か嫌なんで、ここに書かせてください。まあ、ツイッターで通知しなければ見る人もあんまいないでしょ。

 

 いや、俺って本当に、自分で吐き気がする程、数学の能力が低いんです。って言うか、他人の数学の文章とかを理解して勉強をする能力が本当に致命的に劣っていて仕様が無い。本を読んでいても本当に何も解らないし(特に幾何)、だから自分で書き直すしか無いんだけど、それが本当に糞みたいに時間が掛かって、しかも解らない内は全然面白くないし、だから気が付いたらネットで動画を見出したり、或いはこうしてブログで自分語りを始めたりしちゃいます。他人の講演とかも殆ど何言っているか解らないです。てか、個人的に親交が有るとか、或いはまじで俺の専門に近い、とかではないと、そもそも他人の数学に一ミリも興味が無くて、頭の中で全然別の事を考えていて、話なんか殆ど聞いていません。*1*2

 

 ただ、俺にもちゃんと「数学の才能」は有ると思っていて、それは「俺が数学を続ける事に対して親が理解を持ってくれている事」と「数学を続ける事と自分の``幸せな人生''を天秤に掛けた時、前者を選べる事」の二つです。いやつまり、(少なくとも今の日本に於いて)大前提となる数学の才能って、数学を続ける事だと思っていて、幸か不幸か、俺はそれをちゃんと持っています。これは間違い無い。矢張り先ずは数学を続けないと(数学界的には)意味が無いんで、環境、信条を含め、それを実行出来るという事は、数学を続ける上で欠かす事が出来ない「才能」だと思います。「数学の能力自体は俺よりも高いんだろうな」って人で、経済的な問題とか将来の不安なんかを理由に数学を断念する人がいますが、これって結局、「数学の才能が無かった」って事なんだと思います。いや、さっきの講演の話とかもそうですけど、俺って多分、そんなに数学の事、好きな訳ではないと思うんですけど、でも、こんな人間性が終っている奴の糞みたいな人生よりは全然数学の方を優先して良いと本気で思ってます(完全に消去法だけど)。勿論、この先、お金が貰えずに飢え出したりした日には、心底、過去の自分の選択を後悔すると思うんですが、そうなった時にはもう手遅れな訳で、もう全部如何でも良いです。*3たかが個人の人生と天秤に掛けて数学を選べない時点で、きっと才能も糞も無いんだと思います。これも個人的にはよく言っている事なんですが、博士課程に行っても能力が高ければちゃんと生き残れるし、ちゃんと生き残れない様な数学に要らない人間が如何なろうと数学は困らないんで、だから結局、何も損失は無いんです。経済的な話とかも結局は全部言い訳にしか聞こえなくて、だって本当に数学に必要な人間なら、誰かしら手を差し伸べる人がいると思いますしね。後は、俺の友達(と少なくともこっちは思っている奴)に、家庭が崩壊していてまじで全く経済的な後ろ盾が無い上に、(失礼承知で書かせてもらうと)少なくとも超天才ではない、って奴がいるんですが、そいつは何かめっちゃ英語とか勉強して給料が貰える海外の大学院生になって数学を続けています。これは本当に凄まじい数学の才能だと思っていて、俺はまじでそいつを尊敬しています。俺にはとても真似が出来ない。まあ代わりに俺は「理解が有る親」という才能を持っているんで、奴とは別にまた数学を続けてはいますけどねえ…

 

 あー本当、何で数学なんか``好き''になってしまったんですかねえ。輝いていた筈の俺の将来は一体、何処に行ってしまったんでしょうか。いつかこの糞駄文を「黒歴史www」なんつって笑える程度にまともな人生になってくれる事を祈るばかりです。

 さて、もやもやしていた事をちゃんと文章にしてちょいちょいすっきりしたんで、ぼちぼち数学に戻ります。

*1:俺も講演者の研究集会とかで、俺の話を聞いてくれた人の講演は別です。どんなに興味が湧かなくても、全力で聞く様にしています。

*2:最後に一応、補足しておきますけど「数学の能力が低い」ってのは「研究している人間の中では」であって、九大生の中では滅茶苦茶出来る方です。てか、特に九大みたいな半端な大学の数学科って、プライドだけは高い人間が本当に多いんで、これははっきりと言っておいた方が良いと思うんですけど、「俺/私は勉強していないから成績良くないだけで、ちゃんとやればできるようになるだろw」とか思ってそうな奴多いと思うんですが、それは多分、勘違いだと思います。学部(の特に前半)の数学って、本当に自然で基本的で易しいものばかりで、それを一寸でも「解らない。勉強したくない」とか思った時点で、もう終ってるんですよ。俺も初めの内は「何か皆難しい難しい言ってるけど、別に全然難しくないし、一寸やれば一瞬でトップになって優越感に浸れそうだから、取り敢えずやっとくかw」くらいの感じで数学してたし(勿論、こんなんだったからちゃんと痛い目に遭ったし、今は違います)。``やっていないから出来ない''んじゃなくて「出来ないからやれない」んだと思います。それは生まれつきの能力も勿論ですが、他にも高校以前でどれくらいちゃんと自分で考えて数学をやってきたか、みたいな積み重ねの影響も在る気がします。「模試の成績が良かった」だけの人とかは、きっとちゃんと数学が出来てなかったんだと思いますよ。大学院に残らなくても数学に関わる仕事(例えば教師とか)を続ける人、多いと思いますけど、そこんとこはちゃんと自覚を持って、数学に対する態度とかを考え直した方が良いと思います。

*3:そうなった時に生活保護とかに頼って世間に迷惑を掛けたりしない様にしなきゃいけないと、色々と自分の考えを整理して文章にしたり、或いは哲学書もどきみたいなものを読んだりして、ちゃんと死ねる準備はしているつもりではあるんですが、俺、やっぱ自分の事が好きで好きで仕方が無いんで、これは難しい気がします。その時、竟にプライドを捨てて底辺みたいな仕事をして食い繋ぐのか、或いはホームレスにでもなるのか、如何なっちゃうんですかねえ。

数学が解る?数学的に適切な文章?初学者が書くべき文章?

 小言です(長いけど)。TAの業務をやっていて、余りに色々な人と意見が食い違って、最近、段々とタイトルに書いた事とかに対する自分の認識に自信が無くなってきたので、一寸思う事を思う順に書いていこうと思います。

 

 先ず、何かこんなブログやってる事からも何と無くお察しだとは思うんですが、俺、教育系の話題について、何か色々と病的な拘りが有るんですよね。「これはこう指導されるべき」とか「初学者の内はこうすべき」みたいな。んで、今回俺が言いたい事はつまり、数学初心者の内はこの「レポートの書き方(数学の文章の書き方)。」みたいな文章を書くべきだと思うんです。「基本的に全部定義からギャップ無く示されていて」「何かの事実を証明無しで引用するなら、その引用した主張はちゃんと明示する」みたいな。つまり(引用した事実さえ信じれば)「その文章が数学的に正しい事が、左から右、上から下にスラスラと読んで判る文章」ですかね。そういう文章を自力で書くには、矢張り理解している事が必要十分である様に思われます。殆どの学部生達は、中高生の頃の「丸を貰えたって事は正しいんだな」みたいな判断レヴェルのままで「自分が書いた文章の正しさを自分で確信/保証する」っていう習慣を持っていない様な気がします。*1例えば、講義で先生方が言う「Pが可逆行列なので同型写像である事は明らか」みたいな文言を「解らなかったら自分で正しさを確かめるべき主張」ではなく「何かよく解らないけど、取り敢えず試験で書いたら点数が貰える魔法の呪文」くらいにしか認識していない様に思います。レポートを出すという行為も、「自分では理解したつもりなので、勘違いが無いかのチェック」とかではなくて、「自分ではよく解っていないけど、取り敢えずどんな記述なら試験で点数が貰えるかのチェック」って感じなんだと思います。例えば「テキトーに打ったプログラムを取り敢えずコンパイル出来るかボタンを押して確かめてみる」みたいな感じなんですかね?(これよりももっと理解度は酷い気がしますが…)

 

 と言う事で、例えばレポートの採点なんかは、俺はこのリンク先の様な模範解答を元に採点基準を作るべきだと思っているのですが、これが兎に角、色々な人と意見の食い違いを生じさせるんです。「厳し過ぎる」って言われる、みたいな。勿論(リンク先にも書いていますが)、本当に優秀な、インフォーマルな文章を書いても周りが頑張ってフォローしたくなる様な素晴らしい数学を生み出す様な人なら、こんな読み手に対する配慮なんか気にせず、ストレスフリーに好きな文体で書けば良いと思うんですが、それこそ九大の数学科に、そんな人間は果たして何人いるのでしょうか?この俺が相対評価で``優秀''と判断される様なレヴェルの大学ですよ?*2いても各世代、1人か2人なんじゃないですか?他の連中に「面倒臭いから略」なんて言う資格は無いと思います。それは面倒臭いんじゃなくて、解ってないからそれ以上書けないだけでは。

 

 そしてこれも俺の``病的な拘り‘’の1つだと思うんですが、俺、兎に角「馬鹿に馬鹿とちゃんと言う」ってのが教育には大事だと思っているんです。馬鹿が「``自分は頭が良い''と勘違いを起こしたまま社会に出て、色々と意見を発信し出す」みたいなの、本当に有害だと思うからです*3。勿論、単に馬鹿って言うだけじゃなくて、その馬鹿をちゃんと馬鹿でなくするだけの指導体制を整えておく事が大前提だとは思うんですが、兎に角、馬鹿にははっきり馬鹿だと言うべきだと思うんです。伝え方には全力で気を遣った上で、でも伝える内容自体は一切妥協せず、はっきり「お前は馬鹿だ」って言わなきゃいけないと思うんです。これに限らず「伝え方には最大限気を遣った上で、伝える内容自体は一切妥協しない」ってのが、最も健全な人と人とのコミュニケイションだと個人的に思います。日本人は逆に「伝えるべき内容ばかりぼかして、伝え方は無神経」みたいな、*4最も不健全なコミュニケイションがとても多い様に思います。

 

 とまあ以上、色々と「自分が正しいと思う事」を適当に書き連ねてみましたが、このノリで生きていて余りにも(自分より優秀な人とも)意見の食い違いを起こすため、最近「俺の方が何かおかしいんじゃないか?」と自信を失ってきています。いや、俺は「自分が正しい」と確信している訳ですが、``病的な拘り''の``病的''の部分が、何か本当に「認知の歪み」みたいなものだったとしたら、まじ自分だけでは如何仕様も有りません。現に研究費の申請なんかは悉く落ちている訳で、現状、俺の「数学に対する拘り」は、誰からも客観的な評価を貰っていない訳です。こんな大層な拘りを持っている割には、肝心の数学の方は代数幾何にすら挫折していて、それがより一層、自分の数学観への自信を失わせます。どなたか優秀な方で、俺のさっきの「レポートの書き方(数学の文章の書き方)。」とかを読んで「いや君は大丈夫だよ」とか、或いは「これはおかしいんじゃないか」とか有ったら、是非意見を頂きたいです。自分は学部生に対して「自分ではよく解っていないけど、取り敢えずどんな記述なら試験で点数が貰えるかを試してみる」とか批判した矢先で本当に情けないのですが、いやもうまじ「自信が有る自分」と「自信が無い自分」が自分の中で二つに分かれてしまって、自分だけでは如何にも判断の仕様が無いです。

*1:勿論、数学を突き詰めれば最後は「これは本当に集合なのか?」みたいな話にぶち当たり、その意味で俺も「自分がしている数学の正しさを完全に保証出来ている」とは言えないのかも知れませんが、ここで言っているのはそんなレヴェルの話ではなく、「講義で習った定義を使えば埋まられるギャップくらいは無くしましょう」って話です。

*2:日頃から常々自覚させられますが、俺は本当に数学が苦手です。本当、日々生きていて悲しくなってきますよ。何も解らない。同い年の優秀な連中が何年も前に理解したであろう事を、今頃になって漸く理解したりする。周りには金を貰って数学している連中ばっかで、(親が)金を払って数学をしてるのとか、もうまじ俺だけですよ。でもやっぱ止めたくねえ。「``数学が好き''って設定の自分」でいてえ。

*3:このブログも丸っきりブーメランな気がしますけどね

*4:「A且つB」に対して「Aでない且つBでない」なんで、逆でも何でもない気がしますが、気にしないでください。

受験勉強の仕方について。

 最近、自分語りとか大学でTAしてる講義の補足記事とかばっかだったんで、たまにはブログタイトルの趣旨に合う記事でも書こうかと思います。高校数学の参考書の紹介記事(市販の学習参考書、問題集について。)で「受験数学の勉強の仕方」みたいなのはちょいちょい書いていますが、もっとそもそも論的な「受験勉強って如何すれば良いの?」みたいなのは書いてなかったんで、それについてです。

 

 先ず、本格的に受験勉強に入る前に絶対にすべきだと思うのは、勉強方法(計画の立て方などを含む)と勉強のモチヴェイションの維持の仕方を知る事だと思います。正しい方法を続ける事が全てと言っても過言ではないので。じゃあその二つは如何するのかって話ですが、俺の個人的な意見を書いてもあんま意味無いんで、先ずは市販の本を紹介する事に投げます:

勉強方法

進化する勉強法

東大に2回合格した医者が教える 脳を一番効率よく使う勉強法

受験脳の作り方

最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法

勉強のモチヴェイションの維持

やる気が上がる8つのスイッチ

やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学

ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか

自分を操る超集中力

 本屋で適当に立ち読みして、気に入ったものを「勉強法」「勉強のモチヴェイションの維持」各々一冊選んで読めば良いと思います(同じタイプを二冊以上読む必要は無い。時間の無駄)。ここで一番注意しなきゃいけない事は「計画を立てる事には絶対に時間を掛けてはいけない」という事です。この手の本は一日で読んで、それを元に勉強計画の下書き迄作ってしまう事をお薦めします(流石にこれくらいの根性は無いと受験とかやってらんない)。使う参考書とかも決めなきゃかもですが、じゃあそれも一日で終らせて、二日後には勉強を開始してください。何処ででも言われる事ですが、まともに勉強もせずにやたらと参考書だけに詳しい「参考書博士」は、受験に失敗する典型パターンです(高校の同級生で何人も知っている。一方で、大学に参考書詳しい奴とかそんなにいない(いてもちゃんと勉強もする奴))。参考書の決め方については、まあアマゾンで評判良いやつを予め何冊かピックアップした上で「市販の学習参考書、問題集について。」を参考にしてください。別に数学以外の科目でも、これで大丈夫です。

 上の本以外でも気に入ったものが有ればそれでも良いとは思うんですが、この手の本に関する注意点として「東大生/クイズ王/カリスマ予備校講師が教える~」みたいな、個人の経験則しか根拠が無さ気な本は、基本的にお勧めしません。*1やっぱ何かしら科学的/統計的根拠が有る本じゃないと、その方法論に信頼が置けません。勿論、(たまたま)良い本も在るんだろうけど、博打でしかない気がします。因みに、上で紹介した本は全部、個人的な経験則だけではなく、ちゃんとした科学的/統計的根拠を元に書かれている本です。*2

 但し、科学的/統計的根拠を元に書かれているって事は、裏を返せば万人向けの最大公約数的な方法論な訳で、そこからもう少し個人個人、自分向きの勉強法に調整する必要は在ると思います。例えば、本に「英単語は一週間同じ100語を繰り返せ!」と言っていても、自分には100語は無理ってなったら50語に減らしてみるとか、或いは一週間じゃ大分忘れるってんなら二週間にしてみる、とかです。他にも「マーカーを引く意味は無い」とかも、如何してもマーカー引きたかったら引けば良いと思います(但し、引いただけで勉強した気になっちゃいけない)。この調整、恐らく一ヶ月くらいは手探りでやんなきゃいけないと思うんで、例えば春から予備校が始まる浪人生とかなら、この調整は三月中くらいにやっとく必要が在ると思います。

 (数学以外の)科目毎の細かいアドヴァイスとかは、矢張り高校の先生(担当教員ではなく学校で一番評判が良い人)とか予備校の先生に聞くなりして、その指示に従った方が良いと思います。「予備校の大学生チューター」とかは、個人的に勧めません。*3

 

 

 まあ後は、俺からも幾つか基本的なアドヴァイスも書いておこうと思います。

1. 予備校の授業や本は、志望校ではなく現状の自分の学力から決める

 例えば医学部志望の人なら、やっぱ医学部向けのクラスに入ったり本を読んだりしようとすると思うんですが、前年のセンター(共通テスト)で7割取れないとかなら、先ずこなせません。こなせないものを“やる”って、現実の学力を上げるって意味では、まじで何の意味も在りません。俺も早稲田滑り止めで九大にも余裕で受かりましたが、現役の時のセンター試験は全国平均すら割ってたんで、浪人の時の予備校のクラスは普通の国公立理系向けでした。先ずはそこでトップを取ってください。*4*5

 因みに「現状の学力から」の判断基準ですが、予習で内容が半分以上解る事、ですかねえ?*6

 

2. 自分を追い込まない。兎に角、自分に出来る計画を!

 1とも関連しますし、恐らくさっき紹介した本にも書いてありますけど、兎に角、無理な計画を立てない事です。「チャート式全部!」とか、まあ多分無理です。受験生が気にしがちなキーワードって「網羅性」だと思うんですけど、そんなのよりも先ず、基礎的な事をちゃんとこなす事です。努力とか根性って、無理する事ではなくて、自分に合ったレヴェルの事をコツコツ続ける事だと思います。細かい計画の立て方とかはまあ、紹介した本を参照してください。

 同様の理由で、予備校の授業も沢山取りゃ良いってもんじゃない。本当に必要なものだけを、予習復習徹底してください。

 

3. 「綺麗なノート作り」は基本的にNG!

 最後に少し技術的なアドヴァイスを。特に几帳面な人って「ノートを奇麗に作らなきゃいけない」つってノート作りに時間を割いたり、酷いとそのノート作りが億劫で勉強しなかったり、みたいな事になったりすると思います。*7そんな人は、思い切ってそのノート作り、止めちゃいましょう、ノートなんか自分が読めれば良いんです。「次読んだ時に汚くて読めなかったらどうしよう?」とか心配する前に復習しまくって覚えてください。

 勿論、ノート纏めが上手で、時間も労力も掛けずに綺麗なノートが作れて、しかもそれでちゃんと身に付くって人は、今迄通りで良いです。時間や精神疲労ばっかり掛かっちゃうって人向けです。

 

 

 以上、取り敢えず思い付いた事を適当に書きました。もう少し細かい事も俺に聞きたいみたいな奇特な人がいたら、ここ(大学入試数学の指導/相談に無料で応じます。)も参照してください。

*1:「いや二冊目のタイトルw」とか突っ込まないでください。この本はタイトルはあれですけど内容はまともです。

*2:例のメンタリストとか最近スーパーイキってて個人的にあんま薦めたくないんですけど、やっぱ言ってる事は凄く真っ当で有益です。但し、彼のお金儲けに加担するのは嫌なので、是非立ち読みにしてください。彼の本以外の本も、大体は彼が薦めていたのを切っ掛けに知ったものです。

*3:大京大とかは知りませんけど、地方旧帝とか早慶の大学生塾講師とかは大体、知能が終っています。例えば数学なら、殆どの人は素人の俺より入試数学出来ないんですよ?あれで何で教育で他人様からお金貰おうと思えるんですかね?信頼に値しない。

*4:因みに一寸自慢すると、俺はそこで担任の先生から「あんまり勉強し過ぎないでね」と体調を心配される程、勉強してました。

*5:但し「下のクラスは担当講師が糞」とかなら「良い先生が担当しているレヴェルは簡単な授業」とか上手く探して、時間割をカスタマイズとかしてください。

*6:確か何かで「6割」みたいな数字が根拠付きで在ったんですが、何だったか忘れてしまいました。すみません。

*7:てか俺がそうだったんで、気持ちは凄くよく解ります。