予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス研究員の入試数学語り。

毒舌、下ネタ注意。※年々自信を失い、それに伴って毒もマイルドになってきています。

2016北大理系。

※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2016/2/28に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。

 

難易度:やや難

昨年比:難化

 

1、複素数、二次函数の最小値、目標解答時間20分。

 テクニックAB

 計算量AB

 発想力A

 総合難易度AB

 融合問題ですが、個々の知識もその組み合され方も穏やかです。複素平面と云う言葉は出てきますが、xの範囲指定以外に複素平面特有の考察は無く、(1)は実質複素数の取り扱いについての問題です。

 (2)は二次函数の最小値ですが、矢張り軸の位置で場合分けが生じ少々面倒です。

 しかし、これは取らないとマズい。

 

2、積分方程式(定数型)、最小値(微分)、微分積分学の基本定理、目標解答時間25分。

 テクニックB

 計算量B

 発想力AB

 総合難易度B

 理系らしい微積の標準問題です。

 (1)は典型的な積分方程式なんて呼ばれる問題ですね。この問題は、積分区間に変数が混入しているか否かで解答が大きく分かれますが、本問は積分区間が定数(この時点では変数はxで、aは文字定数です)の定数型です。Aとでも置いて先に進むのはお決まりですよね。後の処理でe^-xsinxの積分計算もあり、この時点で既に理系チックなポイントが沢山出てきます。

 (2)は(1)で決定した函数fを含む、定積分で表された新たな函数gの最小値です。微分ですが、今度はaが動くので、ここで先程の積分方程式のもう1つのパターン、即ち積分区間が変数の場合の流れである微分積分学の基本定理の適用となります。微分結果は比較的綺麗で、計算がウザいと云う事もありません。

 1問に積分方程式2パターンの処理がコンパクトにまとまった、試験、学習効果孰れの面から見ても非常に良い問題です。易しくはないですが、理系ならこう云う問題こそ取りたい。

 

3、確率(条件付きも)、目標解答時間25分。

 テクニックB

 計算量B

 発想力B

 総合難易度B

 (1)(2)は確率の標準問題です。注意すべき点は唯1つ、「確率では、全ての物を区別せよ。」です。本問で言うなら、例えばBのひきだしのメダルの色の組み合わせ自体は金金、金銀、銀銀の3通りですが、有り得る場合の数は金金、金銀、銀金、銀銀の4通りです。イメージとしては、ひきだしBがさらに部屋B1、B2に分かれていて、それぞれに金か銀を割り振っていく感じでしょうか。

 (3)は条件付き確率。モノによって(確率)/(確率)か(場合の数)/(場合の数)のどちらにするか、やり易い方で行きましょう。僕は本問は後者で行きました。

 さて本問、孰れも確率の標準問題だと思うのですが、実は僕、こう云う問題やるのめっちゃ久し振りで(と言うか入試問題自体、真面目に取り組むのはこの時期だけですが)、どう数えようかでめっちゃ戸惑った挙句に30分近くかかりました(汗。偉そうに「全ての物を区別せよ。」とか言っておきながら、初め(1)を組合せで議論して完全に誤答していて、(2)のBが登場した段階で何かおかしい事に気付き軌道修正した次第です。よく「2人きょうだいで片方女の子なら、もう1人も女の子の確率は?」なんて問題がありますが、考え得る場合は「兄妹、姉弟、姉妹」の3通りで1/3であり、これがBの2つで金銀孰れかって条件と重なり誤りに気付けました。

 と云う訳で本問、一応評価を与えてはいますが、自分は正直めっちゃムズく感じたので何とも言えないです。解答後、不安で直ぐに数値が合ってるか予備校の解答を確認してしまいましたし(汗。受験生ならきっと慣れたものだと思うので、取れなくはないと思うのですが…

 

4、3次方程式(微分による実解判定、解と係数の関係)、対称式、帰納的に考える、目標解答時間30分。

 テクニックBC

 計算量B

 発想力BC

 総合難易度BC

 3次方程式の3つの実解を話題に様々に展開する、中々に骨太な問題です。

 (1)は解↔交点の言換えにより、3次函数微分処理に帰着させます。これはお決まりパターンですね。

 (2)からがやや厄介。与えられたanの定義式及び解と係数の関係とにらめっこしながら、これらを上手く使ってやる必要があります。

 (3)は漸化式から明らかな気がしますが、漸化式が4項間なので帰納的に~、と結論するにはa1,a2,a3について示してやらねばなりません。これがそこそこに面倒です。

 北大でこう云うしっかりした論証は珍しいです。(1)は取れますが、(2)以降は普通の受験生には少々厳しいのではと思われます。と云う訳で解答です。

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5、空間図形(直線)、直交条件、二次曲線(放物線)、目標解答時間25分。

 テクニックAB

 計算量B

 発想力A

 総合難易度AB

 最後ですが、比較的取り組み易いです。空間での直線の式ですが、通過点にパラメータ付方向ベクトルを足してやれば出来上がりです。直交条件は方向ベクトルと内積とって0になる様議論するだけですね。

 (3)は放物線になるのは(2)から直ちに解りますが、焦点と準線の出し方とか覚えてない(笑。仕方が無いので定義から導くところから始めてやりました。当然、受験生の皆さんは覚えとかにゃいかんですよ(笑。

 融合問題ですが、空間での直線のパラメータの置き方等理解していればほぼただの作業です。他の問題の難易度も考慮すれば、本問は落とせません。

 

 

 全体について、例年旧帝大の中では難易度で少々劣る北大ですが、今年は去年の様な高校の定期試験レベルの問題は減り、他大の易化傾向も手伝って、九大東北大と同水準です。ボーダーは確実に押さえるべきが1,4(1),5で、2,3から1問分の計3問ちょっと位でしょうか。医学科、獣医、数物トップ層は、例年通り満点狙いでいって欲しいです。2と4後半を取れれば勉強量に見合う程度に他の受験生に差がつけられるでしょう。

 上位層の為にも、来年以降も最低限この程度の水準で行って欲しいですね。