※本記事は、以前ヤフーブログ「予備校講師採用試験に2回落ちた九大チンカス院生の入試数学語り。」にて2018/2/27に掲載した同名の記事を、ヤフーブログサービス終了に伴い転載したものです。
難易度:易
昨年比:易化
1、積分漸化式、不等式(粗く評価)、定積分と極限(部分積分)、級数(どんどん消える)、目標解答時間20分?
テクニックAB
記述量AB
発想力AB
総合難易度AB
(1)(2)は良いでしょう。
(3)はやられました。だって(2)で1/(n+1)で押さえたんだから1に収束だと思いません?下から同じ様なので押さえようとして迷いに迷いました。結局、誘導は無視して定積分と極限の融合問題でお約束の部分積分を2回したら、直接解けてまさかの1/2。一寸意地悪に感じました。誘導を使うのなら、駿台のが上手です(汗
(4)はどんどん消えるやつですね。メルカトールもどきです。
完全に標準問題ですが、(3)は自分は上に書いた通りですし、(4)とぶつ切りだし、何か微妙な問題ですねえ。
(3)だけ解答を載せておきます。上で説明したまんまですが…
※解答中、「何か分からんけど、取り敢えず定数。」とか書いていますが、肩にn+3が乗っているので、一応変数です。ここは厳密には0と1で評価して挟み撃ちですね。
2、逆函数の定義、特称命題、対数、目標解答時間30分。
テクニックBC
記述量C
発想力BC
総合難易度BC
(1)ですが、logって言うか逆函数の定義、ちゃんと解っていますか、って問題です。「グラフがy=x対称」とか「x=f(y)をyについて解いたもの」とか、それは全部定義から導かれるものであって、定義は解答中にある通りです。絵を描いて「対称性がどうだ~」とか幾ら書いても、恐らく点数は無いでしょう。「逆函数が存在⇔単調」を理解していれば、不等式の利用も必然性があります。
(2)は個数に縛りがある特称命題です。特称命題の大きな方針としては、
(イ)具体的に1つ見つけてしまう。
(ロ)他の特称命題(中間値、鳩ノ巣、…)の利用。
の2つですが、まあこの手の問題は微分してグラフを描いて中間値はお約束なので、そんなに意識しないでも出来ると思います。
(3)は、今自分が弄っている文字が如何云う条件を満たすのかを、ちゃんと意識しておく必要がある問題です。後は指数対数への習熟でしょうか。
(1)が出来ていない人が多いと思います。これも解答付きです。
3、二項展開、mod算、フェルマーの小定理、誘導「結果の利用」、目標解答時間20分。
テクニックAB
記述量AB
発想力AB
総合難易度AB
これは酷い。まんま小定理の証明です。
(1)(2)は本当に二項展開するだけですね。(1)の現象はフロベニウス写像と言われるもので、数学の他に情報系で暗号とかプログラミングをする人にも使う人がいるらしいです。別にa,bの2文字じゃなく文字が何個でも成立するのが簡単に分かるので、全部1とすれば小定理になります。
(3)だけ若干頭を使います。まあp=2で場合分けが必要なのはどこかで気付くでしょう。(1)から、
(a+2)^p-a^p-2^p=pm
と書け、更に(2)からこの左辺は偶数なので、結局
(a+2)p-a^p=2^p+2pm
となります。よって、
(左辺)≡2^p (mod 2p)
です。ここで小定理、または(1)でa=b=1としたものを考え、
2^p-2≡0 (mod p)
ですが、左辺は偶数なので、pが奇素数なら結局、
2^p-2≡0 (mod 2p)
です。
4、規則性の発見、対称性、確率漸化式、不等式の証明(粗く評価)、目標解答時間30分。
テクニックB
記述量BC
発想力BC
総合難易度B
(1)(2)で点の位置関係にパターンがあるのに気付く必要があり、更に配置のパターンを対称性からグルーピングします。気持ち、名大名物の偶奇性の有る確率と近いと思いますが、若干発想寄りで、何で気付いたんだと問われれば返答に困ってしまいますねえ…
(3)の漸化式は、(1)(2)で気付くべき事に気付いていれば簡単です。
(4)はおまけの不等式です。去年もそうですが、解かせずに不等式評価だけなのは楽で有り難いですね。
例年の名大の確率と比べれば随分と大人しいですが、パターンに気付かないと後半が全滅なので、中々怖いです。
一応、解答を。
さて、冒頭にも書きましたが、明確な易化です。先ず1(1)(2)(4)、2(2)、3(1)(2)、4(1)(2)は完全パターン問題or言われた通りに手を動かすだけの問題で、これ等を押さえれば例年なら合格ラインだと思われる5割に届くと思います。
他も普通に食らいつけるレベルのものばかりなので、もう半分弱で7割位が目標だと思います。例年の名大の重厚さは殆ど感じられません。