予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2020北大理系。

 俺は1問はまりました。

 

難易度:やや難

昨年比:同程度

 

1:外心。目標解答時間15分。

テクニックA

記述量AB

発想力A

総合難易度A

 任意の問題集に載っている問題でしょう。

 

2:格子点;(1)ベズー方程式;(2)格子点の数え上げ(領域が直線で囲まれているので算数)。目標解答時間25分。

テクニックA

記述量B

発想力A

総合難易度A

 (1)これも任意の問題集に載っていますが、「格子点」と云う味付けが成されています。

 (2)格子点の数え上げはどんなに簡単でも計算量がそこそこ増えるので嫌いです。

 これもどの受験用問題集にも載っているでしょう。

 

3:確率(該当パターン全調査、集合ってか論理っぽい考え方するやつ)、余事象、誘導「結果の利用」「方針の利用」。目標解答時間25分。

テクニックAB

記述量B

発想力AB

総合難易度AB

 (1)全部6だけ気を付けましょう。

 (2)直接数える事も出来そうですが、(1)の意義も考え、余事象と捉え最大公約数が2, 4, 5, 6の場合も全て求めるのが模範解答でしょう。「方針の利用」と言えなくもない?2, 4, 6(てか偶数)は一纏めに計算出来ます。

 (3)出て良い目は1, 2, 4, 5で、4, 5は少なくとも1回は出てもらわないと困ります。

 これもどの問題集にも載っているでしょうが、計算量はちょいちょいです。

 

4:(1)離散不等式の証明(1個目帰納法、2個目連続変数化→微分);(2)離散不等式の証明(定義漸化式に注意を払いつつ連続変数化);(3)数列の極限(1個目漸化式を繰り返し用いる;2個目連続変数化し三角函数の極限に帰着)。目標解答時間40分。

テクニックBC

記述量BC

発想力BC

総合難易度BC

 (1)は1つ目は帰納法ですが、2つ目は

g(x):=f(x)-x=\sin\left(\frac{\pi}{2}x\right)-x

として微分です。微分した後の極値を与えるxの値も具体的に出ないし、f(0), f(1)の両方を調べないといけないし、地味に難しいのでは?

 (2)も(1)と同様に連続変数化でグラフの単調性に帰着です:(1)より

h(x):=\frac{1-f(x)}{1-x}

が単調減少である事を調べれば十分です。証明は微分すれば判りますが、hの置き方含め、これも易しくはないと思います。

 (3)はa_nの方は収束するとすればその極限a

a=\sin\left(\frac{\pi}{2}a\right)

を満たす筈なのでa=0 \mbox{ or } 1で、更に(1)からa=1しか無理と判ります。なので、a_n\rightarrow1である事、即ち(0\lt a_n\lt 1にも注意して)1-a_nが上から無理矢理評価出来れば良いでしょう。って事で(2)の漸化式を繰り返し用い

(0\lt)1-a_n

=b_{n-1}(1-a_{n-1})

~~\vdots

=b_{n-1}\cdots b_1(1-\alpha)

\lt b_1^{n-1}(1-\alpha) ~~(\because(2))

ですが、ここで(1)から0\lt b_1\lt 1も判るので、上の評価でn\rightarrow \inftyとすればa_n\rightarrow1が判ります。b_nは先ずは連続変数化して

\displaystyle\lim_{x\rightarrow1}\frac{1-\sin\frac{\pi}{2}x}{1-x}

を求める事にしましょう。三角函数の極限とx\rightarrow1は相性が悪いので、t:=1-xとして

\displaystyle\lim_{t\rightarrow 0}\frac{1-\sin\frac{\pi}{2}(1-t)}{t}

=\displaystyle\lim_{t\rightarrow 0}\frac{1-\cos\frac{\pi}{2}t}{t}

=\displaystyle\lim_{t\rightarrow 0}\frac{1-\cos\frac{\pi}{2}t}{(\frac{\pi}{2}t)^2}(\frac{\pi}{2})^2t

=0

となります。

 いや、俺は(2)のhの置き方や(3)のb_nの計算を連続変数化するのでめっちゃはまりました。連続変数化するのがnではなくa_nなのが受験生には難しいと思います(一方で数学科で微積を勉強した俺が時間を取られるのは論外💩)。大学の先生にはお馴染みの操作で、今後も(北大以外でも)出題され得る操作なので、これを機に頭に入れておきましょう。偉そうに目標解答時間は40分とか言っているけど、俺は計1時間くらいははまってました。本セットでは1番難しいと思います。

※うぉい!(3)微分係数の定義式やんけ!見返した瞬間に気付いた(俺は自分大好きなので自分が書いた文章を見返すのが好き)。まじ「いける!」ってなったら他の選択肢考えるの止める癖何とかしろ俺!

 

5:(1)微積分学の基本定理、微分方程式(変数分離形)、定積分計算(部分分数分解);(2)求積(fgg')、極限(eの定義に無理矢理帰着)。目標解答時間25分。

テクニックB

記述量B

発想力AB

総合難易度B

 (1)は区間にxがいる事からも微積分学の基本定理適用は良いでしょう。しかし微分方程式が出てきます。まじか。まあ普通に解けば良いんですけど。変数分離形で、積分計算で部分分数分解が必要ですね。

 (2)は積分はfgg'で極限計算はeの定義に無理矢理帰着させるやつです。数Ⅲを真面目に勉強していれば解けるやつですね。好きです。

 北大名物の数Ⅲの微積の式処理ですが、がっつり微分方程式が出てきたり求積が混ざっていたりと、今年は若干、毛色が違いますね。ですが別に難しい訳ではありません。

※うぉい!(1)はfgg'じゃん!微分方程式要らねー!てか変数分離形の微分方程式解くのとか置換積分だし同じ事を2度手間でやってるだけじゃん!これも見た瞬間「いける!」ってなって他の解法を考えていなかった!

 

 

 

 1,2,3は絶対取れますが、やや難の4と微分方程式の5は微妙ですねえ。7割もいけば十分でしょうか?18年で2題出た軌跡領域系はとうとう1問も無いですね。代わりにがっつり数Ⅲの微積、って感じの問題が去年に続き2題です。まあ山張りは良くないですね。万遍無く勉強しておきましょう。

 

 さて、今年も旧帝理系+東工、終りました。はてなブログは数式が或る程度打ち込めるのと、去年パソコンを買い替えてスキャンの設定をするのが怠いせいで、今年は画像としての解答を1つも挙げていません。その分、数式込みの解説が詳しいと思うから許して(ひょっとしたら後で足すかも?)。