予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

マッチングアプリに登録してみたけど直ぐに退会しました。

※ごめんなさい。こんな記事を書きましたが、何かどっちもメッセージのやり取りに金が掛かるみたいなんで止めました。いやまじかよやり取りだけで月3000円とか洒落にすらなってねえ。もー折角女の子と話す機会が得られると思ったのに!やっぱ学振の無い学生に恋愛は難しいのかも知れませんねえ(てかメッセージ寄越すのとか絶対に月額料金払わせる為のサクラだろ)。学生は大人しく数学やってろって事ですね💩

 

 ここ最近、俺のツイッターのタイムラインで、何故か恋人やら結婚やらの話題が矢鱈と続いているんで、それに影響されて「Pairs」と「Match」というマッチングアプリに登録してみました。

 別に今直ぐ恋人が欲しいとか結婚したいとかではないんですけど、思えば俺って「年齢の近い女の人とゆっくり話した」みたいな経験が殆ど無くて、なので単純に「女の人と会話するって如何いう感じなのか?普通に男と話すのと変わらないのか?それとも矢張り「女の人って一寸違うな」ってなるのか?」みたいな事が知りたくなった、って感じです。友達と女の子の話とかになっても、俺って現実の女の子の事を殆ど知らないから、憶測とか10年以上前の経験とかでしかものが言えなくて、それも一寸悲しかったんですよね。後は、「年収とか身分が不安定である事が、この手の市場でどれくらいのビハインドになるのか」みたいな事も判ったりすると、面白いですよね。

 いや登録したっつっても今のところ本当にプロフィールやらを書いて登録したってだけだし、恐らくそんなにがっついて利用する訳でもないと思うんで、如何なるのかは判りません。ただ、取り敢えず今日は1つ新しい事をしたんで、何か一寸達成感が有って気持ちが良いです。

2021北大理系。

 或る意味北大らしい難易度に戻りました(或いは戻り過ぎて通り越してしまった?)。

難易度:おちんちんが生える程易

昨年比:おちんちんが取れる程易化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:平面ベクトルの定期テスト問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 テーマは射影ベクトルですが、そんなもん知らなくても如何とでも解けます。

 

2:最大最小(相加乗)、数IIの微積の共通テスト問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 (1)なんか共通テストの問題ですよね。(2)は当然、相加乗ですが、こんなのの最小値を考えて何が面白いんですかね?

 

3:(1)指数方程式;(2)最大最小(相加乗)、底の変換公式、やや意地悪な小問。目標解答時間15分。

テクニックA

記述量AB

発想力AB

総合難易度A

 (1)は良いでしょう。2変数ですが、ほぼ教科書の例題です。

 (2)は一瞬、見た目が一寸怖い気がしますが、何て事は在りません。

\log_ab=\frac{1}{\log_ba}

ですね。底の変換公式のスペシャルケースです。後は(1)を使って相加乗ですが(今年は相加乗好きだな)、(1)の問題文的にy^2を消去するのかと思いきや、消去するのはxです。若干意地悪な感じがしますが、まあ難易度には影響無いでしょう。

 

4:数学的帰納法定期テスト問題。目標解答時間15分。

テクニックA

記述量AB

発想力A

総合難易度A

 離散全称の証明ですが、「nの問題は数学的帰納法」を丸暗記しているだけで満点が取れます。

 

5:パラメータ求積の教科書の例題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 いやこれ数IIIの教科書の例題やん。

 

 

 これは如何した事でしょうか。オールAです。北大ってどんなに易しい年でも1問は標準以上の問題(大体は微積の式処理)が入っていた気がするのですが、今年はそれすら在りません。最近、少し難し目だったんで、恐らくは作問委員が今年は少し易しくしようとしてミスったのでしょう。数物系上位半分や医学科獣医学科は殆どの学生が満点だったんじゃないですか?来年はまた昨年以前の難易度でくると思っておいた方が良いでしょう。

 そして北大も確率が無え。

 さて、今年も「旧帝理系+東工大」終りました。繰り返し述べている通り、今年から東大京大九大以外は真面目に解答を作っていないんですが、いや良いですね。記述用の答案作らずに「あー後計算だけだここ迄」とか出来るの。これなら未だ未だ楽しくブログを続けられそうです。ただ、これだけだとツイッターとかで偉そうに``今年の東大数学簡単過ぎw''とか言ってる数学のすの字も知らなそうなイキり大学生共と同じになっちゃいそうなんで、ちゃんと東大京大九大だけは時間計って答案作りも続けていこうと思います。

2021東北大理系。

 研究集会が終ったんで、北2つを片付けておきます。

難易度:やや易

昨年比:同程度~微易化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:領域、二次方程式の解の配置。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 領域つってますが、まあ二次方程式の解の配置だけですよね。aの値で場合分けですね。

 新高3に配慮した春の模試とかで出そうな問題です。

 

2:(1)平面ベクトルの教科書の例題;(2)2変数函数の値の範囲ってか最大最小ってか(独立2変数(各々動かすだけ));(3)誘導「結果の利用」、ディオファントス方程式(絞り込み→積の形)。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)は良いでしょう。

 (2)も、(1)で求めた値をa,b各々動かすだけです。解法選択って程ではない気がする。

 (3)は(2)からS/T=3になりますね。後は因数分解です。数値の設定のお陰で処理が少なくて助かります。

 整数問題を全然別の分野に上手く結びつけている問題です。東北大、結構好きな気がします(17の3とか)。難しくはないんで、これも取らなきゃですね。

 

3:場合の数の傍用問題集問題。目標解答時間20分。

テクニックA

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 どの問題集にも載っていて、誰でも解けて、そして一寸怠いやつです。

 

4:図形と方程式総合;(1)「解↔交点」の言換、多項式因数分解、解と係数の関係;(2)軌跡(文字消去)、変数の範囲;(3)線分の通過領域(素朴に動かす)、求積(数IIの微積)。目標解答時間30分。

テクニックB

記述量BC

発想力B

総合難易度B

 難し過ぎない中で、色々な知識を問うている中々良い問題です。

 (1)ですが、先ずはlをy=x+cとして連立でしょう:

x^3-3x-c=0\cdots

いつもならここで「文字定数cを分離して…」とかやる訳ですが、今回は「解の1つをaとして良い」と言っているので、その情報を反映させて方程式に問題に帰着する事が出来ます。先ずはx=aを代入し、

a^3-3a-c=0\Longleftrightarrow c=a^3-3a

である筈です。従って、

★\Longleftrightarrow x^3-3x-(a^3-3a)=(x-a)(\underline{x^2+ax+a^2-3})=0

となります(2つ目のイコールはf(x)-f(a)の形に注目し因数分解しました。多項式方程式の解を考えているので、因数分解は常に頭に用意しておくべき事です)。P, Qのx座標は各々(上記下線部)=0の解ですので、解と係数の関係が使えます。(-\frac{1}{2}a,a^3-\frac{7}{2}a)になるみたいです。標準的な知識の組み合わせなので、(1)は出来たいですね。

 (2)は軌跡の定石通り(x,y)=(-\frac{1}{2}a,a^3-\frac{7}{2}a)としてaを消去すれば良いのですが、問題なのはaの範囲です。当然、先ずは問題文の条件(*)を満たさないといけないのですが、その他にも「3つの交点の内、座標が1番大きいのはR」という条件が隠れています。これを反映させるには、実際に(1)の方程式のa以外の解を求め

x=\frac{-a\pm\sqrt{12-3a^2}}{2}

となり、「大きい方がaよりも小さい」という不等式

\frac{-a+\sqrt{12-3a^2}}{2}\lt a

を解く必要が在ります。俺みたいな数学の人間は「条件を満たしているかチェックする」という習慣は頭に染みついているのですが、受験生にとってはそれ程常識ではないでしょう(実際、数学科の大学生ですら、身に付いている人間はそう多くはない)。

 (3)は線分の通過領域です。テーマ的にはそれ程易しくはないですが、今回はその線分がy=x+cと動く部分がcだけですので、cの範囲を(2)で求めたaの範囲を元に特定し、その範囲でcを素朴に動かしてやれば良いです。ここ迄くれば、後は算数ですね。

 通過領域の問題で「素朴に動かす」のは、東大だとよくやる手法です。色々と通過領域のテクニックを覚えてしまうと、かえって採用し難くなってしまう手法ですよね。ちゃんと箇条書きで頭に入れておき、いつでも使える様にしておいてください。

 

5:(1)(2)複素平面(因子を捨てる(拡大回転するだけで点の位置関係は保たれる));(3)図形量の最大最小(数式化→微分)。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力AB

総合難易度B

 (1)(2)は16東大4の易類題ですね。因子zを捨てるんですが、16東大4はその前に平行移動という一工夫が必要でした。

 (3)は当然、数式化して微分ですが、(2)のzの存在範囲がまあまあ怠いんで、場合分けもかなり怠いです。

 

6:(1)nと積分込みの等式の証明(数学的帰納法、部分積分);(2)不等式の証明(積分区間被積分関数を評価);(3)誘導「結果の利用」。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力B

総合難易度B

 「ザ・理系の標準問題」なのですが、とある有名事実に基いています(後述)。

 (1)ですが、nがいるのでまあ帰納法でしょう。「k⇒k+1」の証明で部分積分を用います。

 (2)は数IIIの標準問題集に必ず載っているやつです。当然、e^x積分区間で評価します。

 (3)は(2)の不等式により「最小のn」が求まります。偉そうに言っていますが、気付く前に一緒に問題を見ていた某先輩に即座に言われちゃいました(勿論、俺も絶対に気付きます)。こういう「不等式を成り立たせるベストな値」の議論は、数学科に入ったら先ず勉強する「イプシロンデルタ論法」ってのでめっちゃやります。ただ、ひょっとしたら慣れていないと受験生には難しいのかも?

 さて、聞いた事が有る生意気な受験生も多いでしょうが、実は(1)はe^xの「テイラー展開」ってやつです。但し、本問は別に「テイラー展開を知っていればもっと簡単に解ける」みたいな類いの問題ではないですし(剰余項(定積分のとこ)関する知識もちゃんと有って、且つ関連する演習問題とかの経験も有ればこの限りではないが、それだけ確り勉強している受験生は殆どいないでしょう)、寧ろ余計な事を知っているせいで変な事をしようとして普通の解き方が出来なかったかもなので、案外、そういう「知識に振り回される受験生」向けの虫除けに丁度良い問題だったかも知れません。

 ところで、東北大ってこういう「大学1年レヴェルの微積ちゃんと勉強していると有利になる問題」が時々出る気がします(19の5とか14の6とか?)。なので、数学科志望とかで他の科目も或る程度目途が立った受験生は、そういうものに手を出してみるのも、ひょっとしたら悪くないかもです(「合格する」という観点から見れば、他教科が不完全だったり模試の判定がAで安定しなかったりする受験生には、先取り学習はお勧めしない)。

 

 

 昨年に引き続き易し目の出題ですが、相変わらず高校で数学を真面目に勉強したか如何かを問う、良質な問題が並んでいます。地方旧帝大の理系生の数学力を見聞きする感じ、これくらいの出題が丁度良い気がします(名大や最近の九大は少し難し過ぎる気がする)。前半の基礎問題3つを確実に取る事が先ず大切です。後半3題は地方旧帝大の問題としては標準的です。ここから1問分取り、4完分くらいで合格者平均くらいだと思います。満点が取れればちゃんと周りと差を付ける事も出来ると思います。欲を言えば、1題くらいはB問題を数物医学の数学自慢向けの問題に差し替えてあげると良い気もします。

 後半3題は東大の標準問題に近い気がします。4,5が東大に近い事は指摘しましたし、6についても、テイラー展開が背景である問題は昔の東大の問題に結構在った気がします。後、2の「独立2変数を各個処理する」ってのも、そう言えば今年の東大2でも出てますね。まあ、だからと言って「東大の過去問もやると良い」とか言うつもりは無いですけど。

 ところで、東北大も確率が無え。

2021東工大。

 無茶振りは無いがストレートに難しい。

難易度:標準(飽く迄「東工大としては」)

昨年比:難化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:(1)場合の数;(2)不等式の証明(粗く評価)、誘導「結果の利用」。目標解答時間20分。

テクニックB

記述量AB

発想力BC

総合難易度B

 面白い問題ですが、難しくはありません。

 (1)は良いでしょう。各桁を9以外の9通りから選ぶだけです。但し、最高次だけは0は駄目なんで8通りです。

 (2)は不等式の証明です。(1)から足される項の数は判っていますが、当然、そのまま足す事は出来ません。なので如何するかと言うと、(*)を満たすnについて、大胆な不等式評価

b_n\leq\frac{1}{10^{k-1}}

を行います(kは空気読んで)。普通に考えたら如何考えても収束しなそうな評価ですが、如何やら(1)で項がかなり減っていたみたいで、指数の力により収束し、しかも丁度80です。不等式の証明問題で「粗く評価」は定石ですが、評価の仕方が大胆過ぎてやや発想力重視な気がします。因みに、自然数の逆数和\sum_{n\in\mathbb{N}}\frac{1}{n}って発散するんですが、その証明は、

1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\frac{1}{5}+\frac{1}{6}+\frac{1}{7}+\frac{1}{8}+\frac{1}{9}+\cdots

\gt1+\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{4}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{8}+\frac{1}{16}+\cdots

=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\frac{1}{2}+\cdots

と、本問同様「端に統一する」という粗い評価によって成されます。これを知っていると、発想し易かったかも?

 (2)は絶対取れとは言えない、微妙な難易度です。

 

2:二次曲線と二次方程式の糞怠算数。目標解答時間30分。

テクニックAB

記述量C

発想力AB

総合難易度B

 東工大(の悪い)名物、計算だけの算数です。東工大のこういう問題を出してしまうところ、俺は嫌いです。

 試験場で合わせるのは大変だとは思いますが、これは解けないといけない。

 

3:(1)コンビネーションの定義、nとn+1は互素;(2)離散全称命題の証明(数学的帰納法);(3)ディオファントス方程式(解を持つとして特称条件に帰着→''離散中間値の定理'')、誘導「結果の利用」、素因数、1との大小比較。目標解答時間40分。

テクニックCD

記述量BC

発想力CD

総合難易度CD

 今年コンビネーション多いな。俺は好きですが、難易度的には受験生泣かせでしょう。

 (1)(2)は良いでしょう。コンビネーションは帰納法と相性が良いってのは今年の東大4でも指摘しました。因みに(1)は「a_nは整数列である」ってのを保証する為の設問であり、誘導ではありません(かと言って、a_nが整数列である事、この後別に使う訳ではないのだけどね)。

 問題なのは(3)です。先ずは(2)を誘導と見て、山勘で「まあn\geq4は解無いんでしょ」と予想出来るとやり易いです(やらなくても後から気付けるけど)。今年の九大5に近いですね。って事でn\geq4の場合に解(n,p)が在ると仮定しますが、(2)を頭の片隅に置きつつ{}_{2n}\text{C}_nの分子を並べたものを睨めっこすると、分子n+3, n+4,\ldots,2n-1のどれかがpと一致している筈と判ります。整数問題で素因数に注目するのは常識ですね。また、(解の)存在を仮定したので、``離散変数の中間値の定理''的な発想にも気を回すべきです(2012の東大4に近いです)。このpで辺々割った後、更に各分数と1との大小を考える事で矛盾が出ます。1との大小比較も、離散変数絡みの問題や不等式絡みの問題では、常に意識しておくべき感覚です。今年の名大4(2)での処理とかも、元はこの考え方ですよね。

 (3)は中々難しいです(俺もかなり考えた)。(1)(2)だけで十分ですかね。(3)は好きなんで解答付けておきますね:2021東工大3(3)

 

4:(1)ベクトル(係数比較);(2)2変数の最大最小(数式化→``予選決勝法''→二次函数)、重心のベクトル、内積の定義;(3)連立方程式(二次式混入、二次式の処理(平方完成))、誘導「結果の利用」。目標解答時間30分。

テクニックBC

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 (1)は良いでしょう。|\vec a|=1とかに注意して係数を比較してやるだけです。F=-2(\vec a+\vec b+\vec c)\cdot(\vec a+\vec b+\vec c-3\vec d)です。

 (2)ですが、3\vec g:=\vec a+\vec b+\vec cと置いてやると、\vec gは(ABCが三角形を成す場合は)ABCの重心を表すベクトルになります。この事から、0\leq|\vec g|\leq1である事は(図形的に)認めて良いでしょう。その上でFを式処理しないといけないと意識していると、内積の定義と併せて次の変形が思い付く事も良いでしょう:

F=-2(3\vec g)\cdot(3\vec g-3\vec d)=-18(|\vec g|-(\cos \theta)|\vec d||\vec g|)=-18(|\vec g|^2-(\cos\theta)|\vec g|).

(※\thetaは空気読んで。)これで、|\vec g|を変数とする二次函数に帰着しました(\thetaも変数なんで、片文字を固定して所謂``予選決勝法''をした事になります)。

 (3)は、(2)のFが最大になるのが\theta=0, |\vec g|=1/2の時である事を踏まえ、方程式を立てて解くだけです。\vec a:=(x,y,z), \vec b:=(a,b,c)として:

・これ等が球面上の点を表すベクトルである事;

\theta=0である事;

\vec gが重心である事,

に注意し、連立方程式を解いていきます。しかしながら、そうすると

64x^2-112x+z^2+49=0\cdots

という2変数の式だけが残ってしまいます。一瞬「答は変数込みか?」とか思いますが。ここで★にもう少し二次式としての変形(つまり平方完成)をしてみると、

\Longleftrightarrow 64\left(x-\frac{7}{8}\right)^2+z^2=0

と綺麗に定数項が消え、x=7/8, z=0と判ります。成程、初めは「何でCの成分こんな糞汚えんだよ怠いな」と思っていましたが、答を一意にする為の調整だったんですね。上手です。

 上手な設定の下で1つの目的に向かって様々な知識を問う、とても良い問題だと思います。(3)の★の式変形だけ、少し手を動かすハードルが高めな気がします。

 

5:(1)「円の包含」と「円の中心からの距離と半径の大小関係」の言い換え;(2)「円の包含」と「円の中心からの距離と半径の大小関係」の言い換え、「文字定数は``工夫して''分離せよ」、二次式の処理(平方完成)、誘導「方針の利用」?;(3)求積(y軸回転体)。目標解答時間35分。

テクニックC

記述量C

発想力C

総合難易度C

 これも4(3)同様、(2)で少し気の利いた考察が必要になります。

 (1)は良いでしょう。中心からの距離が常にa以上になれば良いだけです。この様に「円の領域への包含を、円の中心からの距離と半径の大小関係に注目して議論する」というのは、大学で数学をやっている人間は「開集合(「境界を含まない集合」を表す専門用語)」の議論で慣れているんですが(知ってる人向けに話すと、イプシロンボールの議論ですね)、受験生にとっても常識かと言われたら、ちょいちょい微妙な気がします。``接する⇔重解''とかは勘弁してください。放物線の場合と違って、グラフの考察とかしても正当化出来ないでしょ?使うなって事です。

 (2)も(1)と同じ方針なのは良いと思うんですが、そうして立式していくと、

{}^\forall t\in\mathbb{R}, t^8-2at^6+(1+2a)t^4+(1-2a)t^2\geq 0

を満たすa\gt0の範囲が求めるものと判ります。「よっしゃ、t=0の場合は常に成り立つから。0\lt t^2=:Xとしてこいつで辺々割って文字定数分離だ!」と普通ならやるんですが、場合分けが煩雑な上に極値がとてもじゃないけど計算出来ねえ。仕方無いから、文字定数分離の直前のところから方針を考え直します。

{}^\forall X\gt0, X^3-2X^2+(1+2a)X+(1-2a)\geq0\cdots

なら良い訳ですが、ここで文字定数aをXごと分離すると場合分けが生じてうざいので、文字定数を工夫して分離して、

\Longleftrightarrow {}^\forall X\gt0, X(X^2-2X+1+2a)\geq 2a-1

ここで注目したいのが、左辺括弧内の二次式です。これに二次式の処理(つまり平方完成)をしてみると、(X-1)^2+aとなり、a,X\gt0に注意すれば、如何やら左辺は常に正みたいです。X\rightarrow+0の時は左辺は0に近付くんで、つまり☆の成立には2a-1\leq0であれば良いと判ります。「文字定数は``工夫して''分離せよ」に加え、4(3)の★の変形同様、再び二次式の平方完成がポイントだった訳ですね。よく考えたら、☆の変形に近い変形を(1)でもやっているので、ひょっとしたら東工大の先生は「方針の利用」のつもりで出題されたのかも知れません。まあでも、この見方は流石に無理が在る気がします。色々勉強出来る良い小問だとは思いますが、試験問題で解くのは大変でしょう。

 (3)はもう勘弁してください。円の半径の大きさで場合分けも生じますよね?怠過ぎ。いやまあでも数III勉強したかを問う問題としては悪くは無いと思います。少なくとも2よりか全然マシな問題。

 (2)は試験場では難しいでしょうねえ。でも、(2)が出来なくても(3)には取り組めるんで、被害は少なく済む気がします。

 

 

 絶対取らないといけないのは1(1),2,3(1)(2),4(1),5(3)ですかね。これだと未だギリ半分無いと思います。1(2),4(2),5(1)は、少し高度だけど東工大生なら食らい付けないと駄目だと思います。この3つの中から2つ押さえた6割前後くらいが合格者平均なんじゃないかと思います。1(2)の粗い評価、4(3)の★の変形、5(2)の「文字定数は``工夫して''分離せよ」の様に、今年は「思い切った方針選び」が明暗を分けた問題が多かった様に思います。が、普段から「詰まったら前に戻って解法選択のやり直し」を徹底していれば、そんな`に`難しい''って程ではないと思います。3(3)は中々難しいと思いますが、指摘した通り2021の東大4とかを経験していると、案外すんなり行けたかもです。``難問''って程ではない。トップ層なら十分、満点が狙えたんじゃないですかね?

 てか東工大も確率無え!まじで統計中心のカリキュラム改変が嫌なんですかね?

 後は東北大と北大ですね。明日から4日間研究集会なんで、また止まるか、或いは面倒臭くてやらないかもです(忙しいアピール研究してますアピール俺大好きアピール…)。

2021名大理系。

 前半2題が随分と易しく、一昨年迄の易化傾向時の難易度に戻りました。

難易度:やや易

昨年比:易化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしていません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:二次方程式、求積(数IIの微積)、最大最小(二次函数)。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量BC

発想力A

総合難易度AB

 長いですが、各小問はチャート式の例題に在るやつばかりです。特にコメントの必要は無いでしょう。

 

2:対数、大小比較、解と係数、誘導「結果の利用」。目標解答時間20分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)は底の変換公式です。

 (2)は大小比較です。\sqrt2とかの適当な近似値は使って良いと思います。

 (3)は解と係数の関係の学習直後の定期テスト問題です。後は(2)を使えば、実質「(負の数)×(正の数)=(負の数)」とかを聞いているだけです。まあ(1)から

\frac{1}{\alpha}+\frac{1}{\beta}+\frac{1}{\gamma}=\alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha

である事も、ポイントっちゃあポイントですかね(誘導「結果の利用」)。

 

3:確率(該当パターン全調査、排反)。目標解答時間45分。

テクニックAB

記述量CD

発想力B

総合難易度BC

 いやこれは全パターンの確率計算すりゃ良いだろ。ひょっとしたら他に上手いやり方が在るのかもだけど、考えるのも面倒臭え。中々の計算量でしたが、4題で150分って試験時間と1,2が簡単だった事も考えると、妥当な方針だと思います。「どれか1つを等しい確率で選び…」って仮定が在るんで、次の数字を選ぶ確率は``現在地''だけで決まります。何度も使うんで、先に``現在地''毎に一覧表にでもしておくと便利だったと思います。11への到達方法は、``最短経路の場合の数''の問題での考え方なんかに近い気がします。他にも、例えば「p_{11}の計算で(a)で1を選んだ場合の確率の計算には、(a)で2を選んだ場合とかの結果が使える」「p_5は排反を考えれば良い」とか色々工夫が出来ます。前者は確率漸化式っぽいっちゃあぽい気がします。

 「全部調べろ」という方針を採れたか如何かが大きな勝負の分かれ目だったでしょう。他にも、排反や確率漸化式っぽい考え方でどんどん計算量が減らせるんで、悪い問題ではないと思います。

 

4:離散変数の総合問題;(1)(2)ガウス記号の処理;(3)ガウス記号の等式の証明、誘導「結果の利用」(前問の対偶を考える)、離散変数の不等式の取り扱い(0\leq m-n\lt {}^\exists r\lt 1\Rightarrow m=n);(4)漸化式(解く)、誘導「結果の利用」。目標解答時間40分。

テクニックBC

記述量BC

発想力C

総合難易度BC

 名大名物「離散変数系統の総合問題」です。名大はガウス記号、好きですね。

 (1)はまあ、頑張ってください。

 (2)はつまりa_n\geq[a_n]+1/2って事なんで、こいつを漸化式にぶち込んでやれば良いです。途中:

a-[a]aの小数部分;

[a]\leq a\lt[a]+1\Longleftrightarrow a-1\lt[a]\leq a

 を利用します(ガウス記号の問題を見た時点で頭に用意しておかないといけない知識)。

 (3)について、先ず1つ目の式は最初の漸化式と比較する事で、[a_n]=[a_n+1/2]が示されれば良いと判りますが、これは

a_n\gt a_{n+1}

\Longleftrightarrow a_n\gt3[a_n+1/2]-2a_n

\Longleftrightarrow a_n\gt[a_n+1/2]

\Longrightarrow[a_n]+1\gt[a_n+1/2]

\Longleftrightarrow(0\leq)[a_n+1/2]-[a_n]\lt1

となり、ガウス記号は整数である事から最後の不等式は[a_n]=[a_n+1/2]を意味する事から判ります。2つ目の式については(2)の対偶利用を考えましょう。a_n\lt a_{n+1}の否定はa_n\geq a_{n+1}ですが、これは当然、問題文の仮定a_n\gt a_{n+1}から従うので、(2)(の対偶)からa_n-[a_n]\lt1/2を得ます。即ちa_n\lt[a_n]+1/2であり、これを既に得たa_{n+1}=3[a_n]-2a_nに適用し

a_{n+1}\gt 3[a_n]-2([a_n]+1/2)=[a_n]-1

を得ます。従って、仮定a_n\gt a_{n+1}と合わせ、

[a_n]\geq[a_{n+1}]\geq[a_n]-1

となるため、[a_{n+1}]=[a_n]\text{ or }[a_n]-1が判り、前者を否定すれば良いと判ります。その為に、前者であると仮定してみましょう(背理法)。即ち、a_{n+1}\geq[a_{n+1}]=[a_n]です。すると、再び先の漸化式から

[a_n]\leq a_{n+1}=3[a_n]-2a_n\Longrightarrow a_n\leq[a_n]\Longleftrightarrow a_n=[a_n]

となります。しかしこれは

a_{n+1}=3[a_n]-2a_n=a_n

を導き、問題文の仮定であるa_n\gt a_{n+1}に矛盾します。

 (4)は良いでしょう。(3)から、1\leq i\leq k-1に対して

a_i

=3[a_{i-1}]-2a_{i-1}

=3([a_{i-2}]-1)-2a_{i-1}

=\cdots

=3([a_1]-(i-2))-2a_{i-1}

=-2a_{i-1}-3i+6

となり、この漸化式を解くだけです。

 (1)(2)はガウス記号の標準的な処理を行うだけなんで、是非取りたい。一方で(3)は、離散変数の定石と既出の条件を、色々と場面に合わせて理詰めに組み合わせないといけないんで、結構な難易度だと思います。(2)迄出来れば合格には十分かな?

 

 

 1,2,3(1)は絶対に解けないと駄目ですね。計算ミスを考慮しても、これで半分は確保です。これでまあ、最低限足を引っ張らない程度の得点率ですかね?3の後半や4(1)(2)から集めて、6割強くらいが合格者平均だと思います。4の後半は中々に難しいと思います。

 あー東工大やりたくねー。

2021阪大理系。

 すんません。友達んちで丸2日鍋してました。今日から再開します。

難易度:標準

昨年比:難化

※「ブログの今後について。」で述べた通り、阪大以降は必ずしも「全ての問題に真面目に解答を付ける」という事はしません。勿論、全部自力で解ける事は確認しています。

 

1:2変数の最大最小(条件から文字消去→微分)。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 これは言われた通りにやれば解けます。まあでも量はちょいちょい怠いです。最大最小はルートの中だけ見れば良いです。

 

2:共通テストのベクトル。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力A

総合難易度AB

 「同一平面に在るから係数の和が1で係数を比較して…」ってやつです。

 これも量だけはまあまあうぜえ。

 

3:(1)不等式の証明(適切な式変形、図形量の比較と見る(積分と面積)、粗く評価);(2)不等式の証明(図形量の比較と見る(積分と面積));(3)極限計算(区分求積法、和分出来ないΣ達)、誘導「結果の利用」。目標解答時間35分。

テクニックC

記述量BC

発想力C

総合難易度C

 不等式評価を中心に数IIIの様々なテクニックが散りばめられた総合問題です。こいつぁは中々の難易度だ。

 (1)は不等式の証明です。お約束テクニックの1つ「図形量の比較と見る」なんですが、直ぐには適用出来ません。\log x-\log tの部分に注目し、こいつを\int_t^x\frac{ds}{s}と見ます。不等式評価時には「適切な式変形」を考える事は常識とした上で、一般にf(a)-f(b)の形を見たら:

1. 平均値の定理

2. \int_a^bf'(x)dxと見る,

の2つを「適切な式変形」として押さえておきましょう。今回は後者ですね。更に積分を面積と見て「図形量の比較と見る」に持ち込むのも定石です。ここ迄くれば、本問は\int_t^x\frac{ds}{s}を台形で近似している問題であると判るでしょう。後、条件のt\geq 1を用いて、粗く評価する必要も在ります。

 (2)は(1)を辺々(xで)定積分するのは良いでしょう。(1)同様、再び定積分を面積と見るんですが、今度は不等式に\intがいるんで、この発想も容易でしょう。

 (3)が中々の曲者です。k/nから区分求積を考えるのは良いでしょうが、``1/n''がいなくて困っちゃいます。ですがここで注目したいのが」、「pn」の「n」の部分です。つまり、

a_n-pn=n\left(\frac{1}{n}\sum_0^{n-1}\log\left(1+\frac{k}{n}\right)-p\right)

であり、こいつが収束するには\lim_{n\rightarrow\infty}\frac{1}{n}a_n=pが必要で、区分求積の形になったと同時にpも求まりました。問題なのはqの方で、こいつは(2)の不等式を誘導と見て挟撃に持ち込む事を検討します。ですがその為には、先ずは(2)を(3)に使える形に見直す必要が在ります。ここで更に、\sum_0^{n-1}\log\left(1+\frac{k}{n}\right)を「y=\log(1+x)から定まる面積を短冊で近似したものの和」と見ます。所謂「和分出来ないΣ達」ってやつですね。すると段々と(2)の変形の仕方も判ってきて、つまりt=1+\frac{k}{n} (k=0,1,\ldots,n-1)として(この置き方はt\geq1の条件に抵触していない事にも注意)、これ等を足し合わせます。\int_0^{1/n}+\int_{1/n}^{2/n}+\cdots+\int_{(n-1)/n}^1=\int_0^1に注意すれば、a_nを含む不等式が得られるんで、後はqの形を作り出すだけです。

 (1)からそれなりに高度で、更に(3)はテクニックもその組み合わせ方もかなり難しいです。これは全滅しても仕方無いですかねえ。

 

4:(1)倍数性の考察(3の剰余類、mod 3);(2)ディオファントス方程式(積の形、倍数性に注目、正負に注目)、誘導「結果の利用」。目標解答時間30分。

テクニックB

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 (1)ですが、積分は完全にこけおどしで、最初に計算したら後は2度と微積の処理は無いです。まあ「うわ整数なのに積分もあるどうしようもうぜんぜんわからないよお」とかなる馬鹿用の虫除けでしょう。計算し、辺々6を掛け、a-bで辺々割った後は、3c^2だけ分離し、先ずa,bに対して3の剰余類を考察する事でa\equiv b \mod 3を得ます。この結果を踏まえると、3c^2=(9\text{の倍数})となる事から、cが3の倍数である事が判ります。

 次に(2)ですが、これは

2a^2+5ab+b^2=(2a+b)(a+2b)

因数分解でしょう。積の形への分解を考えるのは、ディオファントス方程式の定石です。この意識さえ有れば見抜ける筈です。後は、こいつが=-3\cdot3600^2と負の数らしいので、a\lt bと併せてabの正負等の情報も得られます。更に、(1)(の解答)からa\equiv b\mod3も得られているので、更に絞り込む事が出来ます。にしても、3600とか怠いわもっと小さくしろよ。

 (1)は出来たいですが、本質的にはパターン問題とはいえ何か色々とイレギュラーな形してますから、微妙なラインですねえ。

 

5:(1)一意性込みの特称命題の証明(グラフの単調性と中間値の定理);(2)``接点T''の変種(二重接線(「傾き=傾き」且つ「値=値」))。目標解答時間30分。

テクニックBC

記述量BC

発想力B

総合難易度BC

 (1)はパターン問題です。詳しくは今年の東大5(1)をご覧ください。

 (2)は問題文的には難問臭がしますが、やってみると割と標準的だと思います。x=tでの接線y-\sin t=\cos t(x-t)x=s (|s|\geq\frac{\pi}{2})でも接するとすると、

\cos t=\cos s且つ\cos t(x-t)+\sin t=\cos s(x-s)+\sin s

となり、前者からs=\pm t+2n\pi (n\in\mathbb{Z})が必要と判りますが、+t+2n\piの方は後者と矛盾する事から-t+2n\piと判り、これを後者にぶち込み変形するとt-\tan t=ntが得られます。上記議論が同値変形である事はほぼ明らかですが、問題文で「必要十分条件」と態々言っているんで、同値性の記述には少し気を払うべきでしょう。接線の問題で接点(s,\sin s)を置くのは、まあ``接点T''に近い技術ですね。今年の京大6(2)の易類題と言って良いと思います。

 (1)は必須ですが、(2)は微妙なラインですかねえ。

 

 

 さて、1,2,5(1)は取れなきゃ論外です。後は「微妙なライン」つったとこから小問1問分取って6割弱くらいで合格者平均くらいじゃないですか?易しいセットではないですが、これくらいが阪大の標準な気がします。

 てか、今年は阪大も確率無いですね。

2021東大理系。

 本当、書く事が多過ぎて腱鞘炎になりそうです。

難易度:標準~やや難(飽く迄「東大としては」)

昨年比:同程度~微易化

 

1:(1)二次方程式の解の配置;(2)通過領域(2変数、線型計画法的)。目標解答時間40分。

テクニックC

記述量C

発想力C

総合難易度C

 初っ端から最悪な難易度っすわ💩

 (1)は良いでしょう。二次次方程式の解の配置です。チャート式の例題に在るやつですね。

 問題は(2)です。放物線の通過領域の問題ですが、変数が2つ在るんでいつもの変数の存在条件に帰着させるのが中々出来ません(1文字ずつ処理して「放物線の通過領域の通過領域を求める」みたいにすれば恐らく出来るけど、処理量が最悪になる(なった))。では如何するかと言うと、(1)の領域をD、求める領域をEとすれば、

(x,y)\in E\Longleftrightarrow {}^\exists (a,b)\in D \text{ s.t. } b=-xa+y-x^2

と見て、ab平面でDとb=-xa+y-x^2の交点の存在に問題を言い換えます。ものとしては違いますが、所謂「線型計画法」の時と同じ考えです。が、線型計画法のあの発想を他の問題でも使える様に整理出来ている学生がどれだけいる事か。中々に難しいと思います。そして、答の絵も描き難いわ糞野郎!

 いや俺は初め先の「通過領域の通過領域」の方針で行ってめっちゃ時間使ってしまいました。これを試験場で完答出来たら大したもんですよ。

 

2:複素平面での存在領域(実平面に帰着、ベクトルの終点の存在範囲(但し係数が3変数)、素朴に動かす)。目標解答時間40分。

テクニックBC

記述量C

発想力C

総合難易度C

 これも最悪ですよ💩

 (1)は良いでしょう。連立方程式です。ただまあ、文字が多くて計算には細心の注意が必要です(必要でした)。

 これも問題は(2)です。(1)から〇+〇iの形にして、ベクトルの終点の存在範囲に帰着させるのは良いんですが、係数(〇のとこ)に変数がα, β, γの3ついます。じゃあ如何するかって話ですが今度は再度α, β, γについて整理し直し、素朴にパラメータを動かして領域を追跡します。領域の問題で素朴に動かすの、東大では多いです(去年の2とか18年の3とか)。そしてこいつも兎に角、領域が描き難い!

 (1)よりは気持ちマシな気がしますが、こいつも試験場で解くのは大変だと思います。これでも十分難しいですが、欲を言えば(1)無でも解ける様になりたい。

 

3:(1)一意性込みの特称命題の証明(「解↔交点」の言換 or 因数分解);積分計算(教科書の例題レヴェルだが項が多くて計算量が多分やばい)。目標解答時間25分?

テクニックAB

記述量BC?

発想力A

総合難易度AB

 やっと解ける問題です。

 (1)はグラフの交点についての一意性込みの特称命題の証明です。グラフの交点を方程式の解にすり替えるのは良いでしょう。方程式を式変形すると、三次方程式に帰着します。今度はグラフの交点に再度すり替え、三次函数のグラフを考えれば良いです。通常、この「一意性込みの特称命題の証明」はかなり高度なテーマなのですが、本問は三次函数なんで普通にグラフが書けておしまいです。ですが本問、実は考えている三次方程式が簡単に因数分解が出来てしまうので、普通に解けてしまいます(グラフ描いた後に気付いた)。いやこれは三次方程式が出てきた時点で気付かんといかんかったな💩

 (2)は教科書の例題レヴェルの積分計算です。ごめんなさい俺は見た瞬間に絶対に出来ると判ったので、もうやってないです。ただ、項が多いんで計算は大変だと思います。

 他の問題の難易度的に、本問を落とす訳にはいかないでしょう。

 

4:整数;(1)mod計算;(2)コンビネーションの定義、離散全称命題の解法選択(2変数、片文字に関する数学的帰納法帰納法の変数が有限で打ち止め);(3)誘導「結果の利用」「方針の利用」、コンビネーションの定義、離散全称命題の解法選択(2変数、片文字に関する数学的帰納法帰納法の変数が有限で打ち止め)、偶奇で場合分け、数学的帰納法アルゴリズムの改変(``2個飛ばし''の数学的帰納法);(4)誘導「結果の利用」。目標解答時間45分。

テクニックC

記述量CD

発想力CD

総合難易度CD

 東大はコンビネーションの定義に絡めた整数問題、好きですね。本問は俺も好きです。

 (1)は良いでしょう。こういう自分で文字を置かないといけない論証、意外と書けない受験生が多そうですが、未来の東大理系生にその心配は無用でしょう。

 (2)が結構難しいです。コンビネーションの隣に居る離散変数a, bに関する全称命題です。bに関する数学的帰納法で行くと上手く行くんですが、bは有限で打ち止めの変数なので、経験が無いと数学的帰納法を選ぶ事自体が難しかったかも知れません(フェルマーの小定理の証明とかでやりますよね)。コンビネーションって(整数の積)/(整数の積)なんで、数学的帰納法と相性が良い気がします。

 (3)は(1)の結果を利用して問題を少し言い換えた後は、基本的に(2)と同じ流れですが(「方針の利用」と言える)、「a-bが偶数」って条件からaやbの偶奇性を気にしないといけなくなるので、固定する方であるaの偶奇で場合分けをします。それに伴ってbも奇数(resp. 偶数)しか動かせなくなるので、帰納法アルゴリズムを2個飛ばしに変更します。(2)よりも更に難しくなっていますね。

 (4)は勿論、これ迄の結果を使う訳ですが、2回使います。まあでも、東大特有の誘導の使い方に悩まされる様なものではないです。ユークリッドの互除法を複数回使う時みたいなノリですね。

 1問に離散変数系の知識が盛り沢山の問題です。上で「俺は好き」とか言っておきながら、何と最下段の俺の初見時の解答は、(3)の「a-bが偶数」って条件の取り扱いがまずい事になっています。なので、そこを適切に直したものを貼っておきます:2021東大4.pdf - Google ドライブ

 

5:(1)一意性込みの特称命題の証明(「解↔交点の言換」、文字定数は分離せよ、中間値の定理とグラフの単調性);(2)導函数の符号と極値の関係。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量BC

発想力AB

総合難易度B

 「ザ・理系の標準問題」ですね。

 (1)は大問3(1)に引き続き「一意性込みの離散特称命題の証明」です。ですが本問の「中間値からのグラフの単調性に帰着」の流れは、どの問題集にも載っているパターン問題です。先ずは与えられた式を変形していくのですが、ここは天下の宝刀「文字定数は分離せよ」ですね。分離後の定数じゃない方のグラフを考察します。ここで、方程式の解の議論をグラフの交点の議論にすり替えています。そして、ここで最初に述べた中間値とグラフの単調性を適用します。

 (2)は良いでしょう。教科書に書かれている、導函数の符号と極値の関係を理解しているかを問うているだけです。但し、(1)で導函数の議論を他の函数の議論にすり替えたりしているので、ひょっとしたら混乱し得たかも知れません。

 他の問題の難易度的に、本問は落とせないです。

 

6:(1)多項式の係数比較;(2)誘導「結果の利用」、係数比較(厳密には多項式ではない);(3)多項式の式変形、誘導「結果の利用」、有理数を整数問題に帰着、ディオファントス方程式(積の形。これ自体は簡単だが色々入り乱れた中で出てくるので混乱するかも)、厳密な数学文章の記述力。目標解答時間45分。

テクニックCC

記述量CD

発想力C

総合難易度CD

 去年の6同様、「どうやって作ったんだよ?」と聞きたくなる問題です。

 (1)は良いでしょう。係数比較です。

 (2)は取り敢えず色々と手を動かす気になったかが、勝負の分かれ目になったんじゃないかと思います。「(1)の係数比較で使わなかったもの(c=qr)を取り敢えず使ってみる気になったか」ですね。(1)の結果も反映すると「(pの6次式)=0」って式が得られるんで、今度は「こいつと与えられた式を関連付ける気になれたか」です。でも「誘導(てかこれ迄に得られた情報)を意地でも使ってやろう」という意識が有れば、見抜けると思います。後はp^nの係数を調整し、f, gを特定します。(1)の係数比較と同じノリですが、こっちはpが定数との事なんで、厳密には多項式ではないですね。

 (3)はまあ誘導の利用なんですが、先ずはx^4+bx+cの2次式への因数分解が問題文の形のものだけ(を考えれば十分)である事にちゃんと言及しないといけないでしょう。次に、(1)(2)ではずっとp\neq0という仮定を付けてきたので、そうでない場合をちゃんと分けて確認する必要が在ります。他にも「(1)よりp,q,rが有理数であるにはpだけ有理数であれば十分」である事への言及や、十分性の確認(つまり「求めたaに対して本当に多項式因数分解するか」の確認)等、細かな議論を確りと詰める能力が必要とされます。こういうの、数学科の学生でもまともに出来る学生、殆どいないですよね(東大数理なら大丈夫なのかな?)。でも、物凄く大切な数学の基礎力だと思います。

 見事な誘導の中で厳密な数学文章の記述力を問う、とても良い問題だと思います。但し、試験場で制限時間付きでやらされんのはまじで勘弁です。

 

 

 相変わらず恐ろしい難易度です。取り敢えず試験のつもりで真面目に「試験用の解答」は作りましたが、もう怖いんで時間は真面目に計っていないです。時間内だと4完半くらいしか出来なかったんじゃないですかねえ。試験場だともっと酷いかも知れねえ💩

 さて、3は絶対に取らないと駄目です。5もなんですが、(2)みたいな基礎の理解は案外難しい?残りの1,2,4,6は(1)は確実に取れた筈ですが、それ以降はどれも中々に厳しい。今挙げたの全部取って半分弱くらいで、最低限のラインには達したんじゃないですかね?っでも流石に4つの内、どれか1つくらいは最後迄いきたいものです(その辺が合格者平均くらい?)。雑魚(大問3)がいるしどの問題も(1)は取り敢えず手が出るんで、まあ去年よりは少しは取り組み易かったのかも知れません。

 出題分野について、確率はもう数学じゃないって事なんですかね。

 1,2の領域系の議論や、4の全称命題の解法選択、そして6の同値性に注意を払った答案作り等、どれも「入試数学の掌握」でかなり良い対策が出来ると思います。掌握は良いぞ。

 一応、解いてる時に作った答案を載せておきます:2021東大理系。.pdf - Google ドライブ