本当、書く事が多過ぎて腱鞘炎になりそうです。
難易度:標準~やや難(飽く迄「東大としては」)
昨年比:同程度~微易化
1:(1)二次方程式の解の配置;(2)通過領域(2変数、線型計画法的)。目標解答時間40分。
テクニックC
記述量C
発想力C
総合難易度C
初っ端から最悪な難易度っすわ💩
(1)は良いでしょう。二次次方程式の解の配置です。チャート式の例題に在るやつですね。
問題は(2)です。放物線の通過領域の問題ですが、変数が2つ在るんでいつもの変数の存在条件に帰着させるのが中々出来ません(1文字ずつ処理して「放物線の通過領域の通過領域を求める」みたいにすれば恐らく出来るけど、処理量が最悪になる(なった))。では如何するかと言うと、(1)の領域をD、求める領域をEとすれば、
と見て、ab平面でDとの交点の存在に問題を言い換えます。ものとしては違いますが、所謂「線型計画法」の時と同じ考えです。が、線型計画法のあの発想を他の問題でも使える様に整理出来ている学生がどれだけいる事か。中々に難しいと思います。そして、答の絵も描き難いわ糞野郎!
いや俺は初め先の「通過領域の通過領域」の方針で行ってめっちゃ時間使ってしまいました。これを試験場で完答出来たら大したもんですよ。
2:複素平面での存在領域(実平面に帰着、ベクトルの終点の存在範囲(但し係数が3変数)、素朴に動かす)。目標解答時間40分。
テクニックBC
記述量C
発想力C
総合難易度C
これも最悪ですよ💩
(1)は良いでしょう。連立方程式です。ただまあ、文字が多くて計算には細心の注意が必要です(必要でした)。
これも問題は(2)です。(1)から〇+〇iの形にして、ベクトルの終点の存在範囲に帰着させるのは良いんですが、係数(〇のとこ)に変数がα, β, γの3ついます。じゃあ如何するかって話ですが今度は再度α, β, γについて整理し直し、素朴にパラメータを動かして領域を追跡します。領域の問題で素朴に動かすの、東大では多いです(去年の2とか18年の3とか)。そしてこいつも兎に角、領域が描き難い!
(1)よりは気持ちマシな気がしますが、こいつも試験場で解くのは大変だと思います。これでも十分難しいですが、欲を言えば(1)無でも解ける様になりたい。
3:(1)一意性込みの特称命題の証明(「解↔交点」の言換 or 因数分解);積分計算(教科書の例題レヴェルだが項が多くて計算量が多分やばい)。目標解答時間25分?
テクニックAB
記述量BC?
発想力A
総合難易度AB
やっと解ける問題です。
(1)はグラフの交点についての一意性込みの特称命題の証明です。グラフの交点を方程式の解にすり替えるのは良いでしょう。方程式を式変形すると、三次方程式に帰着します。今度はグラフの交点に再度すり替え、三次函数のグラフを考えれば良いです。通常、この「一意性込みの特称命題の証明」はかなり高度なテーマなのですが、本問は三次函数なんで普通にグラフが書けておしまいです。ですが本問、実は考えている三次方程式が簡単に因数分解が出来てしまうので、普通に解けてしまいます(グラフ描いた後に気付いた)。いやこれは三次方程式が出てきた時点で気付かんといかんかったな💩
(2)は教科書の例題レヴェルの積分計算です。ごめんなさい俺は見た瞬間に絶対に出来ると判ったので、もうやってないです。ただ、項が多いんで計算は大変だと思います。
他の問題の難易度的に、本問を落とす訳にはいかないでしょう。
4:整数;(1)mod計算;(2)コンビネーションの定義、離散全称命題の解法選択(2変数、片文字に関する数学的帰納法、帰納法の変数が有限で打ち止め);(3)誘導「結果の利用」「方針の利用」、コンビネーションの定義、離散全称命題の解法選択(2変数、片文字に関する数学的帰納法、帰納法の変数が有限で打ち止め)、偶奇で場合分け、数学的帰納法のアルゴリズムの改変(``2個飛ばし''の数学的帰納法);(4)誘導「結果の利用」。目標解答時間45分。
テクニックC
記述量CD
発想力CD
総合難易度CD
東大はコンビネーションの定義に絡めた整数問題、好きですね。本問は俺も好きです。
(1)は良いでしょう。こういう自分で文字を置かないといけない論証、意外と書けない受験生が多そうですが、未来の東大理系生にその心配は無用でしょう。
(2)が結構難しいです。コンビネーションの隣に居る離散変数a, bに関する全称命題です。bに関する数学的帰納法で行くと上手く行くんですが、bは有限で打ち止めの変数なので、経験が無いと数学的帰納法を選ぶ事自体が難しかったかも知れません(フェルマーの小定理の証明とかでやりますよね)。コンビネーションって(整数の積)/(整数の積)なんで、数学的帰納法と相性が良い気がします。
(3)は(1)の結果を利用して問題を少し言い換えた後は、基本的に(2)と同じ流れですが(「方針の利用」と言える)、「a-bが偶数」って条件からaやbの偶奇性を気にしないといけなくなるので、固定する方であるaの偶奇で場合分けをします。それに伴ってbも奇数(resp. 偶数)しか動かせなくなるので、帰納法はアルゴリズムを2個飛ばしに変更します。(2)よりも更に難しくなっていますね。
(4)は勿論、これ迄の結果を使う訳ですが、2回使います。まあでも、東大特有の誘導の使い方に悩まされる様なものではないです。ユークリッドの互除法を複数回使う時みたいなノリですね。
1問に離散変数系の知識が盛り沢山の問題です。上で「俺は好き」とか言っておきながら、何と最下段の俺の初見時の解答は、(3)の「a-bが偶数」って条件の取り扱いがまずい事になっています。なので、そこを適切に直したものを貼っておきます:2021東大4.pdf - Google ドライブ
5:(1)一意性込みの特称命題の証明(「解↔交点の言換」、文字定数は分離せよ、中間値の定理とグラフの単調性);(2)導函数の符号と極値の関係。目標解答時間25分。
テクニックB
記述量BC
発想力AB
総合難易度B
「ザ・理系の標準問題」ですね。
(1)は大問3(1)に引き続き「一意性込みの離散特称命題の証明」です。ですが本問の「中間値からのグラフの単調性に帰着」の流れは、どの問題集にも載っているパターン問題です。先ずは与えられた式を変形していくのですが、ここは天下の宝刀「文字定数は分離せよ」ですね。分離後の定数じゃない方のグラフを考察します。ここで、方程式の解の議論をグラフの交点の議論にすり替えています。そして、ここで最初に述べた中間値とグラフの単調性を適用します。
(2)は良いでしょう。教科書に書かれている、導函数の符号と極値の関係を理解しているかを問うているだけです。但し、(1)で導函数の議論を他の函数の議論にすり替えたりしているので、ひょっとしたら混乱し得たかも知れません。
他の問題の難易度的に、本問は落とせないです。
6:(1)多項式の係数比較;(2)誘導「結果の利用」、係数比較(厳密には多項式ではない);(3)多項式の式変形、誘導「結果の利用」、有理数を整数問題に帰着、ディオファントス方程式(積の形。これ自体は簡単だが色々入り乱れた中で出てくるので混乱するかも)、厳密な数学文章の記述力。目標解答時間45分。
テクニックCC
記述量CD
発想力C
総合難易度CD
去年の6同様、「どうやって作ったんだよ?」と聞きたくなる問題です。
(1)は良いでしょう。係数比較です。
(2)は取り敢えず色々と手を動かす気になったかが、勝負の分かれ目になったんじゃないかと思います。「(1)の係数比較で使わなかったもの(c=qr)を取り敢えず使ってみる気になったか」ですね。(1)の結果も反映すると「(pの6次式)=0」って式が得られるんで、今度は「こいつと与えられた式を関連付ける気になれたか」です。でも「誘導(てかこれ迄に得られた情報)を意地でも使ってやろう」という意識が有れば、見抜けると思います。後はの係数を調整し、f, gを特定します。(1)の係数比較と同じノリですが、こっちはpが定数との事なんで、厳密には多項式ではないですね。
(3)はまあ誘導の利用なんですが、先ずはの2次式への因数分解が問題文の形のものだけ(を考えれば十分)である事にちゃんと言及しないといけないでしょう。次に、(1)(2)ではずっとという仮定を付けてきたので、そうでない場合をちゃんと分けて確認する必要が在ります。他にも「(1)よりp,q,rが有理数であるにはpだけ有理数であれば十分」である事への言及や、十分性の確認(つまり「求めたaに対して本当に多項式が因数分解するか」の確認)等、細かな議論を確りと詰める能力が必要とされます。こういうの、数学科の学生でもまともに出来る学生、殆どいないですよね(東大数理なら大丈夫なのかな?)。でも、物凄く大切な数学の基礎力だと思います。
見事な誘導の中で厳密な数学文章の記述力を問う、とても良い問題だと思います。但し、試験場で制限時間付きでやらされんのはまじで勘弁です。
相変わらず恐ろしい難易度です。取り敢えず試験のつもりで真面目に「試験用の解答」は作りましたが、もう怖いんで時間は真面目に計っていないです。時間内だと4完半くらいしか出来なかったんじゃないですかねえ。試験場だともっと酷いかも知れねえ💩
さて、3は絶対に取らないと駄目です。5もなんですが、(2)みたいな基礎の理解は案外難しい?残りの1,2,4,6は(1)は確実に取れた筈ですが、それ以降はどれも中々に厳しい。今挙げたの全部取って半分弱くらいで、最低限のラインには達したんじゃないですかね?っでも流石に4つの内、どれか1つくらいは最後迄いきたいものです(その辺が合格者平均くらい?)。雑魚(大問3)がいるしどの問題も(1)は取り敢えず手が出るんで、まあ去年よりは少しは取り組み易かったのかも知れません。
出題分野について、確率はもう数学じゃないって事なんですかね。
1,2の領域系の議論や、4の全称命題の解法選択、そして6の同値性に注意を払った答案作り等、どれも「入試数学の掌握」でかなり良い対策が出来ると思います。掌握は良いぞ。
一応、解いてる時に作った答案を載せておきます:2021東大理系。.pdf - Google ドライブ